読み比べも楽しい!昔話「ももたろう」(桃太郎)のおすすめ絵本5冊

日本のむかし話の代表作のひとつ「ももたろう」のお話は誰もが一度は耳にしたことがあるかと思います。大きな桃から誕生するももたろうに衝撃を受けた方も多いのでは?!昔祖父母や父母に読んでもらっていたあの時の気持ちを思い出しながら、日本のむかし話を今度はわが子にも読んであげてみてください。

今回は、「この本読んで!」編集部が厳選した「ももたろう」の絵本5冊を紹介します。

文章や絵を比べて違いを楽しむのもおすすめです。

「ももたろう」ってどんなお話?

「むかしむかし、あるところに…」という導入で始まる、あまりにも有名な昔ばなしですが、もう一度ここでおさらいしておきましょう。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけ、そのおばあさんのところに、どんぶらこ、どんぶらこと流れてきた大きな桃。その中から生まれたのが桃太郎です。子どもがいなかったおじいさん、おばあさんは桃太郎を大事に育て、やがて力の強い男の子に育ちました。
そしてある日、桃太郎は鬼退治に出かけます。おばあさんが作ったきびだんごを持って出かけた桃太郎は、道中、犬、猿、きじを仲間にして鬼ヶ島へ。そして見事に鬼を退治するというあらすじです。

読み比べて楽しもう!「ももたろう」の絵本5冊

そんな昔ばなしの桃太郎はいろんな絵本になっています。ここではおすすめの5冊を厳選しました。

『ももたろう』(福音館書店)

文/松居 直

画/赤羽末吉

1,100円(福音館書店)

ユニークな擬態語がリズミカルで子供も口ずさむように

1965年に発行されたロングセラー。何といっても、リズミカルで響きのいい言葉と赤羽末吉さんの絵が掛け合わさり、子供たちを昔話の世界へと誘ってくれるのがこの絵本の特徴です。桃が流れてくる「つんぶく かんぶく」、男の子の産声「ほおげあ ほおげあ」といった擬態語や、「うまーい ももっこ、こっちゃこい」「ひめを さろうて おにがしま。があー があー があー」のように抑揚のきいた言葉は、耳に心地よく、覚えやすいようで、子供たちが口ずさむ姿もみられます。

『ももたろう』(くもん出版)

再話:おざわとしお、ながさきももこ

絵:こばやしゆたか

450円(くもん出版)

美しい絵にふんだんな擬音語。子供と一緒に大人も楽しめる

こちらの「ももたろう」は、昔話の第一人者として知られる小澤俊夫さんの再話に、『せかいいち うつくしいぼくの村』(ポプラ社)でおなじみの小林豊さんの美しい絵がつけられています。おはなしの語り口をみると、桃が「ぷいこぷいこ」と流れてきたり、桃の中から男の子が「ぼこん」と出てきたり、擬音語がふんだんに使われています。また、キジ・サル・イヌが現れる場面では同じことが同じ言葉で3回繰り返され、描写は全体を通してシンプル。語り継がれてきた昔話の特徴を再現した形になっています。サイズはコンパクトなB6判です。

『ももたろう』(小学館)

文/市川宣子

絵/長谷川義史

1,000円(小学館)

登場人物の表情が見どころ!子供に分かりやすい文が◎

登場人物のおじいさん、おばあさん、ももたろうや鬼たちを、長谷川義史さんが表情豊かに描いています。桃から赤ん坊が出てきて驚くおじいさんとおばあさん、鬼退治に出かける許しを乞うももたろうの神妙な表情、降参したり反省したりする鬼たちの表情など、思わずクスっと笑ってしまう場面も。おはなしは、子供たちにも分かりやすい現代の言葉づかいで書かれています。「ひらり ひらりと かわしながら」といった、響きのいい擬音語がたくさん登場し、見るのも聞くのも楽しい絵本です。

『ももたろう』(岩崎書店)

文/広松由希子

絵/伊藤秀男

1,300円(岩崎書店)

一味違う「ももたろう」から学べる昔話のメッセージとは?

ももたろうは、心やさしく働きものとして描かれることが多いようですが、この絵本に登場するももたろうは、ちょっと違います。「大きくなっても、くっちゃね くっちゃね。へやで ごろごろ のんべんだらり。なかなかはたたらこうとしません。」 ところがある日、殿様から鬼退治に行くよう命じられると、おじいさんたちに止められても、「いく」と言ってきかず出かけていきます。この部分には、昔話のメッセージの1つ、“子どもの成長には時がある”ことが描かれています。また、「ひとつは やれない。はんぶん やる」と言って、3つの大きなきびだんごをイヌ・サル・キジと半分ずつ食べる場面もユニークです。力強いイラストで描かれたこの絵本では、今まで知っていたものとは一味違う「ももたろう」が楽しめるでしょう。

『桃太郎』(講談社)

画/斎藤五百枝

1,500円(講談社)

現代の絵本ではなかなか見れない迫力ある日本画

「講談社の絵本」として1937年刊行された『桃太郎』が、2001年に現代仮名づかいで復刻されました。イヌ、サル、キジは着物を着て刀を差した姿で擬人化され、筋肉隆々の鬼はおそろしい形相。一流の日本画家によって緻密に描かれた絵には、とても迫力があります。幼いお子さんは怖いもの見たさで、この絵本に引きつけられるかもしれません。「どんぶりこっこ すっこっこ」といった擬態語など、昔話らしい語り口も少しみられますが、お話は長めで、物語のように書かれています。

選んでくれたのは、絵本と読みきかせの情報誌『この本読んで!』

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絵本選書・文/「この本読んで!」編集部 構成/HugKum編集部

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