3児の母がフランス移住して子育て。痛感したのは意外にも「学校の休みの多さ」と「嫌なことはやらなくていい」という自由すぎる文化

日本とフランスの違いを紹介するこの連載。今回のテーマは、「学校の休み」です。
日本にいた頃も、もちろん学校には長期休みがありました。夏休みや冬休みが来るたびに、学童の手配や仕事の調整に頭を悩ませていたのも事実です。
けれど、フランスで暮らして痛感したのは、「休みが多い」の一言では語れないレベルの違いでした。
前編では、フランスの学校休暇の仕組みと、その多さが、実際の子育てにどんな影響を与えているのかについて。後編では、休みの多さ以上に、親を振り回すことになる、フランスの「お家芸」について書いていきます。

とにかくバカンスが多いフランス

フランス人といえば「バカンス」というイメージを持っている方も多いと思いますが、実際に住んでみると、その印象は誇張でもなんでもありません。

フランスの学校は、「6週間授業をして、2週間休む」というリズムが、ほぼ一年中くり返されます。つまり、ちょっと通ったと思ったら、すぐにバカンスがやってくる。

実際に、わが家の子どもたちが通っている学校の2025年〜2026年の休暇スケジュールは、こんな感じでした。

  • ・10月18日〜11月2日:秋休み(2週間)
  • ・12月22日〜1月4日:クリスマス休み(2週間)
  • ・2月23日〜3月8日:冬休み(2週間)
  • ・4月20日〜5月3日:春休み(2週間)
  • ・7月6日〜8月30日:夏休み(約2か月)

……多すぎませんか? 初めてこの予定表を見たとき、思わず「休んでばっかり!」と声が出ました。

ちなみに休みの期間中、先生たちは基本的に出勤しません。部活動もなく、補習や当番のようなものもありません。学校は完全にクローズ。「先生は休み」「学校も休み」。とても分かりやすい仕組みです。

では、その間、親はどうしているのでしょうか。

親はどうやって回しているのか

当然ながら、親の会社がこのスケジュール通りに休みになるわけではありません。実際、会社員の親がまとめて休みを取るのは、夏休みとクリスマス休みがほとんどです。自由業の親は、秋休みなどに少しずらして旅行に行くこともありますが、少数派。

ちなみに、子どもがいない家庭や独身の人は、あえて子どもたちのバカンスシーズンを外して休みを取ります。そのほうが、旅行先が空いていて、値段も安いからです。

そこで登場するのが、centre de loisirs(サントル・ド・ロワジール)。日本でいう学童(保育)のような施設で、長期休みの間、子どもを預けることができます。

ほかには、

  • ・祖父母に来てもらう
  • ・家族で旅行に行く
  • ・親が交代で休みを取る

といった形で、各家庭が何とかやりくりしています。

なお、フランスでは子どもが一人でお留守番できるのは11歳からとされています。つまり、それまでは基本的に「一人で家にいる」という選択肢はありません。

もうひとつ、親にとっての救世主があります。冬休みにはスキーキャンプ、夏休みにはサマーキャンプを区が開催してくれるのです。「じゃあ、キャンプか学童に行かせればいいんだ」と最初は思いました。

——ところが、実際には、そう簡単でもなかったのです。

学童に行く・行かないも「子どもの自由」

フランスの子育てで、日本との違いを強く感じるのが「嫌なことは、やらなくていい」という考え方です。

幼稚園くらいの年齢であれば、よく分からないままサマーキャンプや学童に行ってくれます。お友だちと遊んで、お散歩をして、お昼を食べて——それなりに楽しく過ごして帰ってくる。

ところが、子どもが少し大きくなると、そうはいきません。わが家の長男は、小学3年生くらいから、学童をはっきりと嫌がるようになりました。「どうも学童に来ない子がいるらしい」と感づいてくるのです。

日本だったら、「仕方ないでしょ、ママは仕事なんだから」「みんな行ってるよ」と押し切っていたと思います。でも、フランスの教育では、本人が嫌だと言うことを無理にさせないという姿勢が、学校でも家庭でも徹底されています。

こちらが「どうしても仕事があるから学童に行って!」と説明しても、彼は一切譲りません。壮絶なバトルが、家の中で何度も繰り返されます。口論の末に「ゲームを長い時間やっていい」「帰りにおやつを買ってあげる」など、モノで釣ることもしばしば。正直に言うと、かなり疲れます。

日本にいた頃は、「ちょっとだけ一人でお留守番しててね」「〇〇くんと公園で遊んでくる」そんなことを、割と気軽にしていました。

でもフランスでは、それができません。11歳未満は一人で留守番をさせられないし、日本のように学習塾もありません。習い事に一人で行くという文化も、小学生にはありません。この「預けられない」「一人にもできない」という状況には、今もかなり悩まされています。

日本の小学校

参考までに、長男が日本にいた頃の学校の休みを振り返ると、こんな感じでした。

  • ・5月3日〜5月6日:GW(4日間)
  • ・7月21日〜8月31日:夏休み(約1か月半)
  • ・10月9日〜10月13日:秋休み(5日間)
  • ・12月26日〜1月7日:冬休み(2週間)
  • ・3月26日〜4月5日:春休み(約1週間)

日本は祝日が多いと言われますが、それでも、こうして並べてみると、フランスに比べれば圧倒的に短い。学童に行く子も多く、「行く・行かない」でもめることも、今ほどはありませんでした。

今思えば、仕事をしている親にとっては、かなりありがたい環境だったなと思います。

「フランスは職場の理解があって、子育てしやすい」と言われることも多いですが、実際に暮らしてみると、この休みの多さに頭を抱えている親は、とても多いという印象です。

祖父母に来てもらったり、子どもを何とか説得してキャンプに行かせたり、仕事を調整したり。みんな、水面下で必死にやりくりしています。

「自由」は、たしかに魅力的。でも、その自由を成立させるための負担は、親にしっかりのしかかってくる。そう感じる場面は、少なくありません。フランスの長い休みは、子どもにとっては自由の象徴ですが、親にとっては悩みの種でもあるのです。

そして、この国の学校生活には、もうひとつ、親を悩ませる大きな存在があります。

その話は、次回書きたいと思います。

前回の記事はこちら

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この記事を書いたのは

綾部まと ライター・作家

三菱UFJ銀行の法人営業、ユーザベースのセールス&マーケティングを経て独立。ビジネスやマネーの取材記事から、恋愛小説まで幅広く執筆。2025年よりフランスに拠点を移し、フランス企業の日本進出支援(ローカライズ)やフィクションの翻訳にも携わる。3児の母。

X:@yel_ranunclus
Instagram:@ayabemato

写真・文/綾部まと

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