【小児科医監修】鼻水とくしゃみ…もしかして、花粉症?子供を花粉症から守るには。

Q : 鼻水やくしゃみが出るので、かぜかな? と思っていたのですが、何日か様子を見ても症状がかわりません。これって、花粉症?

A : 症状がつらそうなら耳鼻科や小児科を受診して

「季節性アレルギー性鼻炎」のうち、花粉が原因で起こるものを「花粉症」といいます。春に見られるものは、おもにスギやヒノキの花粉が原因。「おとなの病気」のようなイメージがありますが、最近では子どもの発症も増えてきています。

花粉症の症状や治療法、飲み薬や点鼻薬について

症状

花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血、肌のかゆみなど。かぜに似ていますが、かぜの場合は頭痛や発熱などの全身症状が見られ(花粉症の場合は全身症状があっても軽い)、鼻水なども1週間ほどでおさまることがほとんどです。

花粉症を発症する原因は?

花粉症は、アレルギー反応によって起こる病気です。人の体には、体を病気から守る「免疫」という仕組みが備わっています。本来、免疫はウイルスなどの病原体に対して働きますが、体質によっては花粉など無害なものにまで反応し、不快な症状を引き起こしてしまうことがあるのです。花粉症をいったん発症すると、毎年同じ時期に症状が現れることがほとんど。原因となる花粉の飛散が終われば症状はおさまりますが、つらそうな場合は耳鼻科や小児科を受診しましょう。以前は子どもの発症は少なかったのですが、ここ10~20年で患者数が増えています。おもな原因は花粉の飛散量の増加ですが、それに加え生活環境の変化なども発症にかかわっていると考えられています。

薬について

病院では、飲み薬が処方されるのが一般的。鼻の中にスプレーする点鼻薬や目薬が出されることもあります。花粉症の治療に使われる薬の中には、けいれんを誘発したり長引かせたりする作用が含まれるものがあるため、これまでにてんかんと診断されていたり、熱性けいれんを起こしたことがあったりする場合は、必ず医師に伝えます。

花粉症の場合、症状が出ていなくても、花粉が飛び始める2週間ほど前から薬を飲みはじめる「初期治療」が認められています。初期治療によって症状を軽くしたり、症状が出る期間を短くしたりすることができると考えられています。花粉症であることがわかっている場合は、花粉の飛散時期に合わせて、早めのタイミングでかかりつけの病院を受診してみてもよいでしょう。

病院で処方された薬は、医師の指示に従って使用します。症状が軽い場合は市販薬も有効ですが、必ず対象年齢を確認し、用法・用量を守りましょう。

 

花粉症対策は「予防」が何よりも大切!

花粉症は、治療以上に「予防」を心がけることが大切です。予防の基本は、アレルギーの原因となる花粉を体内に入れないことです。

外出時はマスクで鼻と口を覆います。できればめがねで目をカバーし、帽子もかぶりましょう。上に羽織るコート類は花粉を吸着しやすいニットやウールより、ツルツルした素材のものがおすすめ。花粉をもちこまないため、帰宅したら玄関の外で洋服の表面を払い、帽子をとります。すぐに手洗いとうがいをし、できれば顔も洗いましょう。

室内の掃除は、掃除機がけに加えて拭き掃除を。空気の流れや静電気で花粉がたまりやすい部屋の隅、電化製品の周りなどは、とくにていねいに拭いておきます。花粉のシーズンが終わるまで、衣類や寝具の外干しも避けたほうがよいでしょう。

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 めばえ2019年3月号

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

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