感染症予防のカギは「腸内環境」。免疫力UPがかなう【蒸し大豆レシピ】とは!?

風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなど、さまざまな感染症が流行するこの季節。手洗いやうがいといった予防策と合わせて、免疫力を高める食事を心がけたいですね。

同じように感染源に接触しても、感染する人もいれば感染しない人もいます。また、かかっても比較的軽症ですむ人と重症化する人がいます。こうした違いを生み出しているのが、まさにその人がもつ免疫力です。

そこで、子どもの栄養指導を数多く手がけ、簡単にできて栄養価の高いレシピで人気の管理栄養士、小山浩子さんに免疫力をアップするために、簡単にできる食事の工夫を伺ってみました。

感染症予防のカギは「腸内環境」。大豆の食物繊維は野菜ぎらいさんの強い味方

免疫力をアップするには腸内環境を整えることが大切です

「私たちの体を守ってくれる免疫力は、免疫細胞の働きによるもの。免疫細胞は外から侵入してきた病原菌やウイルスを抑える働きをもっていて、全身に存在しますが、なんとその60~70%が腸にあると言われています。

便秘などにより腸内環境が悪化した状態が長く続くと、腸内にある免疫細胞の働きが悪くなり、免疫力が低下。感染しやすい体になってしまいます。

食物繊維を積極的に摂取して、腸内環境を整えることが大切です。子どもには食物繊維豊富な野菜をたくさん食べてほしいですね。」(小山浩子さん)

「でも、うちの子は野菜嫌いだから…」と悩むお母さんも多いかもしれません。そこで小山さんがおすすめするのが大豆。

「大豆には食物繊維が豊富。食物繊維を多く含む野菜として知られるゴボウ(ゆでたもの)の食物繊維は100gあたり6.1gですが、蒸し大豆は100gあたり8.8g。野菜嫌いで食物繊維不足が気になるお子さんの強い味方です。しかも大豆には、オリゴ糖も豊富。食物繊維が便のカサを増やし、腸壁を刺激することで便通を促す働きをするのに加え、オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を活発にし、腸内環境を整えます。つまり、大豆は食物繊維とオリゴ糖という、Wの働きで腸を元気にしてくれるというわけです」。

大豆には、免疫力アップに必要な栄養素が勢揃い

また、大豆には、食物繊維以外にも免疫力アップに欠かせない栄養素がいろいろつまっているとのこと。

「みなさんよくご存じのように、大豆は「『畑の肉』と呼ばれるくらい良質なタンパク質が豊富。タンパク質は免疫細胞を作る材料ですから、不足すると免疫細胞が弱ってしまいます。また、低体温の人は免疫力が低いと言われるくらい、免疫細胞を活発に働かせるには十分な体温が必要です。体内で熱を作るためにもタンパク質は欠かせません」(小山浩子さん)

さらに、大豆には、代謝をサポートして元気な体を作るのに欠かせないビタミンB群や、体の機能を調整するミネラル類も豊富。大豆イソフラボン、大豆レシチン、大豆サポニンといった成分には、免疫細胞を活性化し、免疫バランスを整える働きや、体内での炎症を抑える働きがあることが報告されているそうです。

こんなにいろいろな栄養素がぎゅっと詰まった大豆はまさに「天然のマルチサプリメント」。ぜひ、冬の感染症予防として毎日の食事に取り入れたいですね。

「蒸し大豆」なら、簡単に使えて栄養素もおいしさもしっかりキープ

また、手軽にいろいろな料理に取り入れられるというのも、小山さんが大豆をおすすめする理由のひとつ。乾燥大豆を水に一晩浸して煮て、というのはなかなか大変ですが、近年ではそのまま食べられる加工大豆がいろいろ出回っているのでぜひ活用したいですね。

「とくにおすすめは蒸し大豆。なぜなら、水煮大豆は水の中で加熱調理するため、水溶性の成分が流失してしまいますが、蒸し大豆は栄養損失が少なく、大豆の栄養をしっかりととることができます」。

また、蒸し大豆は「おいしさ」のもとである旨味成分(グルタミン酸)も、煮汁に溶け出る量が少ないので、調理後も旨味がたっぷり残っています。

 

いつもの料理に手軽にトッピング!おやつに、そのままつまむのもgood

免疫力アップに効果的な栄養素をたっぷり含む大豆。毎日コツコツ食べ続けることで丈夫な体ができます。蒸し大豆には甘味と旨味がたっぷり詰まっているので、おやつとしてそのままつまんでもおいしく食べられますし、料理にトッピングしてもよいですね。ぜひ毎日食べるよう心がけましょう。

「大豆というと煮物が定番ですが、味にくせがなく、合わせる素材を選ばないので、いろいろな料理に使えます。忙しいときは市販のお惣菜やレトルト食品に加えてもよいと思います。栄養価がぐんとアップしますよ」(小山浩子さん)

ミネストローネなどのスープ、味噌汁、パスタ、サラダ、ヨーグルトのトッピングに。炊き込みご飯や、カレー、シチューなどに加えるのもよいでしょう。ときには、細かくつぶしてハンバーグや肉団子にプラスするのもおすすめです。

小山浩子さんおすすめの蒸し大豆のあったかレシピ

ごぼうと蒸し大豆入りクリームチャウダー

 

 

 

 

 

 

<材料>

A 牛乳 400cc・固形スープのもと 1個

蒸し大豆 60g 

たまねぎ 1個 

ごぼう1/3本 

バター 30g

薄力粉 大さじ2

ソーセージ 8本

塩、こしょう、パセリ 少量

<作り方>

1 たまねぎを1㎝角に切り、ごぼうは輪切りにし酢水に漬けておく。

2 鍋にバターを熱し、たまねぎをじっくり炒め、ごぼうを加えてさらに炒める。

3 薄力粉を加えてよく炒め、混ぜたAを少しずつとろみを漬けながら5、6回に分けて加える。

4 ソーセージを加えて中火よりやや弱火で、ごぼうが柔らかくなるまで約10分煮、塩・こしょうで味を調える。

5 器に盛り、パセリを散らす。

蒸し大豆とコーンの中華風とろ~りスープ

<材料>

蒸し大豆 100g

とうもろこし缶 小1缶(200g)

牛乳 300ml

中華スープの素 小さじ2

塩 適量

こしょう 少量

<作り方>

1 蒸し豆ととうもろこし缶(汁ごと)、1/3量の牛乳をミキサーに入れ、なめらかになるまでかける。

2 1を鍋に移して残りの牛乳を加えて温め、塩、こしょう、中華スープの素で味を調える。

アイデア次第で活用の幅はぐんと広がります。「いつものおかずに蒸し大豆トッピング」を習慣にしてみては? 蒸し大豆を味方につけて、感染症に負けない元気な体づくりを目指しましょう!

記事監修

小山浩子|管理栄養士

大手食品メーカーを経て2003年にフリーに。料理教室の講師やメニュー開発、特に育脳レシピを数多く手がける。2014年『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(主婦の友社)で、グルマン世界料理大賞を受賞。著書に『子どもの脳は「朝ごはん」で決まる!』『かしこい子どもに育つ! 育脳離乳食』(小学館)など多数。最新著書は『やる気と集中力を養う3~6歳ごはん』(池田書店)。公式ホームページ

構成/瀬戸由美子 資料&レシピ提供/マルヤナギ小倉屋

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