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若年性更年期障害とは
一般的に「更年期障害」とは、性ホルモン分泌量の低下による自律神経失調症のような症候群を指します。これまでは、主に50才前後の女性の身体に、閉経をきっかけに起こるものと考えられてきましたが、昨今では20~30代でも、同様の症状に悩まされている方が増加。「若年性更年期障害」と呼ばれ、少しずつ認知されてきています。
若年性更年期障害の症状
そんな若年性更年期障害の基本的な症状は、通常の更年期障害とほぼ同様といわれています。ここではまず、更年期障害や若年性更年期障害にみられる代表的な症状を知っておきましょう。
ほてりや手足の冷えなどの全身症状
もっとも代表的な症状として挙げられるのが、
・ほてり
・手足の冷え
・めまい
・頭痛
をはじめとした全身症状です。
自律神経の調節がうまくできず、急に顔が熱くなって汗が止まらなくなったり、寒くない日に手足に冷えを感じたりといった症状が見られることがよくあります。
ただし、その他にも食欲不振を起こす方もいたりと、全身症状のあらわれ方は、人によってさまざまと言えるようです。
うつや意欲低下などの精神的症状
うつや意欲低下のような、精神的な症状が見られるケースも珍しくありません。
不安やうつ状態などの症状のほか、怒りを抑えられなかったり、感情のコントロールが困難になってしまうことも。
生理不順や無月経症状
若年性更年期障害が無理なダイエットや食欲不振によって引き起こされた場合は、身体が飢餓状態となり「生命活動」優先モードに。結果、妊娠を避けようとして、無月経状態、もしくは生理不順を引き起こす可能性があります。
骨量の減少、脱毛、腟の乾燥や萎縮
また、女性ホルモンが低下することによって、骨量の減少や、腟の乾燥・萎縮といった症状が現れることも。ほか、脱毛が起こったりなど、女性ホルモンの低下による症状も人によって多岐にわたります。
男性の若年性更年期障害もある
ここまで女性の症状を中心に、若年性更年期障害について述べてきましたが、若年性更年期障害は、決して女性だけに起こりうる体調異常ではありません。
男性も女性と同じく、性ホルモン分泌量が低下すると、上述した自律神経系の異常や精神的な不調を起こすことがあります。性別にかかわらず、性ホルモンを低下させる原因を理解し、予防していくことが大切です。
若年性更年期障害の原因
そこで本章では、若年性更年期障害を引き起こす原因を解説。どのような習慣や行動が、上述してきた症状につながってしまうのでしょうか。
過度なストレス
まず挙げられるのが、過度なストレスです。過度なストレスから睡眠不足や食欲不振等が起こされることで、生理不順や無月経状態となり、性ホルモンであるエストロゲンが減少(男性の場合は、テストステロンが減少)。その結果、更年期障害のような症状があらわれるおそれがあります。
このことから、間接的ではありますが、ストレスは若年性更年期障害の大きな原因として考えられています。
無理なダイエット
同様に、無理なダイエットが原因となる場合も。前述したとおり、過度な食事制限をすると身体が飢餓状態に陥ります。飢餓状態になると、妊娠の負担から身体を守るために、生理が止まったり、不順になることも。その結果、女性ホルモンが低下し、ここまで述べてきた症状を引き起こすおそれがあるのです。
男性も同様に、極端な粗食が男性ホルモンの低下を導きかねないので、無理なダイエットは禁物。
生活習慣の乱れ
過度の飲酒や寝不足、喫煙、食生活の偏り等々、生活習慣の乱れも、ストレスの原因となるだけでなく、ホルモンバランスに悪影響をおよぼしかねません。アルコールやタバコはほどほどに控え、規則的かつ健康的な生活習慣を目指しましょう。
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若年性更年期障害の検査や治療|何科を受診すればいいの?
「若年性更年期障害かも?」「でも、どこに相談すればいいの?」と、お悩みの方も多いはず。若年性更年期障害と診断されたら、どのように治療していくのかも気になるところです。
ここでは、その検査方法や治療方法をお伝えしていきます。
女性は基本的には婦人科を受診
「若年性更年期障害かも」と感じた場合は、基本的にはまずは婦人科を受診すればOK。
すでに若年性更年期障害と診断され、その症状を相談したい場合は、更年期の専門医にかかれる「更年期外来」、更年期障害に限らず女性の身体にかんする症状をトータルで診てもらいたい場合は「女性外来」を受診しましょう。
採血によるホルモン検査
若年性更年期障害は、主に採血によるホルモン検査によってチェックされます。「卵胞期初期」「排卵期」「黄体期中期」と月経周期ごとに測定する必要があるため、クリニックによっては計3回ほど採血を行います。
薬の内服や塗布によるホルモン補充療法
主な治療法としては、飲み薬や貼り薬でエストロゲンを補充する「ホルモン補充療法」が挙げられます。これは、エストロゲンを補充することで、自律神経のバランスを調整するというもの。自律神経が整うことで、若年性更年期障害の症状が軽減されることが期待されます。また、医師によっては低用量ピルを使用する先生もいると思います。
漢方薬による対症治療
ホルモン療法に抵抗感がある人向けには、対症薬として漢方を用いることも。症状に合わせて改善するための漢方を処方してもらえるので、希望する場合は、受診時に医師に相談しましょう。
男性は症状に応じた科を受診しましょう
また、男性の若年性更年期障害の場合も、何科を受診すれば良いのか悩みどころですよね。
男性の更年期に関する専門の科は、基本的にはありません。全身症状→内科、うつ症状→精神科、性的な問題→泌尿器科……といったように、症状に応じた科を受診しましょう。
若年性更年期障害の体験談
HugKum読者で若年性更年期障害を経験した方は、どのような症状に直面してきたのでしょうか? アンケートに寄せられた、みなさんの生の声をお伝えしていきます。
生理不順
まずお伝えするのは、「生理不順」がきっかけで受診したところ、このままでは更年期の症状を引き起こすと診断されたとの声。体調に異常を感じたら、すぐに病院を受診することの大切さを痛感させられますね。
冷えや乾燥、陰部のかぶれ
卵巣を摘出したことで、更年期障害の症状があらわれたというママさん。特に、冷えや乾燥、陰部のかぶれが起きやすく、症状に合わせて「冷やさない」「保湿」といった工夫をしているのだそうです。更年期障害の症状は人によって大きく異なる場合があるので、各自が症状に応じて対処していく必要がありますね。
体温調整ができなくなった
「体温調整ができなくなる」症状に悩まされたとの声も、いくつか見受けられました。気温は低いのに暑い、気温が高いのに寒いといった症状にお悩みであれば、一度医師に相談することをおすすめします。
「生理前の体調や気持ちの変化であったり、暑くもないのに首から上だけ汗が出たりし始めた時に更年期障害の始まりを感じた」(40代・福岡県・子ども2人)
放置は禁物! 不安な方は、一度医師に相談してみましょう
更年期のような自覚症状があっても、「まさか自分が」と放置していませんか? 生理不順や自律神経症状など、忙しくしているとついつい見逃してしまいそうな若年性更年期障害の症状。もしも思い当たる節がある場合は、放置はせず、一度病院を受診してみましょう。
記事監修
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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部