葬儀の専門家がマナーを解説! 赤ちゃん同伴の参列ではベビーカーの持ち込み・途中離席もOK

赤ちゃんを子育てしているタイミングでは、わが子を連れて行っていいのか、ためらってしまう場面や場所が幾つもあるはずです。特別なケースで言えば、お通夜や葬儀もその一例ではないでしょうか。参列するにしても、マナーの面でいろいろ気にする点も多いはずです。そこで今回は、お通夜や葬儀に乳児を連れて行く際のマナーや作法、注意点について葬儀の専門家に聞きました。特別な時にしか役立たない情報かもしれませんが、その特別な時が訪れた際にはぜひ参考にしてください。

赤ちゃんの参列は問題なし

葬儀場に乳児を連れて行く場合、泣いたらどうしよう、服装はどうしよう、途中で授乳はできるのか、おむつの交換はどうしようなど、さまざまな疑問が浮かぶと思います。そもそも、お通夜や葬儀に乳児を連れて行っても大丈夫なのでしょうか。言い方を変えると、故人の親族に対して失礼にならないのでしょうか。

乳児を同伴してお通夜や葬儀に参列する際のマナーや注意点について、富山県南砺市で葬儀場を営むアルテふくの斎苑の取締役、鍛治信嘉さんに聞きました。

「大前提として、赤ちゃんを連れて行っては駄目という考え方は今の時代は存在しないと思います。昔の考え方では制限があったかもしれませんが、現代では問題ありません」

では、連れて行ってもいいとして、参列させる場合は服装をどう考えたらいいのでしょう。大人のような喪服は無理だとしても、黒っぽい服だとか、柄物を避けるだとか、注意すべき点は何かあるのでしょうか。

「服装についても昔と今では考え方が違うと思います。かつては、頭から爪先に至るまで真っ黒、真っ白という時代があったかもしれませんが、今の時代は普段着で大丈夫です。例えば、クマちゃんの柄がスタイに入っているから駄目かと言えばそうではありません。普段の服装でご参列いただければと思います」

ベビーカーでの焼香も可能

参列中のマナーも気になります。乳児を連れている場合、どの辺の席を会場内で選べばいいのでしょうか。

「赤ちゃんを同伴する親御さんと故人の関係性、赤ちゃんを他に見られる人の有無によって異なりますので、式場に到着した段階でスタッフに聞くと一番いいと思います。式場の設計を踏まえ、トイレや授乳室との位置、故人との関係性の中で、焼香の邪魔にならない最適な位置をスタッフがお伝えできます。椅子をどけて、ベビーカーを椅子代わりにするなど、さまざまな方法があります」

焼香の際には、どうすればいいのでしょうか。

「焼香の場面は、親族だけになるケースが多いです。言い換えると、焼香のタイミングでは、家族や親せきが式場の中にいると思います。ご自身の焼香の番になったら、赤ちゃんを誰かに預けて自分だけが焼香に行くといいと思います。一般の立場で参列しているなど、預ける人がいない状況であれば、ベビーカーを押しながら焼香台に行っても構いません。その場合、一番端の焼香台にベビーカーを寄せ、焼香をあげるといいと思います。最近では、車椅子向けの広い焼香台もありますので、その焼香台を選んでもいいと思います」

泣いたときは離席もOK

乳児を参列させる中で、予想される困った展開と言えば「子どもが泣き出してしまう」だと思います。葬儀中に赤ちゃんが泣いたときはどう対処すればいいのでしょう。

「葬儀の途中で離席しても構いませんので、お子さんが泣いてしまったら、その場で立ってあやすなどを試みてください。それでも泣き止まない場合は、親族控室に子どもを連れて行くなどで対処するといいと思います」

子どもが泣かないように、おもちゃなどを持たせてもいいのでしょうか。

「構いません。音の出るおもちゃか何かをお経中に子どもが鳴らしたからといって怒るお寺さんはいないと思います。故人や参列者との関係性もありますが、親族控室に下がり、お子さんにスマホを持たせ、YouTubeやゲームを小さい音で見せている親御さんもいらっしゃるほどです」

おむつの交換が必要になったときはどのように対処すればいいのでしょう。

「例えば、うちの場合は、おむつを替える場所があります。必要が生じた段階で、スタッフにお声がけください。おむつを交換するスペースが参列した葬儀場になくても、シートを広げておむつを交換するだけのスペースはどこかに確保できるはずです。交換したおむつについてもスタッフに声を掛け、葬儀が終わるまで預けておくと安心です」

赤ちゃんの参列はそもそも問題なく、服装も普段着で大丈夫、ベビーカーを押したままの焼香も可能だと分かりました。泣いたり、おむつの交換が必要になったりした時は途中で離席もできる様子。

赤ちゃん同伴での参列時のマナーに関しては、それほど厳しくないと分かりました。余計な迷いや悩みに惑わされず、亡くなった方との別れの時間に心から向き合いたいですね。

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取材協力

鍛治信嘉(かじ のぶよし)

有限会社鍛冶・アルテふくの斎苑の専務取締役。立命館大学卒業後、社員数4,000名弱の大手企業で採用人事の責任者を務める。東京にある葬儀ベンチャー企業の社長室にて経験を積んだ後、家業のアルテふくの斎苑を継ぐ。3代目である祖父が他界した際に1,000名超の参列者が弔問に訪れた光景を目の当たりにした体験や、4代目の父が多くの人に日々感謝されている姿を見て育った経験から家業への誇りを強く抱くようになり、将来的には自分が継ぐという使命を感じていたと語る。現在は、24時間365日、葬儀の問い合わせを受付中。故人の物語を式場に反映させるドラマティックな葬儀を提供し話題を呼ぶ。いざというときに知っておきたいこと、今さら聞けないこと、実話を基に制作したご家族の人生物語など〈葬儀屋の息子 SNS更新中!

取材・文/坂本正敬

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