目次
約7割の親は子育てを楽しんでいる!
Hugkumではママ・パパ約100人に子育ては楽しいかどうかアンケートを実施しました。結果は68.3%と約7割近くの方が「楽しい」と回答しました。
子育てが楽しいと回答した方の多くは、「日々成長していく姿を見るのが、楽しみ(30代・京都府・子ども1人)」というもの。子どもの成長が間近に見れて、「この時間は今しかないから!(40代・東京都・子ども1人)」とその体験の貴重さ実感しているようです。
また、子どもから教えられることもしばしば。「大人の目では、わからないことを色々教えてくれる。(40代・愛知県・子ども1人)」と、日々の子育てに発見があり、その新鮮さに楽しみを感じている声も多くあがりました。
子育てを楽しめてないのはどうして?
子育てを「楽しめていない」と回答した方に理由を聞くと「大変なことの方が多い(40代・埼玉県・子ども2人)」との声が。まだまだ手のかかる時期には楽しむほどの余裕が持てないのもの現実です。
子育てを楽しむコツ、伝授します!「ポジティブ子育て」のススメ
しかめっ面にならないで、笑顔で育児ができたら、どんなに楽しいでしょう。読者からの「どうしたら楽しく子育てできますか」というお悩みに、「保育楽者」で、幼稚園に20年、勤務した経験をお持ちの平山許江先生がお答えします。
楽しく子育てをするために、お母さんがするといいことは? 平山流「ポジティブ子育て20の言葉」が、ママたちに元気を与えてくれますよ!
Q:子育てが、笑顔で楽しくなる方法を教えてください
A:いまを肯定する、しなやかな心が大事です
ポジティブというのは、簡単に言えば「今を肯定して生きましょう」ということです。生きていれば大変なこともあるけれど、せっかくの人生なのだから、今を楽しんで暮らしたほうがいいでしょう? 子育ても、同じなんです。
出産する時は、元気に生まれてくればそれでいいと素朴に願っていたのに、だんだん欲が出てきます。目標を持つのはいいことですが、目標が先に立ち「まだできないの!」と焦ったり、「なぜできないの!」と叱ったりでは、つらいことが多くなるでしょう。
子育ては適当なところがあっていい
また「育児はこうすべき」と決めつけたり、「自分がしっかりしないと」と思い込むと、自分を追い込んでしまい、心がポキッと折れかねません。
育児書にはあまり書かれていませんが、あえて言います(笑)。子育ては手を抜いたり、「ま、いいか」とテキトーだったりするところがあっていいんです。「昨日は絵本をじっくり読んであげたけど、今日はテレビを見せておいた」と、頑張ったり手を抜いたりする振れ幅があって、トータルすれば真ん中に収まるかな、くらいがいいんです。
頑張ったところと手を抜いたところを、天秤にかけてみましょう。頑張ったほうが多かったら自分をほめ、同程度なら「よし」。手を抜いたほうが多いと思ったら、上手に気持ちをリセットして、明日(次は)頑張ろうと思いましょう。「明日(次は)頑張ろう」は希望の言葉です。
子育てが自分にくれた、いい面を探して
子どもが生まれて、自分の時間が持てなかったり、できないことはたくさんあります。でも、子どものおかげで人と出会い、世界が広がるという財産を得たはず。物事には必ずいい面があります。それを見つけるのも、ポジティブ子育ての面白さです。
平山流、毎日の子育てが楽しい!幸せになれる「ポジティブ子育て20の言葉」
子供のしつけに悩んだときは
1.子どもにとって親は「恋人」。親に寄り添おうとするから しつけが成り立つ
恋する相手には好かれたいと思い、その人好みの自分になろうとしますね。子どももそれと同じ。親の期待に応えようと頑張ります。愛する親を悲しませたくないという思いも強い。だから、親が考えている、その家らしい子どもになるのです。親のテンポとずれていたり、頼まれもしないことをやって裏目に出ても「こんなにいい子よ、ほめて」とアピールしたりするけれど、好かれたい一心なんです。子どもを信じてください。
2.頑固、かんしゃく持ちというのは、自分の意思を持っているということ
頑固というのは、達成したい目標があるからこその、子どもの姿です。やりたいのにうまくできなくて悔しいから、かんしゃくも起こす。成長している表れです。それを「親の言うことを聞かない」と怒ってやめさせたら、後々、粘り強くとか頑張るとか無理です。頑固、かんしゃく持ちというのは、人間として必要な意思が芽生えてきた喜ばしい姿なんだと認めると、子育てって楽しいですよ。
3.しつけで悩むのは一生懸命やっているから
どんな人でも、今、一番大切にしていることが気になり、悩んだりイライラするものです。お母さんは子どもに関心があるから、立派に育ってほしいという期待感があるから、一生懸命になり、しつけに悩むのでしょう。子どものことが気にならなくなったら大変です。子育てで悩むのは、いい母親の証拠です。
子どもとの向き合い方に悩んだら
4.困ったと思える性格も見方を変えれば輝きが違って見える
「頑固=意思が出てきた」のように、子どもの性格は、別の見方が可能です。例えば、やんちゃ坊主=元気があっていい、引っ込み思案=物事に慎重などなど。視点を変えると、うちの子、こんないいところもあるんだと、発見もあります。せっかく子どもが持っている性格です。長所として見ていきましょう。
5.よその子と比べるのではなく子どもの過去と比べなさい
他の子と比べる相対評価をすると、「誰ちゃんはもうできるのに、うちの子はまだできない」などとマイナス面が目につきます。でも、子ども自身の中で比べる絶対評価をすれば、ポジティブな見方ができるのです。わかりやすいのは、1年前と比べること。「こんなこともできるようになったんだ」と成長や努力のあとが見えます。変化がないように見えることも、「1年間頑張って続けたね」とほめるべきことです。そして、それを続けてきたお母さんも、ほめてあげたいですね。
6.「親だから」と上から目線ではなく対等に自分の本音を言う
子どもにだって、「毎日一緒に暮らす家族だから」と対等の立場で物言うことがあっていいんです。「やだなあ、ママ」「ママだって大変なの」「しょうがないでしょ」と、嫌い、嘆き、残念、困ったなどの気持ちを言い、本音で向き合えば、上から目線では通じないことも、絶対に通じます。
7.時に親は理不尽でいい。子どもはこう思うでしょう「早く大人になってやるぅ」
世の中は、基本的に大人中心です。大人はしてもいいけれど、子どもはダメということが多々あります。子どもにとっては理不尽ですが、物わかりのいい親になる必要はありません。親が飲んでいるビールやコーヒーを飲みたがったり、一緒に夜更かしをしたがったら、「残念でした、子どもだからダメ」でいいのです。子どもは「大人はずるい」とか「大人はいいな」と思うでしょう。でもそれも、子どもの成長の糧になります。
平山流 子供の叱り方のコツ
8.変化球を投げて子どもの逃げ道をつくってあげる
例えば、子どもが靴を履こうとして、ぽーんと靴を放り投げた。その時「拾ってきなさい」と「正しいこと」を言うと、子どもの心はかたくなになるばかりです。そんな時は「あ、その靴いらないんだったら、ママ、もーらい」などとユーモアを交えた変化球を投げると効果的。子どもは、あわてて履いたりします。
また、叱った時「謝りなさい」とストレートに言うのも、子どもを追い詰めることに。「買い物に行こうか」とか「ちょっと手伝って」と気分を変えてあげると、気持ちを立て直して、「ごめんね」と言いやすくなります。
9.「静かにしなさい」ではなく「うるさい!」と言う
「○○しなさい」は上から目線の命令で、なぜそうするのか、子どもにはわかりにくい言葉です。「ダメ!」もそれだけでなく「危ない!」「痛い!」を付け加えましょう。「うるさい」「危ない」「痛い」は、子どもが実感できる言葉。うるさいならやめよう、危ない・痛いならやめようと、自分でセーブできるようになります。
10.感情を伴わない叱り方はしない
人の気持ちは、感情表現と共に伝わります。公園などで、わが子を叱る必要がないのに、よその子のお母さんの手前叱るとか、一応叱っておこうとか、感情を伴わない叱り方はやめましょう。逆に、注意を聞き流すようになってしまいます。
子どもが安定する家族って、どんな家族?
11.夫婦が仲のいい家庭の子どもは伸びる
これは事実です。親は子どもの成長の源。仲のいい夫婦の子は根っこが安定しているので、甘えん坊でも泣き虫でも必ず力を発揮します。夫婦の基盤がしっかりしていれば子育てはうまくいくのです。
12.「1番目に好きなのはパパ あなたは2番目に好きよ」
親が「恋人」の子どもにしてみれば、失恋?(笑)。でも、何でも1番じゃなきゃというのはつらいもの。「1番じゃないけど、2番目に好かれているもんね」と早くから知るのは、すごくいいことです。「パパはすごいんだよ。だからママはパパが一番好きなんだ」がいい。夫婦の絆が強く、家族はつながっているというメッセージが、子どもにしみじみ伝わります。
13.父親と母親は価値観が違っていていい
多様な人で成り立っているのが、世の中です。100%自分の考えが正しいということはありません。価値観が違っていても、認め合って結婚したのでしょう。例えば母親が叱った時、父親が子どもに「ママが言うことも正しいけど、できないよなあ」などと耳打ちする(母親と父親が逆でも)。子どもは「別の見方もある」と知り、「パパ(ママ)はわかってくれている」と心強く思います。
夫婦仲良くあるために
14.「あなたも少しは子育てしてよ」は、「私に関心を向けて」という妻の叫び
夫は言葉の裏に隠れている、妻の気持ちに気づいてください。妻が「子育てして」とか「家のこともやってよ」とか総論的な言い方をしたら、「妻として関心を示して」というサインです。子どもにとってはママでも、妻には夫として向き合うことが大切。「今は忙しくて無理なんだ、ごめんね」と本音で答えればいいのです。妻は「私だって忙しいのよ」と言っちゃあ、おしまいですよ(笑)。
15.週末だけ子どもとつき合うパパも、「それでどんどん点数稼いで!」と認める
夫は、妻にも子どもにもいいところを見せよう、好かれようとアピールしているのです。「パパは、いつもいいとこ取りばっかり」と目くじら立てないで、「助かるわ」とリップサービスを忘れないのが、妻の知恵です。
16.相手が自分の努力で変えられないことを言ってはいけない
夫も妻も、相手の家族や会社のこと、学歴など、相手がコントロールできないことについて、悪口や文句を言ったり、攻撃してはいけません。夫婦の間でも、そういうモラルが大事です。
「子育てって幸せ!」その原点を思い出そう
17.子どもが熱を出した時お母さんは誰でもマザー・テレサ
マザー・テレサは、最も貧しく弱い人々に寄り添い、私心なく、献身的に働いた人です。子どもが病気になった時の母親も、自分を抜きにして、必死になって看病する。その姿は、マザー・テレサとちっとも違わないと思います。
18.「無償の愛」は実は子どもからの贈り物
このような無償の愛を持てる(私流に言えば「私って、何ていい人」と思える)のは、子育てだからこそ。子どもが、自分の中に崇高な気持ちがあると気づかせてくれたのです。そんなステキなプレゼントを子どもからもらったと思うと、おおらかに子育てすることができますよ。
19.子どもが歩き始めた頃のお母さんが、最高の教育者
子どもが初めて歩いた時、お母さんは心から喜びますね。2、3歩歩けるようになったら、子どもの能力を信じ、少し前で「おいで」「万が一の時は助けよう」という感じで待つでしょう。そして、子どもがぱたっと倒れても気にせず、何度でもつき合う。これらは全部「いい教育者」の条件なんです。お母さんは自然にそれを備えている。子どもが大きくなっても、そのやり方で教えてほしいですね。
子育てに自信を持って!
20.子育ては、「平凡」のなかに幸せが宿っている
汚れ物を洗い、散らかった部屋を片づけ、食べさせたら寝かしつけ……と、いっぱいすることはあるのに、特別なことは何もない。それが子育てです。その繰り返しがイヤだと思えば、子育てはつらくなるでしょう。でも「ああ、今日も同じように、何事もなく過ごせたな」と、穏やかな同じ暮らしに価値を見出し、幸せを感じられたら、子育ては楽になります。そうした日々の繰り返しの先には、「1年経ったら、ずいぶん成長したな」と思える幸せも。
お母さんはぜひぜひ賢くなって、子育ての「平凡」に幸せがあると気づき、平凡に暮らせることに喜びや誇りや自信を持ってください。
子育て担当
平山 許江(ひらやま もとえ)先生
保育楽者
東京学芸大大学院への入学などをはさみ、幼稚園に20年勤務。大学教授を歴任し、現在、青木教育研究所所員。日々、保育の楽しさを探究中。著書に『子育てはどたばたがよろしい』(世界文化社)など。
イラスト/松木祐子 出典/『めばえ』 再構成/HugKum編集部