ピーナツはおいしく栄養価が高い食品ですが、小さな子どもには誤嚥やアレルギーに十分注意し、3歳頃までは与えないようにしましょう。ピーナツの基礎知識をはじめ、ピーナツを使った料理やスイーツ、さらには自家製ピーナツバターの作り方を紹介します。
目次
ピーナツの基礎知識
カリカリとした食感が魅力のピーナツは、子どもから大人まで幅広く愛されています。炒ってそのまま食べることはもちろん、料理やスイーツに使ってもおいしく、さまざまなところで目にできる身近な存在です。
多くの人が慣れ親しんでいるピーナツですが、そもそもどのような植物なのか、どのようにしてできているのかを説明できる人はそう多くないでしょう。ここで改めてピーナツについての正しい知識を身に付けておきましょう。
南米原産のマメ科植物
「ピーナツ」は英語で、日本語にすると「落花生」です。同一の植物ですが、日本では植物として生えている状態や、殻が付いたままのものを「落花生」と呼び、殻から取り出して種子のみとなったものを「ピーナツ」と呼んでいます。
もともとは南米原産で、日本には江戸時代に中国経由でもたらされたといわれています。
ナッツとは別の物
名前に「ナッツ」が含まれているものの、実はピーナツはナッツの仲間ではありません。ピーナツのもとである落花生はその名の通り、花が咲いた後、子房の部分が地面に落ち、地中で実をつけるのが特長です。
ナッツは土より上の木の部分になるものを指すため、土の中で実をつけるピーナツはナッツの部類に入りません。そもそも、ピーナツはナッツ類ではなく「マメ科」であるため、植物の種類上も別物なのです。
含まれる栄養素
ピーナツには豊富な栄養素が含まれています。代表的な栄養素が、「タンパク質」と「脂質」です。炒り落花生100gあたりにそれぞれ26.5g、49.4g含まれており、あの小さいピーナツに含まれている量としては多いと感じる人もいるでしょう。
加えて、体の調子を整え、体の活動をサポートする「ビタミン」や「ミネラル」「リン脂質」なども豊富に含まれており、栄養満点の食べ物なのです。
子どもに与える前に知っておきたいこと
子どもに初めてピーナツを食べさせるとき、真っ先に頭をよぎるのが「アレルギー」や「誤嚥のトラブル」ではないでしょうか。
体が未発達な子どもが新しい食べ物を食べるときには、周りの大人が十分注意して見守る必要があります。子どもにピーナツを与える前に、以下の2点をしっかりと押さえておきましょう。
3歳頃までは食べさせない
小さな子どもはまだ噛み砕いたり飲み込んだりする力が弱く、気道も細いため窒息の危険があります。ピーナツを食べさせる場合は、せめてある程度の咀嚼と飲み込み・吐き出しが十分できるようになる3歳頃まで待ちましょう。
ピーナツのほか、その他のナッツ類や豆類も同様です。食べさせるときも、一気に口に押し込まないように少量ずつ与えたり、歩き回らずに座ったまま落ち着いて食べるように促したりと、大人がきちんと指導する必要があります。
アレルギーを発症することも
「ピーナツ」は、少量でも重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性の高いアレルギーのアレルゲンです。小さな子どもを持つ親であれば、留意すべきアレルギーであることを覚えておきましょう。
加工食品にも多く含まれるので、食品表示も確認が必要です。ピーナツは、卵や小麦、そば、えびに並び、成分が含有されていれば表示義務がある「特定原材料」に指定されています。
発症数も症状の重篤度も高く、一歩間違えれば命の危険もあるのがアレルギーです。食べさせる場合は3歳を過ぎてから、細心の注意をはらって与えるようにしましょう。
ピーナツを使ったおすすめ料理レシピ
ピーナツは軽い歯ごたえと濃厚なうま味があり、料理を引き立てる優秀な食材です。今までピーナツは市販品をそのまま食べたことしかなかったという人こそ、ぜひ料理に応用してみましょう。
「砕いて混ぜたり、振りかけたりするだけ」でアクセントになるため、ピーナツ好きなら気に入ること間違いなしです。おすすめの料理レシピをいくつか紹介します。
つぶして和えるだけ「もやしのピーナツサラダ」
◆材料
- もやし 1/2袋
- レモン汁 小さじ1
- 塩こしょう 少々
- オリーブオイル 適量
- ピーナツ 8粒程度
もやしの食感をよくするためにひげ根を取ったら、鍋に塩を一つまみ入れ、もやしがひたひたになるくらいの水を加えてゆでましょう。ピーナツはビニール袋などに入れて麺棒などの硬いもので砕きます。
ゆでたもやしの水を切り、オリーブオイルとレモン汁、塩こしょうを振りかけ、砕いたピーナツを加えてよく和えたら完成です。仕上げにパセリを散らせば彩り豊かになります。
ピーナツの量は好みで調整しましょう。増やせばザクザクとした食感が強くなります。
食感が楽しい「ピーナツ唐揚げ」
◆材料
- 鶏もも肉 200g
- 片栗粉 適量
- 卵 1個
- 醤油 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- 酒 大さじ1
- ニンニクチューブ 適量
- しょうがチューブ 適量
- ピーナツ 50g
丈夫なポリ袋に一口大に切った鶏肉と、分量分の醤油・みりん・砂糖・酒を投入します。好みでニンニクチューブとしょうがチューブも加えましょう。しっかり揉みこんで1時間~半日漬け込んだら、鶏肉を取り出します。
溶いた卵にくぐらせたら、砕いたピーナツをまとわせ、さらに片栗粉をまんべんなくまぶしましょう。あとは普通の唐揚げ同様に油で揚げたら完成です。
ピーナツが香ばしさと香りをプラスして、いつもの唐揚げよりもリッチな味に仕上がるでしょう。
ご飯によく合う「味噌ピーナツ」
◆材料
- ピーナツ 100g
- 砂糖 70g
- 味噌 60g
- 白ごま 大さじ1
- みりん 大さじ1
- サラダ油 適量
まずはサラダ油をひいたフライパンを温め、ピーナツを投入して炒めましょう。焦げないように注意しながら弱火で15分程度火を通したら、すべての調味料を加えます。飴状に粘りとツヤが出てきたら、白ごまをふりかけて完成です。
ピーナツに甘辛い味噌が絡むクセになるおいしさで、ご飯がよくすすみます。ピーナツの名産地である千葉県では給食のメニューに出るなど、なじみのある料理です。
おやつにぴったりの簡単スイーツレシピ
ピーナツはスイーツの材料として使っても相性がよく、見た目にも食感にもアクセントを加えてくれます。ピーナツの粉末を使えばスイーツによくなじみ、粒のまま使えば見た目に存在感をアピールできるでしょう。
おすすめのピーナツスイーツを二つ紹介します。どちらも家庭で簡単にできるため、試してみてはいかがでしょうか。
子どもに人気「ピーナツカップケーキ」
◆材料
- ホットケーキミックス 200g
- 牛乳 150cc
- 卵 1個
- ピーナツパウダー 20g前後
- ピーナツ 適量
ホットケーキミックス・牛乳・卵をボウルに入れて泡だて器でよく混ぜます。むらなく十分に混ざり合ったらピーナツパウダーを加えてさらに混ぜ、全体がなじんだら耐熱性のカップに流し込みましょう。
さらに彩りでピーナツを数粒上にのせ、160℃に設定したオーブントースターで約15分焼けばできあがりです。
焼いた後、生地に竹串を刺して確認し、生焼け状態であればもう少し焼き上げましょう。ピーナツの香ばしい香りが食欲を刺激します。
やみつきになる「はちみつピーナツ」
◆材料
- ピーナツ 200g
- 砂糖 大さじ2
- 水 大さじ1
- 蜂蜜 大さじ2
- 粉末ピーナツ 適量
温めたフライパンに砂糖と水を入れ、ふつふつと煮立ってきたらピーナツを加えましょう。水分がある程度飛ぶまで炒めたら蜂蜜を加えてさらに炒め続けます。十分炒めたら火からおろし、ピーナツパウダーをまぶして完成です。
ピーナツのザクザクした食感を増やしたい場合は、分量よりやや多めに粉末ピーナツをまぶしましょう。甘さは蜂蜜の量で調節してください。
薄皮ごといただく自家製ピーナツバター
ピーナツを使った食品の代表格といえばピーナツバターです。トーストに塗ることはもちろん、調味料としても有能なピーナツバターですが、実は自宅でも作ることができます。
市販品のピーナツバターとはひと味ちがう「自家製ピーナツバター」作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?作り方と応用料理を紹介します。
材料2つで完成!簡単な作り方
◆材料
- 皮付きピーナツ 500g
- 砂糖 大さじ3
ピーナツを薄皮付きのままフードプロセッサーに入れ、砂糖を加えてふたをします。しばらく攪拌して中身がペースト状になればできあがりです。ピーナツ自身の油分でねっとりとした質感になり、市販のピーナツバターのような見た目になります。
好みに合わせて砂糖の分量を調節しましょう。バターを加えればより味に深みが出て芳醇な味わいになります。
作ったピーナツバターは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早めに使い切りましょう。
夕飯のメインに「豚肉のピーナツバター焼き」
◆材料
- とんかつ用豚ロース 2枚
- 塩こしょう 小さじ1/2
- 味噌 小さじ2杯
- 酒 大さじ2
- ピーナツバター 大さじ4杯
まずはピーナツバター・味噌・酒をボウルに入れてよく混ぜます。次に、通常のとんかつを作るとき同様に豚ロースの筋を切って、肉叩きで厚さ5mm程度になるまで叩きます。塩こしょうで肉に下味を付けたら、先ほどボウルで準備しておいた調味料を表面に塗れば準備OKです。
あとはクッキングシートに肉を乗せ、200℃に設定したオーブンで約10分焼き上げましょう。豚肉に十分火が通れば完成です。豚肉を鶏肉に置きかえてもおいしいですよ。
ピーナツで作った豆腐「ジーマミー豆腐」
◆材料(ジーマミー豆腐)
- ピーナツバター 75g
- 無調整豆乳 400cc
- くず粉 15g
- 片栗粉 15g
- 水 50cc
- 砂糖 小さじ1
◆材料(たれ)
- 醤油 大さじ1/2
- みりん 小さじ1
- 酒 小さじ1
- 砂糖 小さじ1
ピーナツバターと片栗粉、くず粉を鍋に入れ、無調整豆乳をダマにならないように少しずつ加えます。十分になじんだら水と砂糖を入れて、焦げ付かないようにかき混ぜながら中火で温めましょう。
質感が変わり、プルプルとした見た目になったら生地を型に流し込みます。冷蔵庫に入れて十分に固まるまで待ちましょう。
ジーマミー豆腐のたれは、材料をすべて鍋に入れて煮立たせたら完成です。冷めたら冷蔵庫から取り出したジーマミー豆腐の上にかけて食べましょう。
ジーマミー豆腐は沖縄発祥の料理であり、モチモチした食感が楽しめるスイーツ感覚の豆腐です。ゴマ豆腐のピーナツ版のような独特の風味に驚かされることでしょう。
与える時期に注意して、おいしく食べよう
ピーナツは料理やスイーツなど、さまざまなメニューに加えられる親しみ深い食材です。栄養価も高いため進んで食べたいところですが、子どもに初めて与えるときには事故やアレルギーに十分に注意が必要です。ピーナツを上手に使えば、食卓がより豊かになります。料理のバリエーションを増やし、家族みんなで楽しみましょう。
構成/Hugukum編集部