【小学校受験】シャイで黙り込んでしまうウチの子にお受験はムリですか? 「面接」「行動観察」が苦手な親子の対処法

我が子を有名な私立小学校に入れたいという願望を持ってはいても、子どもがシャイで人前で黙り込んでしまう場合、「我が子には受験は無理なのでは?」と思ってしまいがち。特に「面接」や「行動観察」について苦手な子どもの場合、不安が大きいものですよね。今回は、シャイな子どものお受験対策について、小学校受験専門のオンライン幼児教室コノユメSCHOOL代表の大原英子さんにうかがいました。

小学校受験で「人前で話す・行動すること」が試される試験とは?

小学校受験で、人前で話したり行動したりするものを挙げると、まず「面接」や「行動観察」があります。行動観察とは、集団の中で子どもの活動を確認し、入学後の行動や集団生活における適性を見るものです。

また先生と対峙して話す「個別テスト」や「絵画工作の発表とおたずね」があります。個別テストはペーパーテストと異なり、子どもと試験官が1対1で行うもので、絵画工作のおたずねとは、作った作品に対し、試験官からの質問に答えたり、説明したりするものです。

基本的に、 小学校受験は「ペーパー・絵画工作・体操・行動観察・生活巧緻性・面接」などの総合評価で合格・不合格が決まります。その中でも、「自分の言葉で話す」「友達とかかわる」ということの比重が大きくなっているため、ペーパーで高得点を取るだけでは合格は厳しいでしょう。

面接では単に「話せるか」という観点だけでなく、子どもの「言語表現・自立性・コミュニケーション力、家庭での生活の様子、親子関係」などを質問によって探ります。親が答えているときの子どもの様子も見られるので、気を抜かないようにしなくてはなりません。

行動観察では、「リーダーシップ・思いやり・トラブル対応力」など社会性の基礎が身に付いているか確認します。また、集団の中で「自分が何をすべきか」「仲間にどう声をかけるか」を瞬時に考える力があるかどうかも評価対象となります。

シャイで人前で黙り込んでしまう子に受験はむずかしい?

一般的に「シャイ」なことはネガティブに思われがちですが、小学校受験では、シャイだからといって不利であるわけではありません。「話せるか話せないか」よりも、「相手の言葉を理解し、自分なりに考えようとする姿勢」があるかどうかが重要だからです。

もちろん、まったく話せないとなればむずかしいですが、学校側は「たくさん話す子」を求めているわけではありません。さまざまな小学生を数えきれないほど見ているので、シャイな子もいることは十分に理解しています。むしろ、自分のことばかり話して相手の話を聞かない子は評価されません。実際に最初はまったく話せなかった恥ずかしがりやの子たちも、合格する様子を見てきました。

初めての場所や友達、先生と会うと、大人でも緊張するものです。人前で話すことが苦手な大人も少なくありません。「自分の意見を発表してください」と突然言われても、何を言えばいいかわからないのは、ごく当たり前のことです。人前で話すことに慣れていないのであれば、話す練習をしたらよいのです。お子さんが恥ずかしくて話せない場合、場慣れすることから始めましょう。

親は子どもに「正解」を求めてはいけない

親は、「もっとこう答えなさい」などと正解を求めてはいけません。話すことを親が決めてしまったら、子どもは話す意欲を失います。もともとは話せる子でも、正解を求められることで話せなくなってしまうこともあるのです。

子どもが思ったこと話すことを受け入れましょう。子どもが話したいと思うようにするには、「安心感」が重要です。そのためには面接の練習をするよりも、まずは家庭での対話を増やすことを心がけてください。日常会話の積み重ねで、少しずつ自分の考えを伝えられるようになります。

コノユメには「話す力・伝える力」という講座がありますが、この講座は申し込み1分で満席になってしまうほど人気です。親の参観なしで自由に話せるので、これがきっかけで話せるようになる子もいます。

「シャイだからできない」ではなく、まずは一言、話すことから始めてみてください。面接では2文程度、発表でも3文程度話せれば十分なのですから。

人前で黙り込んでしまう子の「面接」と「行動観察」対策

面接対策

「インタビューごっこ」をしてみましょう。「好きな食べ物はなに?」「好きな遊びは?」など、好きなものシリーズを3秒以内で答えるというゲームです。それが問題なくできるようになったら、「将来なりたいものは?」「最近驚いたことは?」「今朝食べたものは何?」など、質問のバリエーションを少しずつ広げていきます。

それもできるようになったら、「それはどうして?」「なぜそう思うの?」と理由もつけられるように、練習します。

面接は、子どもだけでなく親も練習が必要です。実は、面接で失敗するのは親が多いのです。子どもの面接練習をたくさんしたのはいいものの、いざ面接本番で親が質問されたときに一言で終わらせてしまったり、アピールするべきポイントが違っていたりすることもよくあります。本番で子どもの足を引っ張らないように、父親も母親もしっかりと面接の練習をしておきましょう。

行動観察対策

行動観察では、目立つ子や積極的に発言できる子が高評価されるわけではありません。「グループの中でどんな行動をするのか」を見られるので、発言は少なくても仲間を見て行動できる協調性のある子は評価されます。

特に、特定の課題にみんなで取り組む集団課題の場合、相手の意見を否定しない子や、仲間と協力して問題解決しようとする子などが高評価されやすいです。近年は、「(他の子を気遣い)手助けできる子」も評価される傾向にあります。

行動観察は、日頃の遊びなどの延長なので、行動観察の練習をするよりも先に、まずは親子で楽しく遊ぶことから始めましょう。例えば、兄弟や友達と一緒に折り紙で飾りを作るなど、簡単な共同作業を行うのもおすすめです。オセロやすごろく、トランプなどルールのある遊びを通して、「順番を守ること」「協力すること」「勝つための作戦を考えること」の必要性を学ばせるのもよいでしょう。家族みんなで大きな模造紙に絵を描いたり、「だるまさんがころんだ」などの運動をしたりするのもよいですね。

最近は、「話すことはできるけど友達との会話がキャッチボールになっていない」子が増えているように感じます。自分の球をただ一方的に投げ合うことは、コミュニケーションとはいえません。会話は一方的に「話す」のではなく、「聞くこと」「相手への関心」が大事ということを、日頃の親子の会話でも意識するようにしましょう。

まとめ

シャイな子であっても、小学校受験がむずかしいとは言い切れません。受験では何が見られるのか、その本質を見極め、日頃からの家庭での対話やコミュニケーションを通じて、自分が思ったことを素直に話せるようになることが先決といえそうです。

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お話を伺ったのは

大原 英子さん 株式会社コノユメ 代表取締役

東京大学卒業後、大手通信会社に勤務。その後、自身の母親が30年以上にわたり主宰する受験絵画教室のメソッドをもとに、2011年に小学校受験専門の幼児教室を設立。2022年には、教育の新しいかたちを提案すべく株式会社コノユメを設立。同年、オンラインと対面のハイブリッド型幼児教室「コノユメSCHOOL」を開校。これまでに、慶應義塾幼稚舎・慶應義塾横浜初等部・早稲田実業学校初等部など、難関名門校への合格者を多数輩出。

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