「どうして学校に行かないといけないの?」
「なんのために学校があるの?」
お子さんからそんな質問を投げ掛けられた経験、ありませんか?
勉強のため? 友だちをつくるため?
あなたが今、ぱっと思いついた「〇〇のため」という回答の「〇〇」とは、親として「学校生活で子どもに培ってほしい・身に付けてほしい」とひそかに願っている能力や経験かもしれません。
今回は、HugKumメルマガ読者のママパパを対象に「学校生活で子どもに身に付けてほしいこと」「子どもから『学校に行きたくない』と言われたときの対応」についてのアンケート調査を実施。寄せられた回答を通じて、親が思う「学校の意義」についてを考察していきます。
そもそも「学校」とは? 「学校」の定義と意味
学校はなんのためにあるのでしょうか。
ママやパパ、もしくはお子さんによって、その解釈は異なるかもしれませんが、「学校とはなにか」の一般的な定義は「学校教育法」に基づいて定められています。まずは、「学校」の定義および、そもそも「教育」とはなにか、その目的をおさらいしてみましょう。
「学校」の定義って?
「学校」のなんたるかが定義されているのは、日本国憲法制定後に施行された「学校教育法」においてです。
その一条では、「学校」とは「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」とされ、これらのような教師が児童や学生に教育をほどこす場所を指します。
そもそも「教育」とは?
では、その「教育」というのは、いったいどのようなことなのでしょうか。
「教育基本法」の第1条(教育の目的)には、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と記されています。
つまり、「教育」とは、
・平和な国家・社会を支えるために必要な資質
・健康的な心身
・人格の形成
これらを育むことを目指すものとして定義づけられていると言えます。
学校生活で子ども身に付けてほしいことは?
上の定義とは別に、親として「学校生活で子どもに身に付けてほしいこと」はご家庭によってきっとさまざまですよね。HugKum読者のママパパは、学校生活の中で子どもにどのようなことを身に付けてほしいのか、アンケートに寄せられた回答をご紹介していきます。
協調性
周囲と助け合って協力することができる「協調性」は、子どものうちだけでなく、大人になってからもずっと重要となる能力です。学校という集団での生活環境だからこそ、育まれることを期待したい……そんな、ママやパパからの声が多数届きました。
友達との関わり方・付き合い方
色々なお友達と知り合い、長い時間を共にできるのも、学校生活ならではのこと。時にはケンカをしたり、仲直りをしながら友情を育み、他者との付き合い方を学んでいってほしいですよね。
コミュニケーション能力
学校は、お友達だけでなく、先生や上級生・下級生など、あらゆる人との関わりを持てる場所でもあります。普段はなかなか接点のない人が相手でも、どうしたら円滑にコミュニケーションが取れるのか、自ら考えながら習得していける環境とも言えるのではないでしょうか。
マナーや規律性
社会生活を送っていく上で必要不可欠な「マナーや規律性」は、子どものうちから自然と身に付けていけるといいですよね。これらの指導を受けつつ、先生やお友達との人間関係の中で、実践もしていけるのが学校です。
思いやりの気持ち
マナーや規律性とおなじく「他人を思いやる気持ち」も、大人になってからもいつまでも大切なものです。たくさんの人とコミュニケーションを交わしていくことで「相手の立場に立って物事を考える」感覚が培われることを期待します。
主体性
学校では「主体性」を身に付けてほしいという声も見受けられました。さまざまな人が入り混じる集団生活でこそ、自分自身でしっかりと考え、判断し、行動できる力を身に付けていきたいもの。
創造力や思考力
なかには、自分で考える「思考力」に加えて、自分の力でなにかを生み出す「創造力」の育みを期待するママやパパも。決まりきったことをやるだけでは生きていけない…そんな世の中だからこそ、自分で考え、それを形にする力を身に付けておきたいですよね。
得意なことを伸ばす(見つける)
理数系・文系・スポーツまで、あらゆる教科に触れることができるほか、部活などを通して、多岐にわたった役割や、人との関わり方を経験できる学校生活。自分だけの「得意なこと」を見つけたり、伸ばしたりする機会にもきっと恵まれるはず。
もし、子どもに「学校に行きたくない」と言われたら
多岐にわたったメリットが期待できる学校生活。
では、もしもお子さんが、ある日突然「学校に行きたくない」と言い出したらどうしますか? 行かなくてもOK? それとも、無理にでも通わせる?
その判断や理由にこそ、それぞれのママやパパにとっての「学校」というものの意義が潜んでいるような気がします。HugKum読者のママパパなら、このシチュエーションにどのように対処するのでしょうか。集まった回答をお伝えします。
子どもの話を聞く
まずは、子どもが抱えている悩みに耳を傾けることが大切、とのご意見。悩みの内容によって、その後、登校させるか・させないかの判断は変わってくるようです。
「軽い感じで理由を聞き、一度はサラッと流します。あまり大事に捉えると子どもが余計敏感になると思うので、わりとさらっとポジティブに返事しつつしばらくは目を放しません。 親が鵜呑みにしたり大事にすると子供が敏感になるので。」(30代・大阪府・子ども2人)
「行きたくない理由を聞いて、対処できるかできないかで登校してもいいかしなくてもいいか話し合う。意思を尊重したいので」(50代・大阪府・子ども1人)
休ませる・無理をさせない
「無理をさせてまで行かせない」という声も寄せられました。「学校に行かない」というのも子どもの意志。子どもが考えて選んだ「行かない」という選択ならば尊重したい、というご家庭は少なくありません。
学校へ行く意味を諭す
反対に「学校へ行く意味や必要性を伝える」というママパパの声も見受けられます。いやなことがあっても通おう、とお子さんが前向きになれるような説得力が必要となりそうです。
無理にでも行かせる
「無理にでも行かせる」派のママパパからの声も届きました。「イヤでも頑張って行く」というその忍耐力こそが、学校生活で培うべき力、とのご意見。
学校と相談して対応を考える
理由によっては学校に相談してみることも大切、とのアドバイスも寄せられています。解決に向かって動いてみることも学校生活での学びのひとつですよね。
ほかの学び方を探す
子どもの勉強方法が多様化している昨今。学校に通わなくても、塾や家庭教師、通信教育などを使えば、知識を身につけることは可能です。場合によっては、「勉強は他の学び方によってしっかり続け、学校はお休みをする」という戦略的一時撤退を試みるのも手かもしれません。
子どもがポジティブになれるような「答え」を用意しておきましょう
「どうして学校に行かないといけないの?」
繰り返しになりますが、その答えはご家庭での考え方によってそれぞれ異なるもの。
学校生活でどんなことを身につけてほしいか、そこにどのような意義があるのか……ご自身の考えを念頭におきながら、いざ訊かれたときのために、お子さんがその後の生活をポジティブに捉えられるような答えを用意しておけるといいですね。
構成・文/羽吹理美