そもそも「インフレ」って何?

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの価格が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がっていく現象のことです。
これがどういう現象なのか、身近な商品を例に考えてみましょう。
10年前と今を比較!マックのハンバーガーで知る「お金の価値」

身近な例として、マクドナルドのハンバーガー(単品)の価格で比較してみましょう。10年前、ハンバーガーの価格は100円でした。「100円マック」と言われていた時代が懐かしいですね。
しかし、10年間で原材料費や人件費が高騰。2026年現在は、190円に値上がりしています。ハンバーガーの品質は、10年前も今も同じなのに、買うために必要なお金は90円(+90%)も増えました。
これは「モノの値段が高くなった」と同時に、私たちの「100円玉のパワー(お金の価値)が、半分近くまで弱くなってしまった」ことを意味しています。
銀行預金では、お金の価値が目減りする

最近は預金金利が上がり、「思ったより利子がついてる!」とうれしくなっている方も多いのではないでしょうか。確かに、100万円を金利0.4%で10年間預ければ、額面は約104.1万円に増えます。しかし、注目すべきは、金利の上昇率よりもインフレ率の方が高いという現実です。
仮に年2%のインフレが続くと、預金金利を考慮しても10年後の実質的な購買力は約85.7万円分に低下します。通帳の数字は増えているのに、実質では約18.4万円(約18.3%)もの価値が失われているのです。
額面の増加に安心しているうちに、知らぬ間にお金の価値が削られていく。これがインフレの本当の怖さです。
なぜ、こんなにインフレが進んでいるの?主な3つの原因
「ここ数年、どうしてこんなに物価が上がり続けているの?」と疑問に思いますよね。その主な原因について解説します。

食料品やガソリンが値上がりする「原材料・エネルギーの高騰」
小麦・大豆・食用油といった食料品や、石油・天然ガスなどのエネルギー資源は、その多くを海外からの輸入に頼っています。
世界的な需要の増加や地政学的リスクによって、これらの価格が国際市場で大きく上昇。結果として、食品・日用品・光熱費など、私たちの生活に身近なものの値段が幅広く引き上げられています。
海外からの輸入品が割高になる「円安」

円安とは、外国通貨に対して円の価値が下がることです。iPhoneの価格推移を見てみましょう。グラフが示す通り、米国での販売価格は2020年以降のモデルはすべて799ドルと据え置きです。
しかし日本では、2020年発売のiPhone12が約9.4万円だったのに対し、2024年のiPhone16は約12.5万円と約32%も値上がりしています。
このように円安が進行すると、海外からの輸入品の価格が上昇します。
働く人のお給料や人手不足による「人件費の上昇」
3つ目の原因は、モノを作る・運ぶ・販売する人たちの「人件費の上昇」です。少子高齢化による人手不足を背景に、企業は働く人を確保するために給料(最低賃金など)を上げる必要があります。
また、物流の「2024年問題」などに伴う配送コストの増加も重なり、これまで企業が努力して抑えていたサービス料や商品価格への転嫁が進んでいます。
インフレに負けない!資産を守る3つの対策
インフレが進む時代に資産を守るには、お金を減らさない工夫とお金を増やす仕組みづくりの両輪が必要です。難しく考えず、できることから一つずつ始めてみましょう。

対策① 固定費の見直し
インフレが進むと、生活水準が変わらなくても支出が増えて家計を圧迫します。まずは、固定費(毎月自動で引かれるお金)を見直すことで、無理なく支出を減らしましょう。
主な固定費の見直し項目は、以下の通りです。
- 格安スマホ(SIM)への乗り換え(月5,000円以上の節約になる可能性)
- 電気・ガス会社の乗り換え(年間1万円以上の節約になる可能性)
- 使っていないサブスクの解約(初月無料でそのままになっている動画配信など)
- 保険の見直し(不要な保障がついた高い保険料を払い続けていませんか?)
これらの固定費を見直せば、生活水準を保ちつつ年間数万円の節約になることも。手続きが面倒かもしれませんが、まずは家計の「もったいない」を減らすことから始めましょう。
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対策② インフレに対抗できる「新NISA」でお金にも働いてもらう
「投資はこわい」と感じる方も多いと思いますが、インフレが進む時代に現金のまま置いておくことにも、実はリスクがあります。
新NISAで購入できる株式や投資信託は、インフレに強い資産です。物価が上がると企業は商品の値段を引き上げられるため、売上や利益も増えやすくなります。
その結果、企業の価値(=株価)も上がりやすくなるのです。現金の価値は物価上昇とともに下がりますが、株式などの資産は物価上昇とともに価値が上がりやすい特徴があります。
さらに新NISAなら、運用で得た利益に税金がかからないため、増えた分を丸ごと受け取れます。
どこに投資すればいいかわからない場合は、100円から全世界の株に分散投資できる投資信託「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」などを検討するといいでしょう。
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対策③ お金を「時間軸」で分けてライフプランを管理する

すべてのお金を運用に回す必要はありません。お金を短期・中期・長期の3つの財布に分けて管理するのがポイントです。
- 生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)は急な出費に備えて普通預金
- 数年以内に使う予定のお金は、定期預金や国債など
- 老後の資金や子どもの大学入学資金など、10年以上先に使うお金は新NISAで運用
このように、3つの財布に分けて計画的に資金を管理しましょう。
時間をかけるほど複利の効果が働き、インフレに負けない資産形成につながります。
まとめ:インフレ時代こそ、お金の「置き場所」を見直そう
物価上昇が続く今、銀行にお金を預けているだけでは、通帳の数字が増えても実質的な価値は年々目減りしていきます。
インフレの主な原因は、原材料・エネルギーの高騰、円安、人件費の上昇の3つ。そして、インフレに負けないためには、現金一択ではなく、お金の置き場所を見直す必要があります。
固定費の見直しで支出を抑えつつ、新NISAを活用して資産を育てることを検討してみてはいかがでしょうか。すべてを投資に回す必要はなく、①すぐ使うお金、②数年以内に使うお金、②10年以上先のお金の3つに分けて管理するだけで、家計の安心感は大きく変わります。
まずはできることから、一歩踏み出してみましょう。
※画像は全て著者提供
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記事執筆
ミライズFPオフィス代表を務める独立系ファイナンシャルプランナー(FP)。2児の父親でもあり、自身の子育て経験を活かし、子育て世帯の家計管理や資産形成をわかりやすく伝えることを得意としている。金融メディアでの執筆・監修など、活動の幅は多岐にわたる。
