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サーキュレーターは使い方次第で「意味ない」「逆効果」になる場合も?
部屋の空気を循環させて、暖房や冷房の効率をあげる家電、それが「サーキュレーター」です。ですが、使い方を間違えると、効果が見込めないばかりか、逆効果になったり、危険なこともあります。
サーキュレーターとは?
ここ数年で家電量販店やインターネットの紹介記事などで、よく見かけるようになった「サーキュレーター」。もとの言葉である「サーキュレート(circulate)」は、「円のようにぐるぐる回る」「循環する」という意味があり、「サーキュレーター」は日本語にすると「循環装置」となります。
暖房器具やクーラーなどの冷房器具を使った場合、暖房器具で温められた空気は部屋の上の方にたまり、一方、クーラーなどで冷やされた空気は部屋の下の方にたまってしまいます。
そうした上の方、下の方にたまった空気を循環させて、部屋全体を暖める、あるいは冷やしてくれるのが、サーキュレーターなのです。
「それなら、扇風機でもいいのでは?」と思うかもしれませんが、扇風機はあくまでも風を人の身体にあてて涼しくするためのもの。たまった空気を動かすためのものではありません。
サーキュレーターは、扇風機とは違う空気の流れを作り出し、部屋の空気を動かしてくれます。
冬の暖房編│サーキュレーターの使い方、置き場所・設置場所
寒い冬、暖房器具やエアコンで部屋を温めるときにサーキュレーターを使うと効率的に温めることができます。冬のサーキュレーターの使い方、置き場所・設置場所を見ていきましょう。
使い方のコツや注意点
冬のサーキュレーターの使い方のポイントは、「温められた空気は上にたまる」という空気の性質を理解することです。
温められた空気は、比重が軽くなって、部屋の上の方にたまります。別の言い方をすると、部屋は上の方(天井の方)から温かくなっていきます。
部屋全体、特に足元を温めるためにサーキュレーターをうまく使いましょう。
置き場所・設置場所
部屋の上の方にたまった空気を動かして、部屋全体を温めるには、サーキュレーターの置き場所・設置場所に気をつける必要があります。大きく分けて2つの場所が考えられますので、部屋の状況などに応じて選んでください。
天井に向ける
サーキュレータを天井に向けて、部屋の空気を動かします。サーキュレーターから天井には空気を上向きに動かし、天井にあたった空気が天井から壁を伝って、下に移動してくるイメージです。
鍋でお湯を沸かしているときに、水が対流しているようなイメージです。サーキュレーターの風を天井の中心あたりにあてるとよいでしょう。
エアコンに向ける
サーキュレーターをエアコンから一番の遠い位置(対角線上)に置くことも、部屋全体を温めるのに効果的です。エアコンから一番遠い位置は、部屋の中で一番温まりにくい場所にもなるので、サーキュレーターの風をエアコンに向けて、エアコンから出てくる温かい風を部屋全体に拡散させます。
エアコンなしの使い方や注意点
エアコンがない部屋でもサーキュレーターを使うと効率的に部屋を温めることができます。
ストーブと併用
ストーブは部屋を強力に温めることができますが、その分、温められた空気は部屋の上の方にどんどんたまっていきます。部屋全体を温めるには、ストーブで温められた空気がたまるあたりに、サーキュレーターの風をあてて、空気を動かしましょう。
ファンヒーターと併用
ファンヒーターはストーブとは違い、温かい空気を強く吹き出すので、ストープと比べると、部屋を全体的に温めることができますが、それでも温められた空気は上の方にたまります。ファンヒーターもサーキュレーターと併用すると、より効率的です。
ただし、ファンヒーターと併用するときは注意点があります。それはサーキュレーターの風をファンヒーター本体に向けないことです。エアコンの場合は、風をエアコンに向けて温められた空気を拡散しましたが、ファンヒーターは中で火が燃えているため風を向けると危険です。
正面はもちろん、後ろ側から風をあてることも避けてください。空気を取り込んで、必要以上に火が大きくなったり、他の部分が燃えてしまうことがあります。
夏の冷房編│サーキュレーターの使い方のコツ、置き場所・設置場所
夏もサーキュレーターをうまく使うと、エアコンの冷たい空気を部屋全体に広げることができます。夏のサーキュレーターの使い方、置き場所・設置場所を見ていきましょう。
使い方のコツや注意点
夏のサーキュレーターの使い方のポイントは、冬とは逆。つまり「冷たい空気は下にたまる」という空気の性質を理解することです。
冷たい空気は部屋の下の方にたまります。つまり、部屋は下の方(足元)から冷えていきます。
部屋の下にたまった冷たい空気を部屋全体に動かすことが夏のサーキュレーターの使い方のコツになります。
置き場所・設置場所
冬の使い方と同じ様に、夏もサーキュレーターの置き場所・設置場所に気をつける必要があります。夏も、大きく分けて2つの場所が考えられます。
エアコンに向ける
1つは、冬と同じ様にエアコンに向ける置き方です。部屋の中で、エアコンの対角線上にサーキュレーターを置いて、エアコンに向けて風を送ります。エアコンから出てくる冷たい風を拡散されて、部屋全体を冷やします。
エアコンを背にして置く
もう1つは、サーキュレーターをエアコンを背にして置く方法です。エアコンから出てきて冷たい空気に、さらに勢いをつけて部屋全体に送るイメージです。
この方法は、2部屋続きで片方の部屋にはエアコンがない場合にも効果的です。冷たい空気を隣の部屋まで送り、2部屋で循環させると、どちらの部屋も快適に過ごせるようになります。
目的別│サーキュレーターの使い方のコツ、置き場所・設置場所
サーキュレーターは暖房器具/冷房器具を効率的に使う以外にも、いろいろな使い方ができます。
換気
サーキュレーターは、強い風を作り出すので部屋の空気の換気にも使えます。方法は2つ。窓を開けて、部屋の中から外に向けて風を送り、空気を入れ替える方法と逆に、窓際にサーキュレーターを置いて、外の風を取り込むように室内に風を送り、換気する方法があります。
部屋の造りや窓の外の状況、風向きなどによって、どちらが効率的かは変わってきますので、うまく使い分けてください。
梅雨の除湿
梅雨時期の除湿にもサーキュレーターを活用できます。湿気がたまってしまう梅雨時期は、部屋の空気を動かすようにすると、湿気がたまることを防ぐことができます。エアコンのドライ機能や除湿機と併用するとより効果的です。
洗濯物
サーキュレーターは、部屋干しの洗濯物を早く乾かすことにも使えます。衣類乾燥除湿機のように、サーキュレーターを使って洗濯物に風をあてます。首振り機能のついたサーキュレーターなら、より効率的です。
場所別│サーキュレーターの使い方のコツ、置き場所・設置場所
エアコンを設置した部屋やストーブを置いた部屋以外でも、サーキュレーターは活躍します。
2部屋・隣の部屋
夏、2部屋続きで片方の部屋にはエアコンがない場合、サーキュレーターを使うと、隣の部屋にも冷たい空気を送ることができます。エアコンを背にし、隣の部屋に向けてサーキュレーターを置きます。2部屋で冷たい空気を循環させると、どちらの部屋も快適に過ごせるようになります。
暖房の場合は、温かい空気がたまりやすい場所、つまりストーブなど暖房器具のある部屋の真ん中あたりに置き、天井に向けて風を送り、2部屋で温かい空気を循環させます。
吹き抜け
吹き抜けはおしゃれな空間になりますが、冷房や暖房の効果が得られにくく、夏は暑く、冬は寒くなりがちです。
天井に取り付けるシーリングファンは、そうした吹き抜けのデメリットを解消するためのものですが、サーキュレーターを組み合わせると、吹き抜けの空気をより循環させることができるようになります。
使い方簡単!サーキュレーターのおすすめ
扇風機とは異なるサーキュレーターの大きなメリット。ここでは、おすすめのサーキュレーターを紹介します。
「アシストサーキュレータ MPF10WS」(ダイキン)
今までにない、ユニークな形状の壁掛け用サーキュレーター。ダイキンのエアコンと無線LANを使って連動させることができ、部屋の温度ムラを解消し、効率的な冷暖房を実現します。
「サーキュレーター アイ PCF-SC15T」(アイリスオーヤマ)
アイリスオーヤマ独自の特殊形状スパイラルグリルが、より直進性の高い気流を作り出します。上下左右に首振りが可能で、部屋全体に風を拡散します。
「ポータブル サーキュレーター GreenFan C2」(バルミューダ)
コンパクトで軽量、シンプルなデザイン。さらに、別売りのバッテリーを組み合わせればコードレスサーキュレーターとしても使えます。
「サーキュレーター(低騒音ファン・大風量タイプ) AT-CF26R」(無印良品)
大風量タイプながら動作音が静かなサーキュレーター。グリルが取り外せるため、羽根のお手入れが簡単です。
「AIR SHOWER FAN F220」(ボネコ)
パーツ(ポール)を組み替えることで高さ調節が可能。世界的に権威のあるデザイン賞を受賞しています。
サーキュレーターを賢く使って一年中、快適に
サーキュレーターは単体でも使えますが、暖房器具やクーラーなどの冷房器具と組み合わせることで、より快適な空間を作り出すことができる製品です。家電として注目されてきたのは比較的最近ですが、ぜひ上手に使いこなしてください。
文・構成/HugKum編集部