いざ国内留学へ!コロナ感染が気になる今年準備に必要なのは?費用はどのくらい?細かなアレコレをチェック【後編】

注目の国内留学。何をどう準備すればいい?

昨今注目度が高まっている国内留学。わが子のよりよい未来のために、ぜひ行かせたい!と考えるママ&パパが増えているようですが、まだまだ知らないこともたくさん。

わが子は留学に向いている?準備期間はどのくらい?費用はどの程度必要?年齢に応じたオススメのプランやスポットは?事前にチェックはどうしたらいいのでしょうか。さらに今年に関してはコロナ感染のためいろいろな事業の中止、延期が続く中、国内留学事情はどのようになっているのでしょうか。国内留学アドバイザー・滝田佳子さんに聞きました。

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国内留学をする前に心得ておきたいこと

前回の記事でもご紹介しましたが、国内留学を決める前に心得ておきたい大切なことを、今一度おさらいしておきましょう。

  • 一番大切なのは本人の意思
  • 子どもの特性を見極める
  • 親がしっかりサポートする
  • 留学中は里親さんにお任せする

 

何よりも大切なことは、お子さん自身がどうしたいのか。「”国内留学をさせる”が目的になってはダメなんです」と、滝田さんも強くおっしゃっていました。お子さんにとって本当に国内留学が必要なのか、ということは事前にしっかり見極める必要があります。そして、留学前はもちろん留学中もご両親のサポートが必要不可欠。ママやパパの声がけひとつでお子さんの気持ちが変化するケースもあるので、里親さんと一緒に育てる気持ちで取り組みましょう。

準備期間は?必要な費用は?気になる項目を事前にチェック

興味はあるものの、まだまだわからないことも多い国内留学。準備にはどのくらいかかる?目安の金額は?初心者にオススメのプランは?など、あらかじめ知っておきたい情報について、滝田さんにお答えいただきました。

準備期間について

娘の種子島留学を決めたのは小学1年生のとき。そこから留学に行く3年生の春まで、約1年かけてリサーチを含めた準備をしました。「事前に準備しておくことは?」という質問もよく受けますが、まずは自分のことは自分でできるようにすること。寮生活では、洗濯も部屋の掃除も子ども自身で行います。毎日の生活の中で、自分のことは自分でできるよう、親子で取り組んでおくといいと思います。

費用について

行く場所にもよりますが、NPO法人が運営しているところは大体月額10万円程度が相場。海外留学に比べると費用は安いと思います。種子島は8万円ほどで、半分町が負担してくれるので、当時の実質は月額4万円でした。10万円あれば安心、という金額感で検討されるといいと思います。

ステイスタイルについて

国内留学の主なステイ方法は、里親さんと暮らすホームステイ、もしくは寮の2パターン。どちらがいいかはお子さんの性格や年齢、その時の状況によって変化することなので、一概には言えませんが、初めての方には、より安心できるホームステイをオススメしています。ホームステイは小学2年生から、寮は小学4年生以上が対象です。

在学している学校での扱いについて

国内留学の際は住民票を移し、転校生という扱いになります。元々在学していた学校を休んでいることにはならないので、安心してください。寮の場合は「世帯主」になります。小学生にして世帯主になった娘は「私、世帯主!」と自慢気でした(笑)。

留学中の面会について

里心がついてしまわないように、春に行ったら夏休みまでは会えません。夏もひとりで帰ってくるので、両親が留学先を訪れることは禁止されています。こちらから行けるのは、夏休み後の秋の運動会。わが家はじじばばを引き連れて、ひとり娘に対して9人の大所帯で行きました。

留学先の男女比について

地元のお子さんとのバランスがあるので、女の子が多い地区は男の子の留学生が多かったり、毎年どこに何人入れるかは状況に応じて変わります。

年齢に応じたオススメの場所やプランについて

国内初の山村留学制度をつくった「育てる会」は、留学のノウハウがしっかりあって、歴史も古く信頼できる団体のひとつです。東京をはじめ、関東近郊に居住されているご家族は、長野県という立地が何かあったときに駆けつけやすく、親子ともに安心できますし、親子参加型の週末イベントも多くて頻繁に会えるので、初心者向けにはいいかな、と思います。今はコロナの影響で中止されていますが、自然体験キャンプもやっていて、年齢や季節にあわせて様々な活動をしています。

サマースクールなら「花まる野外体験」がオススメ。ここは、旅行チックなキャンプではなく”野外体験”。現地へ行って地元の人と交流するなど、体験から得られる学びがたくさんあります。まず親と離れるところからスタートしたいお子さんの場合は、ベルトコンベアのように次々と色々な体験をさせてくれる、至れり尽くせりのプランもいいでしょう。どんなプランがフィットするかはお子さんによって様々。まずは1泊2日程度からスタートして、物足りなくなったらちょっとずつステップアップしつつ、自分でできるようにしていく、というやり方もいいかもしれませんね。

種子島から帰る日に、いままでお世話になった方々が大勢空港まで見送りに来てくれたそうです

 

アドバイザー滝田さんに質問!留学にまつわるギモン、これってどうすれば…?

こんなときはどうすればいい…?これってアリですか…?など、親目線の率直な質問に滝田さんがアンサー!モヤモヤを解消すべく、滝田さんにアドバイスを伺いました。

Q:少々気が弱い息子。留学に向かない性格ってあるんでしょうか?

A:今まで止めた子は何人もいます。それは、本人が行きたくないから。何よりも重要なのは本人の「行きたい」という意思です。前回、タフさは大事、とお話ししましたが、気が弱い子ほど開花する場合ももちろんあります。留学は子どもだけの問題ではなく、親御さんのサポートがすごく大事。行ったあとに「やっぱり帰りたい…」とか、電話がかかってきたりもしますが、その時の声かけ次第で伸びることもあれば潰れてしまうこともあるんです。お子さんにあった声かけができるかどうかがとても重要なので、里親さんと密に連絡を取り合って、お子さんの状況をきちんと把握することが大切です。

Q:興味の引き方がわかりません。どうすれば…?

A:ぴたりとハマるお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。興味がなければ親子留学や短期のサマーキャンプでゆるっと楽しむとか、その程度で十分です。お子さんそれぞれにあった学びがあるので、まずはキャンプから行って、1泊じゃ足りないから次は2泊、と徐々に増やしたり。あとは地元の子とお友だちになると「また会いに行きたい」と子どもが自発的になることもあります。娘もまさにそのパターン。当時娘が仲良くなったお友だちは学年唯一の女の子。「来年来てくれたらうれしいな〜!待ってるね」と言われたのが決め手でした。そして、ご縁があってその子のお家にホームステイすることになって、これはもう運命だな、と思いました。

Q:男の子で自分から留学を希望する子はいますか?

A:たくさんいます。北海道は比較的馬が好きなお子さんが多くて、人気漫画「銀の匙」に憧れて来ました!なんていう子も中にはいました。好きなことの延長というパターンは多いですね。留学ありきでは挫折しやすいので、何か好きなことがあって、そこに付随してここへ行ってみよう、こんなことしてみよう、という進め方はアリだと思います。

5年生で行った北海道の山村留学期間が終わり、1年間一緒に過ごした仲良しの馬とも涙のお別れ

Q:中学受験を検討しているなら低学年で行くべきでしょうか?

A:5、6年生で留学するお子さんもいます。むしろ雑音が入らず集中できるようです。留学先のほとんどの学校は少人数教育。学校全体の生徒数が首都圏の学校のひとクラス程度なので、常に先生の目が行き届いている環境です。そこで集中力がつくとあとからの追い上げ力がスゴイ。5年生くらいで留学をして、トップクラスの学校に合格しているお子さんは少なくありません。

Q:行ってみたらなんか違った…という場合、途中でやめるのはアリですか?

A:そういうパターンもありますが、基本的には「途中で帰る」という選択肢はありません。そこでやめると”挫折”になってしまうからです。乗り越えれば成功体験になるので、よっぽどじゃない限りは歯を食いしばって乗り越える。環境を変えたり、対応策を考えて、お子さんの気持ちを切り替えてあげましょう。そのとき、親御さんだけで抱え込まないこと。声をあげれば地元の方など、皆さん協力してくれますから。みんなで子どもを育てる、というスタンス。ひとりで子育てする必要はまったくありません。

Q:短期のサマースクールも強引に参加させるのはダメでしょうか?

A:結論からいうと「アリ」です。お泊まり保育だと思って出しちゃえばいいんです。ママがいる前では号泣していても、いなくなるとケロッとしてる男の子、結構います(笑)。キャンプという名のお泊まり保育だと思ってトライさせてみて、そこから練習すればOK。国内留学というと、すぐに1年行かせようと張り切ってしまうお母さんは少なくありませんが、そこはステップを踏んで、焦らずゆっくりと。目的は国内留学をさせることではありません。お子さんが行きたくなるように興味を引き、仕向けることから始めましょう。歴史好きだったら、○○県の○○はどう?とか、お子さんの特性を見て、何がヒットするのか、そのために留学は必要なのかを考えましょう。行ったら行ったでものすごく視野が広がるので、あとはもう本人にお任せ。「何もなかった〜」って帰ってくるお子さんもいますが、何もないわけないんです。ただ語彙力がなくて伝えられないだけで、行っただけでもう、スゴイこと。そのときの経験がいつどこで活きてくるかは、お子さんによって違いますからね。

 

留学前の特別体験会で作ったペットボトルロケット。作成後はみんなで飛ばして誰が遠くまで飛ばせるかを競いました

Q:リアルな留学が難しい今、オススメの楽しみ方を教えてください!

A:昨年からのコロナ禍で、オンライン国内留学やオンライン海外留学など、多数のイベントが実施されています。自分の留学模様をライブ中継したり、オンラインのイベントが拡大している今は、より留学を身近に感じられるチャンス。PCから見せてあげるだけでもすごく刺激になると思います。お兄さん、お姉さんが頑張っている姿を見て、近い将来自分もこんな風になれるんだ、と想像できたり、オンラインならではの留学の楽しみ方がありますよ。

 

コロナ禍の国内留学、いままでとの違いは?

最後に、新型コロナ感染拡大により今までと国内留学の受け入れについて変わった点を「育てる会」に問い合わせてみると、都市部にいるより安全という思いからか、国内留学する子どもの数はそれまでとあまり変わらず、2021年4月期から開始する留学先は定員になっているところも多いとのことでした。ですが、実際に今年4月からの留学を目前にした家庭では、子どもは留学開始前の一定期間の体温および健康チェックや、留学先に到着しても2週間ほど寮や受け入れ先の家庭でできるだけ外出を控えることもあるそうなので、ある程度の覚悟は必要です。

また、1年間ゆっくり考えて2022年4月以降の留学を考える際も、今年、来年に留学を実施する先は通常の年より少ないそうで、行きたかった留学先にいけなくなることもあり、事前リサーチが重要になります。

さらに今年行われる予定の現地見学会や体験会は開催されず、オンラインでの面談のみで受け入れ先が決まることもあるそうなので、親御さんの見極めがより重要になると共に、受け入れ先の家庭との連携をさらに密にしながら、子どもの不安を解消するための細やかなやりとりをすることが必要になるのでは。とのことでした。

 

2回に渡りお届けした「国内留学」、いかがでしたか?できる限り子どもの気持ちに寄り添い、時間をかけて親子一緒に楽しみながら留学を知り、1年間、短期、サマースクール、サマーキャンプなどなど……、誰もが納得の上、期待に胸を膨らませて参加できる形を見つけられるといいですね。

 

取材・文/村井絢

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