「右に出るものがない」ってどうして右なの?【子どもにきかれて困る故事成語】

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日ごろ何げなく使っている言い回しも、実はその由来をよく知らないものは多いですよね。ふと疑問を感じた子どもから「どうして?」ときかれて困ったことはありませんか?

今回は「右に出るものがない」という言い方について考えてみましょう。

「右に出るものがない」の意味

その人よりもすぐれた人はいない、ということ。

『小学館 故事成語を知る辞典』より

「右に出るものがいない」の意味は上のとおりですね。ただし、子どもにきかれがちなのは、この言葉の意味というより「なんで右?  左じゃだめなの?」という疑問です。

なぜ「右」なのでしょうか。正解はどれだと思いますか?

1)
昔、中国では偉い人の席次が右側だったことから
2)
古代のオリンピックの表彰台の並び方から
3)
車の追い越し車線が右側であることから

正解は
1)昔、中国では偉い人の席次が右側だったから

「右」のほうがえらい?

昔の中国では、宮廷や公の場所で位の高い人が座る場所が右側でした。そのため中国では、この言い回しが古くから使われていました。

中国の歴史書「史記」の田叔伝(でんしゅくでん)には、次のような話があります。

ある王の家臣たちが反乱を起こそうとしましたが失敗し、処罰の対象となってしまいました。前漢の皇帝・劉邦が彼らに会ってみると、彼らはいずれも優秀な人材ばかり。そこで「漢廷に能く其の右に出ずる者なし(漢の王朝には、彼らの右に座れるほどの人物はいない)」と感じ、劉邦は彼らを部下として召し抱えました。

「史記」が成立した紀元前1世紀には、すでにこの言い回しが用いられていたわけですね。

とはいえ、同じ中国でも、時代によって右より左が重んじられたり、再び右が重んじられたりと変遷を重ねたようです。日本の律令制度を見ても、左大臣と右大臣では「左」大臣のほうが位が高かったとされますし、政治思想でいう「右派」「左派」にも優劣関係はありません。

となると、右が左にまさるとするのは、この常套句に限ってのことと考えたほうがよさそうです。

故事成語を親子で楽しむ

古くから使われている言い回しという意味では「ことわざ」もそうですが、歴史的なエピソードや特別な出来事(故事)から生まれた表現を特に「故事成語」といいます。よく考えると「なぜ?」と思うような変わった言い回しには、歴史的な由来が関係していることが多いようです。

日ごろ何げなく使っている言葉にも意外な由来があったりしますので、親子で身近な故事成語をさがしてみてはいかがでしょうか。

 

構成/HugKum編集部
協力/小学館  辞書編集部
イラスト/もとき理川

小学館 故事成語を知る辞典

編/円満字二郎 定価/1900円+税

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