「うちの子、将来の夢がないみたいで…」
「何かに夢中になるきっかけ、作ってあげたいな」
そんなふうに感じているパパやママにこそ、2025年8月に京都府木津川市に誕生したばかりの体験施設「JUNOPARK(ジュノパーク)」をおすすめします。
積水ハウスが65年にわたって向き合ってきた「住まい」をテーマに、子どもの感性を「遊び」ながら育てる——そんなちょっとユニークなコンセプトのもと生まれた、日本でも珍しい試み。
「住宅って、なんだか大人向けのテーマじゃないの?」
そう思った人にこそ読んでほしい。実はこの場所、「暮らしのなかにある、子どもの夢の種」を見つける場所でもあるんです。

周囲には感性を磨く本がずらりと並んでいます
目次
「子どもが幸せになる感性を育てたい」|JUNOPARKが生まれた背景
JUNOPARKがユニークなのは、単なる遊び場や教育施設ではなく、「子ども自身が“自分なりの幸せ”に気づける体験」を提供しているところ。
JUNOPARKの館長である枚田栄次(ひらた・えいじ)さんは、開設の理由をこう語ります。
「ユニセフの調査(2025年5月に発表した[レポートカード19]より)では、日本の子どもたちの精神的幸福度は先進国の中で最下位レベル。でも、これから社会の主役になるはずの子どもたちが、“幸せ”を実感できていないなんて、あまりにも深刻な問題だと思ったんです」
では、どうすれば子どもが“幸せ”だと感じられるようになるのでしょうか? 枚田さんは、こう続けます。
「もしかしたら、いまの子どもたちは“幸せって何か”がわからないのかもしれない。だから、自分にとって大切なことや好きなものに出合える“感性”を育むことが必要なんだと積水ハウスは考えました。
感性が豊かになれば、自分の中に価値観が芽生え、それが“自分なりの幸せ”につながっていくはずです」

学力や運動神経よりも、「感性」という一見見えにくい力。しかし、感性があるからこそ、「これが好き」「これは大事」といった、自分なりの価値観が芽生え、「私はいま、幸せだ」と感じられるようになる——
JUNOPARKは、そんな「心の土壌」を耕す場所として作られたのです。
子どもはもちろん、親も夢中になる! 体験アクティビティにはどんなものがある?
JUNOPARKで待っているのは、ただ遊ぶだけではない、感性を育てる体験の数々。「住まい」という誰にとっても身近なテーマを入り口に、子どもたちはもちろん、大人も夢中になってしまうプログラムが用意されています。ついつい熱中して子どもそっちのけで、大人が夢中になってしまう光景もしばしば見られるようです。
ここでは、来場者からも人気のアクティビティを2つと体験ギャラリーを1つご紹介します!
ゴーストハウス調査隊|「暗闇」が子どもの想像力を呼び起こす!

まず足を踏み入れるのは、「なんだかイヤな感じがするおうち」。子どもたちはヘッドライトと五感を頼りにそこを探索します。
このアクティビティは、部屋の中の不快に感じるポイントを見つけだし、その理由を解明していくというもの。
「この家、なんだか落ち着かない…」という感覚からスタートして、「なぜそう感じるのか?」を自分なりに言語化していくことで、論理的に考える力と感性の両方を育てていきます。
「はじめはこわかったけどおもしろい!」「もう1回やりたい!」とリピーターも多い人気のアクティビティです。
戦略アスレチック|体を動かすだけじゃない、頭も心もフル回転!

一見すると、普通のアスレチック。でもここでは、ただ走ったり登ったりするだけではありません。装具をつけて、あえて動きにくい状態になった子どもたちが、チームで力を合わせて課題をクリアしていきます。
「どうすればチームメイトを助けられる?」「この道を通ったほうが楽かも?」と、体だけでなく、考える力と他者を思いやる力も刺激されるプログラムです。
「最初はできなかったけど、仲間と協力して最後までできた!」という達成感は、子どもたちの自信にもつながります。
「勉強しやすい部屋」って、どんな部屋?|日常に生かせる「住まいの工夫」


こちらは、親子で体験してほしい体験ギャラリーの1つ「居心地探しゲーム」。「集中できる部屋って、どんな部屋なんだろう?」という疑問からスタートして、実際に照明の色や明るさ、BGMなどを変えながら、自分に合った「勉強がはかどる・記憶力が増す空間」を考えることができます。
例えば、
・昼白色(ちゅうはくしょく:太陽の光に近い光)の照明だと集中できる?
・音楽はあったほうがいい?
・明るさが変わると、どんな気分になる? など…
体験後には「僕の勉強部屋をちょっと変えてみようかな」と、日常にも生かせるヒントがたくさん。子どもの集中力アップや心地いい住空間づくりのきっかけになるはずです。
* * *
1つのアクティビティを終えたら、親子で「どうだった?」「何が印象に残った?」と語り合う時間こそが、感性を深める最大の鍵です。JUNOPARKにはゆっくり休める椅子がたくさん用意されているので、ぜひお子さんと対話をしてみてくださいね。
体験施設というと、「1回ですべてを体験したい!」という衝動に駆られがちですが、お子さんの「経験」や「体験」に焦点を当てて、ゆっくりとアクティビティに参加してみてください。

体験だけじゃない! 親子でゆったり過ごせる「無料エリア」も充実
JUNOPARKの魅力は、アクティビティだけにとどまりません。実は、入場無料で楽しめる「パブリックエリア」もとっても充実しているんです!
親子でゆっくり過ごせる場所として、地域のファミリーにも人気。ここでは、特におすすめしたいふたつのスポットをご紹介します。
本との出合いで、感性をそっと育てる「ライブラリー本の庭」
優しい曲線が印象的な空間に広がるのは、感性を育む11のテーマで選ばれた1,000冊の本たち。
子どもの好奇心を刺激する絵本や児童書だけでなく、大人の心にも響く選書が並び、まるで知の森に迷い込んだような心地よさがあります。

中でも注目なのが、JUNOPARKのアクティビティ体験とリンクした6つの「感性の探求」——。
自己を表現する、論理的に考える、多角的な視点で捉える、観察・追求する、モノの価値を見出す、自然に共感する。これらの力をそっと育むような本たちが、まるで静かに語りかけてくるように並んでいます。
「この本、おもしろそう」「一緒に読もうよ」と、自然と親子の会話が生まれる空間。
子どもたちにとっては、新たな“好き”と出合うきっかけになり、大人にとっても、ちょっと立ち止まって自分を見つめ直す時間になるかもしれません。
「iru-ca donuts & coffee」で、親子時間に甘いごほうびを

アクティビティの前後や、読書の合間に立ち寄りたいのが、併設のカフェ「iru-ca donuts & coffee」。
店内で毎朝仕込んでいる手作りドーナツ(280円~)は、ふわふわ&もっちり食感がクセになるおいしさ。お砂糖控えめで、子どもにも安心して食べさせられる優しい味わいです。
ドーナツのほかにも、パスタやカレー、ホットサンドにキッズプレートなど軽食もそろい、モーニング・ランチ・ティータイムと、どの時間帯にもフィット。
「どのドーナツにする?」「次は違う味にしようね」と選ぶ時間も、体験のひとときの中の幸せな記憶になるはずです。

奥のドーナツは、左からカカオドーナツ(300円)、プレーンドーナツ(300円)、ストロベリードーナツ(380円)、バナナチョコドーナツ(400円)
このほか、和食がいい方には、うどんメニューを中心にどんぶりや定食メニューを提供する「レストラン うどんと膳 あわさい」もあります。
[最後に]「何が好き?」から始まる、親子の会話
JUNOPARKは、「住まい」をテーマにした、ちょっとユニークな体験施設。でもその本質は、「家のつくり」を学ぶことではありません。子どもが自分の「好き」や「大切」を見つけだし、親子でその気持ちを語り合えるようになる——そんな「心の種まき」の場所なのです。
日々の忙しさの中で、つい見逃してしまいがちな子どもの感性の芽。JUNOPARKでの体験は、そうした小さな芽をやさしく育てるきっかけになります。
そして、子どもは日々成長していくもの。年齢やそのときの心の状態によって、同じ空間でも見えるもの・感じることがまったく違ってくるからこそ、館長の枚田さんは「何度でも訪れて、新しい幸せを見つけてほしい」と語っています。
ぜひ週末のおでかけに、「何が楽しかった?」「どこが気になった?」と、会話が自然と生まれるJUNOPARKを訪れてみてください。きっと、親子の間に小さな“発見”と“幸せ”が芽生えるはずです。

【JUNOPARK】
住所:京都府木津川市兜台6-6-4
営業時間:9:30-17:00(カフェ9:00-17:45 / レストラン 11:30-14:30)
休館日:毎週水曜日(祝日・長期連休期間を除く)・年末年始・他臨時休館あり
対象年齢:小学校高学年~中学生の方を中心に、どなたでも楽しめる内容となっています。
※体験エリアの入場には小学校3年生以下は保護者の付き添いが必要です。
入場料:体験エリア 子ども(中学生以下)500円・大人1000円
※未就学児は無料(体験アクティビティには参加できません)
アクセス:近鉄京都線「高の原」より徒歩15分(バスで約10分)
公式HP≪
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構成・文/末原美裕(京都メディアライン)