できなかったらどうしよう…。園の行事に緊張してしまう5歳の娘。親としてどう関わったらいいですか【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を基に、悩めるお母さんにアドバイス。

5歳の娘は、園での行事があると、練習が始まった頃から緊張しているのがわかります。できなかったらどうしようと訴えてくることもたびたびあり、不安を抱えてうつむいて登園していることがわかります。娘は真面目な性格でなんでも真剣に取り組むタイプ。今までもできないことはほぼなく、発表会の当日も失敗したことはありません。そんな娘を見ていて、緊張をどうすれば緩めてあげられるのか、頑張らなくていいと言うのも違う気もするし。どう関わればいいのでしょう。

不安や緊張が負担になってしまうのは性格もあります。まずはお子さんがホッとできる空気を作ってあげましょう

ちゃんとしている⼦だから、緊張してしまうのですよね。

園は⼀般的に⾏事が多く、運動会、お遊戯会、造形展、⽣活発表会、⾳楽会など様々ですが、練習したものを親たちに披露するものがあります。以前よりは⽐較的少なくなってはいますが、親たちの要望も強く、続けている園も多いようです。

⼦どもの主体的な⾏事と⾔うより、親たちに練習を積み重ねたものを披露する⾏事です。⼦どもの成⻑した姿を⾒て、喜んでいただくという意味合いだと思います。⾏事によりますが、練習期間はおおよそ⼀か⽉くらい続くかと思います。

いろんな⼦がいますから、まとめていく先⽣もなかなか⼤変です。意気込んでやりたがる⼦もいますが、義理のようにやる⼦もいるし、イヤイヤながらやってくれるという⼦もいます。全員が同じように、同じことに取り組むというのは難しいです。 そして、ちゃんとできて、頑張っている⼦に限って緊張しています。

そう、真面目でできる⼦は先⽣の期待も感じているかもしれません。知的な成⻑が早く、評価も気になるタイプとも⾔えます。できなかったらどうしよう、間違ったらどうしようなど、⼼配が尽きない。

真面目な子は不安や緊張が負担になってしまうことも

実は、初めて勤めた園で忘れられないことがありました。

お遊戯会があり、4歳児全員の合奏もありました。きちんとした⼦は間違っては困る⼤太⿎とかシンバルの担当になってもらい、ちゃんとできそうもない⼦は間違っても⽬⽴たないカスタネットでした。で、⼤太⿎を頼んだ⼦はきちんとした頼れる⼦でした。ところが練習の⽇が続くと、頻尿になってしまったのです。すぐ「トイレに⾏きたい」というのです。本⼈がやめたいとは⾔いませんでしたが、親も⼼配をして、とうとう太⿎の役をやめることにしました。ホッとしたのでしょう、頻尿は止まり、確かタンバリンをやりました。

不安や緊張が負担になってしまったのです。 これって、性格なのではないでしょうか? ですから「頑張らなくていいよ」と⾔うのも「頑張ってね」というのも安⼼には繋がらない。⺟親たちもこのタイプは多い気がします。特に⼦どものことは、いつも何かしら⼼配しながら育てていませんか? ご相談の親御さんもそうなのではないでしょうか?

日常の様子に変化がないかを見守って

以前「私がこうだから、こういう⼦が⽣まれてしまって申し訳ない」とおっしゃった⽅がいます。親⼦ですから、DNAもありますし、似て当然です。似ているから気持ちがわかってあげられるとプラス思考でいきましょう。 ⼦どもがどの程度の精神状態にあるのかは⽇頃の様⼦を⾒るしかありません。笑顔があるか、⾷欲があるか、眠れているか…頻尿やチックなどが始まったら負担になっていると思います。⼦ども⾃⾝が引き受けられそうにないときは、先⽣に相談したらいいでしょう。

ただ、⼦ども⾃⾝の意志でやることを決めたのか、先⽣の判断で選ばれてやらされているのかは⼤きく違います。⾃分で決めたことは、⼦どもはやり続けたいと思っているので諦めさせるのがいいかどうかは難しいところです。やらされている場合は困難を越えるのは難しいですから、その辺のことも含めて相談するといいでしょう。

質問のお⼦さんはいつもそうだということなので、⾔葉で問い詰めるより、⼿を繋いで歩くとか、⼀緒にお⾵呂に⼊るとか、おいしいものを⼀緒に⾷べるとかホッとできる空気を作ってあげてください。 いろんな成功体験や失敗体験を積んで、⾃分の性格や⼒の抜き⽅がわかっていくのはおとなも同じです。 性格を変えるのは難しいですが、性格を引き受けて“いい塩梅”を⾒つけていけるといいですよね。

まだ、⻑い⼈⽣始まったばかりですから、お⼦さん⾃⾝が⾃分の道を見つけていけるようにおおらかに⾒守っていきましょう。

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記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子どもの気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた 春夏秋冬』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。

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