米軍がベネズエラに軍事介入しマドゥロ大統領を拘束
2026年になって早々、世界情勢に激震が走りました。ドナルド・トランプ大統領率いる米軍がベネズエラに電撃的な軍事介入を行い、マドゥロ大統領を拘束するという衝撃的な出来事が起きました。わずか3時間足らずの軍事作戦で「米国の裏庭」の勢力図を塗り替えたこの出来事は、国際社会に大きな動揺を与えています。

インフレと物不足に苦しむベネズエラ
そもそもベネズエラとはどのような国なのでしょうか。かつては世界最大の原油埋蔵量を誇り、南米で最も豊かな国の一つに数えられていました。
しかし、1999年に就任したチャベス大統領以来、徹底した反米・左派路線を突き進みます。石油資源を国有化して貧困層へ分配する政策は一時的な支持を集めましたが、後継者のマドゥロ政権下では原油価格の下落と失政、そして米国の経済制裁が重なり、経済は完全に崩壊しました。ハイパーインフレと深刻な物不足により、国民の約4人に1人が難民として国外へ流出する未曾有の人道危機に陥っています。
トランプ大統領の狙いは…?
では、なぜトランプ大統領はこれほど強硬な介入に踏み切ったのでしょうか。表面的な理由は、ベネズエラから米国へ流入する麻薬と不法移民の根絶です。トランプ大統領はマドゥロ政権を「麻薬テロ組織」と断じ、米国の安全保障に対する直接的な脅威であると主張してきました。
しかし、その深層にあるのは石油利権の奪還と、自らの裏庭と位置づける中南米から中国やロシアの影響力を排除するという狙いです。トランプ大統領は公然と「我々の石油を取り戻す」と発言しており、今回の介入は米国のエネルギー覇権を再構築するための冷徹なビジネス戦略という側面を強く持っています。

アメリカとの関係を重視し、批判を避ける日本
そして、この国際法違反の疑いが強い軍事行動に対し、なぜ日本政府は明確な批判を避けているのでしょうか。そこには、唯一の同盟国である米国との関係を最優先せざるを得ない日本特有の事情があります。
日本政府は重大な懸念を表明しつつも、トランプ政権との決定的な対立を避けるため、言葉を慎重に選んでいます。これは、中国や北朝鮮を巡る安全保障環境を鑑み、米国の抑止力を維持したいという現実主義的な判断に基づいています。しかし、他国による「力による現状変更」を批判してきた日本が、米国の暴挙に沈黙することは、外交的なダブルスタンダードではないかとの批判も免れません。
日本を含めた各国の対応が注目される
今回の軍事介入は、単なる一国の政権交代に留まらず、国際秩序そのものを揺るがす重大な転換点となりました。武力による問題解決が正当化される未来を迎えるのか、それとも国際社会が再び法の支配を取り戻せるのか。日本を含めた各国の対応が、これからの世界のあり方を決定づけることになるでしょう。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
