その数は世界人口の1割程度ともいわれる「左利き」の人たち。ハサミや改札をはじめ、日常生活を取り巻くあらゆるものの多くは右利き仕様に作られており、時には不便な思いをすることも。一方で、天才肌・芸術肌といったイメージから、実は右利きの人たちからは憧れの目を向けられていたり……。
今回は、そんな左利き事情をママパパたちにアンケート調査。左利きに関する雑学を解説の上、ママパパにも子どもたちにも共通する左利きならではの「あるある」や、右利きがひそかに向けている左利きへの憧れについて、いただいた回答をご紹介いたします。
目次
いつ、利き手は分かれるの? 左利きが 天才といわれる理由は?
うちの子、左利きかしら? 左利きなら矯正すべき? そんなお悩みをお持ちで本記事を読んでいるママやパパもきっと多いはず。そんなママパパ向けに、まずは左利きの雑学をご紹介いたします。
左利きの矯正はもう古い! 左利き人口は増加傾向に
日本の左利き人口は11%といわれ、世界的に見ると多いほう。かつては右利きに矯正する風潮がありましたが、現在では、利き手を禁止されることで子供が受けるストレスが問題視されていることもあり、それもなくなりつつあります。そのことを理由のひとつに、現在も日本の左利き人口は増加傾向にあるといわれています。
なぜ利き手は分かれるの? 何歳で判明する?
利き手が右と左に分かれる理由は、一説には遺伝ともいわれていますが、明確には解明されていません。考古学の調査で百年以上前の左利き用の道具がみつかっていることからも、人類史のずっと古くから利き手の違いは存在したとされています。
利き手が判明する年齢は、4歳ごろとも、ママのお腹にいる胎児のころともいわれており、諸説あり。どちらにしても、利き手は基本的には生まれついたものと考えられています。
あの偉人も左利き?! 左利きが天才と言われる理由は?
一般的に、左手を使うと直感・ひらめきをつかさどる右脳が活性化し、右手を使うと記憶・言語認識をつかさどる左脳が活性化するといわれています。そのため、左利きの人は右利きの人に比べて右脳が優位とされ、「天才肌」もしくは「芸術肌」というイメージが抱かれているようです。さらに、ミケランジェロやピカソ、アインシュタインといった世界の偉人も左利きだったという説が、そのイメージの裏付けに。
左利きにしかわからない!「あるある」エピソード7選
そんな左利きには、右利きの人にはわからない「あるある」がたくさん! ママパパたちからアンケートに寄せられた「左利きあるある」エピソードをご紹介します。
【1】『世の中は右利き仕様にできている』
日常を取り巻く製品の多くは、困ったことに、圧倒的多数派である右利き仕様に作られています。ハサミや改札を筆頭に、おたまや缶切りなど、左手で使うには不便なものは数え切れないほど。お子さんが左利きの場合、左利き用のしつけ箸をなかなか見つけられず、ママパパが困ってしまうなんてこともあるようです。
【2】字を書くときに汚れる
漢字もひらがなも、そもそも日本語の文字の書き順は左から右(→)に向かって書くようにできています。左手に筆記用具を握り文字を書いていると、だんだん手の側面が汚れてきたり、自分で書いた字が見えなかったり。墨を使う習字では、洋服の袖が心配になることも。
【3】食事中に右利きの人と肘がぶつかる
左利きと右利き、互いの利き手が隣合うように座ると、お互いの利き手がぶつかってしまうという「あるある」なエピソードも。悪いことをしているわけではないのに、右利きの人との食事の際は右隣に座らないように気を遣っているという左利きのママパパも少なくないようです。
【4】左利きの子どもに教えるときに混乱する
こちらは、ママやパパが右利きでお子さんが左利きのパターンの「あるある」。お箸の持ち方をはじめ、日常生活のあらゆることを自分が慣れているのとは逆のやり方で教える必要があるため、混乱必至とのお声。利き手が自分とは逆のお子さんにお箸の持ち方を教えてあげる際は「正面に座ってあげると鏡合わせで見せてあげることができるのでやりやすい」というアドバイスもいただきました。
【5】腕相撲で不利
まずは右手で対戦することが多い腕相撲。右利きが大多数のなか、左利きだと不利に感じるという方も少なくありません。そのかわり、左手での腕相撲なら圧倒的有利に!
【6】両利きで使い分けができる
左利きだからといって、もちろん不便なことばかりではありません。なにもかもが右手仕様の環境で育ってきたおかげで、利き手じゃないほうの手だっていくらか器用になっているという方も多数。育児の際も両手を使うことができて便利、という声も寄せられています。
【7】しつけが悪いと言われた時代もある
一昔前までは、左利きは矯正すべきものという風潮があり、右利きでないと「しつけがわ悪い」と言われることもありました。けれども現在は、利き手は生まれ持ったものであり、頑張って変えられるものではないという考え方が広まっています。
サウスポーってかっこいい! 左利きに憧れる理由5選
「左利きあるある」からも見て取れるように、左利きが不便な思いをしていることは、右利きが想像している以上にたくさん。けれども、10人に1人しかいない左利きは、多数派である右利きにとってはレアかつ貴重な存在でもあります。なかには、左利きに憧れていた、現在も憧れている、なんてママパパも。
では、どのくらいの右利きのママパパたちが左利きに憧れたことがあるのでしょうか? アンケートの結果をまとめてみました。
Q.左利きに憧れたことはありますか?
おおよそ3人のうち1人が「左利きに憧れたことがある」という回答をくださいました! では、そんなママパパたちはなぜ左利きに憧れたことがあるのでしょうか?
以下では、ママパパたちから寄せられたその理由をご紹介いたします。
『かっこいいと思う』
まずいただいたのが、とにかく「かっこいいから」というご回答。右手仕様の物にも慣れながら左手も使えるその器用さをかっこいいと感じる方から、自分とちがうだけでかっこよく感じるという方まで。
『スポーツで有利』
また、「スポーツで有利」な点も理由として挙がっています。実際には、右打ちがメインであるゴルフのように左利きゆえに不利なスポーツもありますが、野球や卓球・テニスをはじめとした対戦試合では、相手にとって不慣れな対戦相手となり試合に有利であることも。
『特別感がある』
なかには、少数派であるからこそ、その「特別感」が羨ましいという声も寄せられました。なんでも、「選ばれしもの」のような響きを感じるのだとか!
『賢いイメージ』
また、左利きの人に「賢いイメージ」を抱いているママパパもいるようです。先述した右脳が優位になっている説や、世界の偉人たちにも左利きが多いという説がそのイメージを確固たるものにしているのかもしれません。
『芸術肌』
「賢いイメージ」と同様の理由から、「芸術肌」のイメージを理由に左利きに憧れるという声もいただいています。右脳が優位で直感やひらめきに恵まれているという説から、芸術に関する才能にも長けていると想像されているようです。
利き手も個性のひとつ! むりに矯正しなくても大丈夫
ここまで、ママパパたちからうかがった左利き事情について述べてきましたが、いかがでしたか? 現在では、左利き向け製品のバリエーションも豊かになり、かつてよりは簡単に手に入れることができるようになりました。また、ご紹介してきたように、左利きには右利きから憧れを向けられるような魅力的な側面もたくさんあります。お子さんやママパパ自身がもしも利き手のことで悩んでいても、むりに矯正しなくても大丈夫。まずは前向きに付き合ってみてはいかがでしょうか。
構成・文/羽吹理美