意外に多い子どもの接し方の悩み
自分がお腹を痛めて産んだ子だから、子どものことはなんでも分かる!と思いがちですが、わが子だってひとりの人間。外に出たときから、個性や自分の気持ちを持っています。
子どもの成長に感動したり、新しい発見に喜びを感じたり、人生に実りを与えてくれる子育てですが、親子といえど人間同士。ときには、ぶつかり合うこともあるでしょう。
「わが子なのに、わが子がわからない」そんな悩みを感じたことがあるママ・パパは意外にも多いもの。いったいどんなときにそう感じるのでしょうか。
Q.「子どもとの接し方が分からない」と悩んだことはありますか?
ママパパの体験談
アンケート結果を見てみると、半数以上の方が子どもとの接し方に悩みを抱えた経験があることがわかります。
回答からは、「突然子どもの気分が変わって、理由がわからずついていけない」など、特に気持ちの移り変わりが激しい時期に手を焼くママ・パパが多いことがわかります。
また、親が子どもに求める姿と現状のギャップにやきもきし、適切な対応ができないという悩みもあるようです。大きな問題でなくとも、親心から心配になり辛く当たってしまう場合もあるでしょう。しかし、それが愛情からくる行為であっても子どもにとっては負担になってしまうことも。
子どもへの接し方に悩むときこそ、焦らず子どもの気持ちの変化や成長度合いに気づいてあげることが大切です。
子どもの接し方の基本の考え
わが子というだけで、ついなんでも理解しているような気持ちになりがちですが、親子間でも兄弟間でもそれぞれが個性を持っています。性格や価値観もバラバラなので、合う部分もあれば合わない部分も出てくるでしょう。
夫婦間でもそうであるように、親子間でも互いを尊重し合う気持ちが鍵となります。具体的にどのような接し方を心がければよいのでしょうか。
ひとりの人間として見つめる
自我が芽生えてくると、子ども騙しが効かなくなり、子ども自身も成長に応じてさまざまな表現をするようになります。特に初めての子育てのときは、その対応に辟易しがち。イライラしたり大人げない対応をしたり、壁にぶつかります。
子どもとはいえ、自分なりの考えや意見を持っているので、大人にとっては理不尽に思える主張をすることもあるでしょう。言動の理由がわからないときは、少し俯瞰してみるとヒントが見つかるかもしれません。
“わが子”というフィルターを外し、ひとりの人間として見つめ、気持ちに耳を傾けてみてはどうでしょうか。幼さが故に、まだ自分の想いをうまく伝えられず、フラストレーションが溜まって突飛な行動をとることもあります。
ついついその場を収めるために丸め込んでしまいがちですが、余裕があるときは少し時間をとり心の声を聞いてあげるとよいでしょう。
同じ目線に立って、対話をする
子どもに大事な話をしたいときや、子どもの話を聞きたいとき、どうしていますか?忙しい日々を送っていると、ついつい何かをしながら会話をすることも多いですよね。
しかしそれでは本当の意味で心が通った会話にならないかもしれません。大切なのは、対話です。子どもが話を聞いて欲しそうなときや、伝えたいことがあるときは一旦手を止め、子どもと同じ目線に立ち、面と向かって話す時間を作りましょう。
心がささくれだっているときは、スキンシップを取りながら対話をするのもおすすめです。手を握ったり、頭をなでたり、触れ合いがあると“愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌し、不安が和らぐと言われています。
成長とともに、スキンシップが難しくなりますが対話はずっと続けられます。子ども自ら話すことが減ったとしても、「いざというときは親が話を聞いてくれる」と思えることが大切。自己肯定感の向上にも繋がります。
心が離れていると感じたときも、目を見て話す時間を作るように心がけたいですね。
変に子ども扱いしすぎない
ひとりの人間として扱う、という視点で考えると過度な子ども扱いは禁物。発達度合いに合わせた対応や、危険回避における子ども扱いは必要ですが、「子どもだから◯◯だろう」といった固定概念は持たないほうがよいでしょう。
子どもはそんな大人の対応を敏感に察します。ママ・パパも幼い頃一度は「子ども扱いしないで!」と大人に感じたことがあるのでは?
特に、小学校中学年以上からは大人への準備期間として見てあげることが大切です。親にとってはいつまでも子どもなので、保護する存在として幼い頃のまま接してしまうときもあるでしょう。
「かわいい子には旅をさせよ」という言葉の通り、ときには厳しい経験や辛い経験を味わうことも必要です。失敗に傷つくこともあれば、学ぶこともあります。
子どもには親の元にいる時期だからこそ、安心して小さな挫折を経験して欲しいもの。家族という安全基地があれば、困難に直面しても立ち直ることができます。
反対に、思い切り甘えられる時間もあるとよいですね。失敗したり甘えたり、心のバランスを整えられると自分の気持ちもコントロールしやすくなります。
ときには、子どもを立てる
子どもへの接し方がわからないときは、きっと子ども自身もストレスを抱えている状態のはず。そんなときは、子どもの自尊心が低くなっているかもしれません。
頃合いを見ながら、「◯◯が上手でびっくりしちゃった!」「△△のおかげで助かったよ」と子どもを立てる瞬間を作りましょう。何気ない出来事の中でも、自分を立ててもらえるとうれしくなるはず。
子どもへの尊重を具体的な言葉や行動で表すと、自尊心が高まっていくことでしょう。
年齢別 子どもの成長と接し方
発達段階に応じて、身体だけでなく心にもさまざまな反応が現れます。成長の証と頭ではわかっていても、子どもの変化に戸惑うことも。年齢に応じてどんなことが起こりえるのか知っておくと、接し方もその都度ギアチェンジできそうです。
1歳~3歳ごろに迎えるイヤイヤ期
第一次反抗期と呼ばれる“イヤイヤ期”。イヤイヤ期という言葉は広く知れ渡っているので、出産前から「1〜3歳は大変!」と聞いたことがある方も多いでしょう。
自我が芽生え、自己主張が始まる頃で、自分でやりたいけれど思うようにいかず癇癪を起こしたり、言葉でうまく気持ちを伝えられず泣いて怒ったりと、手を焼く時期です。
この時期は、時間に余裕を持つことがひとつの鍵です。納得がいくまで「自分でやりたい」気持ちに付き合えるように、出かける前は時間を確保する。
また、子どもの気持ちに耳を傾けることも重要です。心で思っていることを代弁してあげると、子どものモヤモヤがだんだんと解消されるかもしれませんよ。
4歳~5歳の中間反抗期
第一次反抗期と思春期に迎える第二次反抗期の間にあるのが、中間反抗期です。4歳〜小学校中学年と幅広い年齢層で、現れ方もさまざま。
なかでも、4〜5歳の時期は、幼稚園や保育園での集団生活が始まり、自分でできることも増えていきます。しかし、まだまだ身体は小さく心も幼いため、ギャップが生じフラストレーションを抱えてしまいます。
また、言葉遣いが悪くなるのもこの時期。親からしたらまだまだ幼く見えますが、子どもは一人前になったような気分になり大人に対して生意気な態度をとることもあるでしょう。
頭ごなしに叱るのではなく、この時期からは対話が大切。子どもの話をしっかり聞き、良いこと・悪いことの分別も教え始めましょう。してはいけないことを伝えるときは、理由も説明してあげてください。ひとりの人間として接していくなかで、子ども自身の発見や成長があるはずです。
小学校入学時の情緒不安定
小学校に入学すると生活がガラッと変わります。自己管理が必要になる場面や、ルールに沿って行動することも増え、子どもにとっては大きな負担に。
新しい友だちや環境を楽しみながらも、慣れない学校生活に対し知らずしらずのうちにストレスを抱え、情緒不安定になることもあるでしょう。
ここでも対話が重要です。根掘り葉掘り問いただすのではなく、子どもが話したがっている様子が見えたらしっかりと話を聞く態勢を整えてください。
また、子どもの表情や心の変化に気づけるとよいですね。自立を促しつつも、目を離さないことが大切です。
3~4年生にみられるギャングエイジ
“小4の壁”という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。ここには預け先や学習面の問題のほかに、心の変化における問題も含まれます。
自分と他者の区別がつき、自分自身を客観的に見られるようになる時期で、集団で行動し始め、友達との関係性を重要視し大人に反抗する様子が見えます。
なかなか難しい時期ですが、自立への第一歩と考えると見方も変わってくるでしょう。ときには大人扱いをして、責任について学ぶことも大切です。
それでもまだまだ9〜10歳。大人になろうとしながらも、ママ・パパに甘えたい気持ちも残っています。そんなときは、甘えたい気持ちをしっかりと受け止めたいですね。
本格的な思春期を迎えたら
青年期を迎えるといよいよ本格的な思春期が訪れます。学校から帰ったら「ただいま」も言わずに部屋にこもることや、反抗期における暴言が出ることも。また、気持ちがコロコロ変化するのも特徴です。
「さっきまではひどい態度だったのに、急に甘えてきた」というように親が翻弄されがちですが、ドンと構える強さや忍耐力が求められます。
自身の心や身体の変化に戸惑い不安定になりやすく、大人に近づきつつもまだまだ未熟なので、危険な目に合う可能性もあります。かわいかったわが子の急変にショックを受けるかもしれませんが、しっかりと心を繋いでおくことがポイントです。
また自己肯定感が低くなりがちな時期なので対話の時間を大切にし、ひとりの人間として認めた接し方も鍵となります。振り返ればあっという間の思春期、しっかりと反抗してもらい引き締めるときは引き締める。
親子共に、自身を見つめるきっかけになるかもしれません。
成長に合わせた臨機応変な対応を!ひとりの人間として接することが鍵
子育てをしていると必ずと言っていいほど、ぶつかる壁。子どもへの接し方に悩みや不安を抱える親子は意外に多いことがわかりました。
子育ては、心を持った人間を育てているので難しい場面に直面することは避けられません。そんな中でも、子どもの心の声に耳を傾けたり、発達段階における変化に気づいたり、子どものありのままを見つめると状況が良くなるかもしれません。
親子間でもお互いを尊重し合える関係性を築きあげられるとよいですね。
構成・文/秋音ゆう