思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、ライフオーガナイザー鈴木尚子さんに「片付け」術を連載で教えて頂いています。鈴木さんは「【オーガナイズ→整理→収納→片付け(整頓)】の順番でなければ、片付けはうまくいかないと語ります。
前回は、片付けの【収納】方法について教えてもらいました。
今回は、さらに次なるステップ【片付け(整頓)】について解説してもらいましたので、ご紹介します。
「ライフオーガナイズ」とは?
筆者が提案したいのは、アメリカ発祥の片付け術である「ライフオーガナイズ」です。ライフオーガナイズとは、“もの“だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やもの、「暮らしを最適化」する片付け術です。
ライフオーガナイズの手法
単にものを捨てたり、収納グッズを揃えるのではなく、思考や、行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法です。
片付けの「基本の3ステップ」
ライフオーガナイズを理解してもらったら、次は「整理→収納→片付け」、すなわち「基本の3ステップ」についてもおさらいしておきます。
●「基本の3ステップ」
ステップ1. 選ぶ
ステップ2. 収める
ステップ3. 維持する
今回解説するのは、【片付け(整頓)】すなわち「ステップ3. 維持する」作業です。
片付けは「維持する」ができなければ、意味なし!
「ステップ1. 選ぶ」では、自分の今の生活に必要なものを選び取る大切さをお話ししました。そして、「ステップ2. 収める」では、自分にあった収納方法についてお伝えしました。
ここまでがしっかりできていれば、もはやうまく言ったも同然!と思うかもしれないのですが、「片付けたはずなのに、いつの間にかリバウンドしてしまう……」なんて経験はありませんか。
そんな方にこそ考えていただきたいのが、今回の「ステップ3. 維持する」なのです。私は、この最後のステップ「維持する」がとても大切と感じています。
片付けは一度でうまくいくものではなく、トライ&エラーでより良くしていくものなのです。
「うまくいかない理由はなんだろう?」という視点が大切
まずは、片付けのマインドを「一度でうまくはいかない」と変えていただきたいと思います。
やってみて、初めてわかることや気づくことが多いのが事実。ましてや、片付け下手だという自負があるなら尚更!
一度で諦めないでください。
大切なことは、「うまくいかない理由はなんだろう?」という視点です。
トライ&エラーとは?
やって見て初めてわかることや気づくこととは、どんなことでしょうか。
例えば、食べかけのパンを、埃が被らないようにステキな布を被せカゴ収納したら忘れてしまい(!)気づいた時には「パンにカビが生えていた!」なんて事ありませんか?
これは自分に合わない方法と言えます。
中が見えなくなると忘れてしまうという自分の特性にあっていなかったパターン。
もしも生活感の出る、市販のパンのパッケージロゴがうるさければ、透明のビニールに入れ替えると良いでしょう。自分は文字や色が刺激になり、苦手だということを理解しましょう。
自分なら、管理しやすいのはどっち?
みなさんは、下の写真を見て、自分なら管理しやすいのはどちらの状態でしょうか?
このように、やって見て初めてわかることもあるものなのです!
●やってみて初めてわかることの例
・見えないと、どこに入れたか忘れる。
・自分や家族にとって難しい、管理ができない。
・もっとアクションの少ない方法にしないと続かない。
・入れ物が小さ過ぎて、溢れてしまった。
・見た目ばかりで、機能性が悪い。
こんなときは
「この違和感こそチャンス!」
と思い、そのままにせず、やり直すことが重要なのです。
「 維持」のための3つのチェックポイントとは
ここで意識したいのが、維持のためのチェックの基準と言うべき“3つの定”です。
●「維持」のための“3つの定”とは
【1】定位置
【2】定量
【3】定時
【1】定位置をチェック
何はさておき、元の場所に戻すことができなければ、家はすぐに散らかってしまいます。
ですが、“元の場所に戻せない”という時には何らかの理由があります。
●定位置に戻せない理由の例
・使う場所のそばにしまう場所がない。
・しまうのが面倒。
・動線にあっていない。
まずは、「何故、定位置に戻せないのなんだろう?」「どうしたらできるのか?」を考えることが必要です。
例えば、ベッド下収納は、あまり使わないものを収納する場所ですが、週一で使うものを入れていては、しまうことが面倒になって出しっぱなしになってしまうかもしれません。
また、人によっては、ラベリングなどがないと、どこに戻していいかわからなくなるなんてこともあります。
つまり、戻せない状況を単純にリバウンドとせず、より良くするチャンスだと捉えていただき、定位置を改めて見直してもらいたいのです。
【2】定量をチェック
片付けは、生きている限り続くもの。
例えば、毎日1つ何かが増えれば、1年で365個モノが増加することになります。もし、4人暮らしだったら、1500近くモノが増えることになります。
ですから、意識をしていなければ「定量」を守ることは難しくなってしまうのです。
例えば、思い出のモノに皆さんは、「定量」を決めているでしょうか?
全て取っておくことができたら良いのですが、思い出のモノをしまって置ける場所は十分でありません。その場合には、「ここに入るだけ」という枠が必要です。
定量とは、枠を決めること!
枠を決め、ここに思い出が増えるたびに見直して、その時ベストなものを残す。
このやり方は、書類なども一緒です。放り込んである書類が出し入れしにくくなったら見直しのタイミングと言えます。
他にも、「定量」で表現できるのは
トイレットペーパーは何個あれば良いか?サランラップは何個ストックが必要か?など、数字に表すことも定量を守るためにできることです。
【3】定時をチェック
最後に、大切なのが“いつやるか?”ということです。
実は、これができていないというお家が多いのです。
片付けタイムを取ること
私は、夜キッチンやリビングをリセットすると決めていますが、日によっては疲れていてできません。そんな時には翌朝10分早く起きてやることにしています。それでも週によっては忙しくてできないこともあるので、休日の一時間を片付けに使っています。これが最終地点で、それ以上に溜めないこと!
“溜めれば溜めるほど大変になる”この心得をひきづらないようにしています。
お子さんがいる場合、もう一つ大きなタイミングになるのが毎日の片付けタイム。
我が家の場合は、夕飯→お風呂→9時までに寝るでしたので、お風呂の前に片付けタイムにしていました。お風呂に入り、余った時間はDVDを見ていい、ゲームをして良い時間にしており、ご褒美時間が楽しみなので、片付けるのが早いこと!ご褒美とセットはオススメです。
また年に数回、大きな休みの1日目は休みを取って、一緒に片付けタイムを過ごしました。おもちゃや学習用品、プリントの見直しと共にお道具箱に足りないものをリストアップする。最初は一緒にやっていましたが、3年生からはほぼ自分で行い、5年生からはそれを買いに行くまで自分でしてきたことが自立につながっています。
いかがでしたでしょうか?
「ステップ3. 維持する」がとても大切ということをご理解いただけたでしょうか? 是非、“3つの定”をチェックし直して見てください!
次回は、6月「クローゼットの収納について」ご紹介します。クローゼットが片付かない人は人生に迷っていると断言できます! 楽しみにしてくださいね。
過去の記事はこちら↓
記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている