「えびすどろんこ山プレーパーク」がオープン!何にもないけど全部ある!自分の責任で遊ぶ意味とは

都会での生活は便利ですが、子どもたちは泥だらけになって遊ぶ外遊びの機会が少ないことが悩みでした。そんな中、ついに、待ちに待った「えびすどろんこ山プレーパーク」がオープン。子どもの自主性を重んじ、自分の責任で楽しむ冒険的で実験的な遊び場。滑り台などの常設の遊具はありません。でも、思う存分泥んこになれます!自分で考えて好きなように遊べます!
そして、お着替え必須。大人も裸足が気持ちのいい芝生もあり、木陰で本を読んだり、素敵なカフェも併設されて、都会のど真ん中とは思えないのんびりした時間が過ごせます。秋晴れの日、そんなユニークなプレーパークに子ども達と遊びに行ってきました!

イカがなくなった!?

元々「イカ公園」という愛称でイカの形をした遊具があり、地域に愛されてきた渋谷区恵比寿南一公園。
恵比寿には、タコ公園(恵比寿東公園)、ロケット公園(恵比寿公園)、ブタ公園(恵比寿南二公園)など遊具の愛称で呼ばれている公園があり、正直、地元住民としては「イカ」がなくなってしまうのは少し残念でした。

また、何もなくなって土だけになっているという噂で不安でしたが、実際来てみると桜はそのままで、緑の芝生が整備され、土がこんもり。
乾いて硬いカチカチのコンクリートの様な地面だった時よりずっと温かみのある公園になっています。初めて訪れた日はカラフルな布が風に揺られ、青空の下はためいていて、何が起こるのか分からない雰囲気に大人の私もワクワクしてきました。

プレーパークってどんな公園なの?

「渋谷の遊び場を考える会」の代表の入江洋子さん(右)、事務局の野澤陽子さん。

常設の遊具のない公園になる!?と聞いて、地元でも様々な意見があった今回の恵比寿南一公園のリニューアル。
ユニークな公園の登場の期待と同時に、遊具のない公園の意義や良さがまだまだ理解されていない部分も。

そこで、渋谷の遊び場を考える会の代表の入江洋子さん、元副代表のこみずうつるさん、「サッポロ不動産開発株式会社」さんの高木顕一郎さんにお話をお聞きしました。

新しい名前が公募で決定!

10月9日に公募した中から「えびすどろんこ山プレーパーク」に決定!
プレーパークのある恵比寿南一公園は、2022年にPark-PFI制度を活用してリニューアルオープン。他にもボール遊びのできる多目的スペース、そして、ドッグカフェ「株式会社アンディカフェ」が併設されています。

Park-PFI制度って何?

Park-PFI(公募設置管理制度)の事業のことで、公園の設備維持から管理までを一括して民間企業に委託する制度のこと。
「サッポロ不動産開発株式会社」が指定管理者として公園の維持管理及び運営を任されています。併設のカフェの収益の一部が運営費に充てられ、区の経費の負担が少なくてすむ利点があります。
また、指定管理者単体での管理運営ではなく、「渋谷の遊び場を考える会」や地域の方を巻き込んだ開かれた公園運営を目指していきたいと高木さんは話していました。

プレーパークができるまで

プレーリーダーが設置したハンモック。(遊具はプレーパークの開園時のみ設置され、その日により遊具は異なるので記事で紹介したものが必ずあるとは限りません。)

なぜ恵比寿に?

プレーパークを運営する「渋谷の遊び場を考える会」は、都内で外遊びの機会が少なくなった子ども達の遊び場について真剣に考える団体です。
2004年、代々木に「渋谷はるのおがわプレーパーク(はるプレ)」を常設プレーパークとして開園。
そこで、区内にもう一つということで「えびすアメリカ橋プレーパーク」として季節開催をしてきた恵比寿南一公園が、常設のプレーパークとして選ばれました。

こみずさんは、ふかふかの土で遊ばせたかったので、当初のカチカチの公園の土に大変がっかりしたそうです。でも土を掘り起こし、渋谷区の協力もあり土も増やし、何とか今の形に整ったそうです。

「夢と希望は膨らみ放題ですから、しぼんだ部分は多大です」とこみずさん。多くは、予算や法律の中で諦めたことも多く「今の公園は理想の半分ぐらいが形になったかな」とお話してくださいました。一方で、「プレーパーク」は作り続ける場所。理想の残りの半分は、これから地域の人と作っていければ良いとこみずさんは感じているそうです。

入江さんもプレーパークの第一世代の仕事は常設のパークを作るということで、その苦労は報われたと感じているのだとか。これからプレーパークを続けていくことこそが大変で、次世代の助けが必要だと話していました。

遊具がなければ作ればいい!

プレーリーダーと泥だんごを作っている子ども達。


「遊具がないと遊べないと思っている方が多い」
とこみずさんは言います。
確かに、常設の遊具はありません。でも、プレーリーダーが作った遊びが至る所にあります。手作りであれば、直したり改善したりできる利点も。それに、公園に来る度に違う遊びができるなんて、常設の遊具のある公園には絶対できないこと!
すでに、手作りブランコやハンモックが登場していますし、もしかしたら夏にはあの人気のウォータースライダーも登場するかも!?ということです。

何もないは何でもある!

何もないならどうやって遊ぶの?

公園に来て、子ども達がまっしぐらに向かったのは泥の山。覚悟はしていましたが、立派な泥の山!前に遊んでいた子が作ったのでしょうか、大きな水溜まりも出来ていて、子ども達の目はキラキラ。水たまりに即効、ダイブです。スコップで掘り起こして、さらに大きな水溜まりを作ったり泥遊びに夢中です。

遊び道具はいっぱいある!

公園に行くと砂場でおもちゃを忘れて「しまった!」ということがあるのですが、スコップやシャベル、ジョウロ、お鍋やフライパンまであって、遊びたい放題。普通の公園に行く時の方が、遊び道具が必要なので、あれもこれもで荷物がいっぱいになりますが、手ぶらで来られるのが嬉しいですね。


今日は、長靴で着替えもバッチリ。親も初めから泥だけになると分かっていれば余裕です。ふらっと訪ねて、汚してしまっても着替えの寄付があるので大丈夫ですよ! しかも着替えのスペースまであります。

木工仕事やお絵かきなどいろんな遊びができます。小さな女の子がプレーリーダーや親御さんに見守られながらノコギリで木材を切っていましたが、こんなことは家庭や幼稚園では中々できないことだと思います。

泥遊びの次は、みんなで乗れる大きなロープのハンモックでゆらゆら。息子はチョークで落書きしたり、手作りのビー玉転がしに夢中になって遊んでいました。

気持ちよさそうな一人用のハンモックや楽しそうな手作りブランコもありました。よくよく見るとハンモックは私が寄付したカーテン!捨てられてしまうはずの我が家のカーテンで子ども達が楽しそうに遊んでいるのを見てとても嬉しかったです。

プレーリーダーと泥だんごを作る子ども達。何度も何度も砂をつけて丸くして磨くとまるで宝石の様なピカピカの泥だんごになるそうです。

子ども達を見守りながら、私は芝生の上でのんびり。子ども達がのびのび遊べるせいか、あれはダメ、これはダメと追いかけ回す必要がなく、他の公園より余裕がある気もします。

ギターの得意なプレーリーダーが歌ってくれることも。子ども達が曲に合わせて踊ったり、バケツを叩いて一緒にセッションを楽しんでいたりしていました。

10月の連休中には恵比寿ガーデンプレイスを中心に恵比寿文化祭が開催され、プレーパークでもパン焼きのイベントが開かれました。

竹にパン生地をつけて焼くのですが、外はカリッ、中はふわふわ。急に寒くなったので、熱々のパンはより美味しく感じました。
イベントなどが開催できるのも、プレーパークならではの楽しみ方ですね。

他の公園とどう違うの?

取材した日のプレーリーダーのりょーまさん(右)とあぐさん。

恵比寿のプレーパークの特徴

恵比寿ならではのユニークな点もたくさん!
「えびすどろんこ山」の方は、都会の真ん中ということもあって、芝生の広場やドッグカフェが併設されるなど、お洒落な雰囲気の中、より幅広い年齢層が一緒に楽しめる場所だと感じました。

年齢制限はありません

代々木の「はるプレ」も「えびすどろんこ山」も年齢制限はないのですが、「はるプレ」はより冒険的なイメージからデビューの年齢層が少し高いそう。「えびすどろんこ山」は芝生の広場などもあり、赤ちゃんや未就学児などが来やすい雰囲気で小さい子の利用も多いとのことです。

禁止の看板はありません

五感を使って自由に遊ぶ。その為には、禁止の立て看板を設けていません。もちろん、法律、モラルに則り、その上での自由な遊びであるということが前提です。

プレーリーダーがいます!

プレーリーダーはプレーパークにいなくてはならない存在!でも、子守ではありませんし、遊び相手というのも違う様です。
あくまでも「子どものやってみたい!」をサポートするのが仕事。きっかけは作るけど、あとは子ども次第。自分が主役になってはいけないそうです。そして、より重要なのは、安全の確保、チャレンジできるリスクの判断と確保。
「自分の責任」で遊ぶ子ども達をサポートするのが仕事です。プレーリーダーが一緒に遊んで中心的な存在になってしまうのは本来の役割ではなく、絶妙な間が取れるプレーリーダーになるまで、三年くらいはかかると入江さんは話していました。

冒険遊びは危なくないの?

みんなで見守る

「自分の責任で遊ぶ」と聞くと危険ではないかと心配する保護者もいると思いますが、管理が行き届いているプレーパークは安心して子どもたちを遊ばせることができます。また、パークにあるものを貸し借りしたりするので、声がけなど他のご家族とのコミュニケーションも取れます。お互いの子どもたちに目を配り、パーク全体で子どもたちを見守るという雰囲気が出てきます。

自分の責任で遊ぶということ

「自己責任」という言葉を一人歩きさせないで欲しいと入江さんは強く語っていました。責任を負うということは何であるかをじっくり考えて欲しいということです。

遊びの中の危険というのは、人それぞれ違うもの。例えば、木登りは小学生なら出来ても、幼稚園の子では危ないかもしれない。一律に登るを禁止するのではなく、できるかできないかを子ども自身で判断するのが「自分の責任で遊ぶ」ということです。
プレーパークの役割は、昔は当たり前にあった、遊びを通してリスクを判断する「自然の遊び場」を再現し、提供することと言えます。

冒険遊びに不慣れな保護者の方へ

とはいえ、こういった遊びに慣れない保護者の方も多いと思います。入江さんも、こみずさんも、まず他の子どもたちが遊んでいる様子を見てもらいたいとのこと。「お子さんが興味を示したら絶対止めないで、自分の子どもは本当は何に興味があるのかよく見てあげるといいなと思います」とのことでした。

お洒落なカフェでリラックス

何より、子育て中のパパ、ママにに嬉しいのは、ほっと一息できるお洒落なドッグカフェの「Andy Cafe」が併設されたこと!
おうちでは犬が飼えないお子さんも、ワンちゃんと交流できるのが嬉しいですね。

イマドキのSNS映えばっちりなお洒落なドリンクも!ゼリーに食用花を閉じ込めたビー玉の様なキラキラしたジュースに娘も大喜び。

フード類もパスタやハンバーグ、オムレツなど家族連れには嬉しいメニューが揃っています。たくさん遊んでお腹が減ったら、ぜひ、「Andy Cafe」に立ち寄ってみてくださいね。

新しくなった公園で遊んでみて

裸足が気持ちの良い芝生のエリア。

遊んでいくうちに公園の良さをじわじわと実感できて、遊びに来るたびに「今の公園になってよかった!」という思いが強くなります。日本全国の公園がこんな風になったらいいのになと思えるほど素敵な公園です! ぜひ、遊びに行ってみてくださいね。

こんなものが必要です!

木材や遊ぶ素材探してます!

子どもの服は常時募集中ですが、遊びの素材も必要とのこと。特に、木材や釘、チョーク、ガムテープ、凧糸、ロープ、石鹸、ブリキのバケツやシャベルなど遊びの道具など。

仲間募集中!

一緒に公園を盛り上げてくれる仲間達も募集中!ふらっときて、空いた時間にお手伝いできるボランティアの仲間達が増えてくれると心強いとのこと。子育ての経験は関係ありません!
むしろ、子育ての経験がない方にも関わって貰い、子育て世代とのギャップを埋める場にもなって欲しいと思います。学生さん、昔遊びが得意なご年配の方、特技や知識がシェアできる方、どなたでも大歓迎だそう。一度、ぜひ、公園に遊びに来てくださいね。

えびすどろんこ山プレーパーク
渋谷区恵比寿南1丁目26−1
渋谷区立恵比寿南一公園内
e-mai : ebisu-playpark@shibuaso.net
開園日:土〜水曜日(木・金お休み)
開園時間:午前10時〜午後5時
運営:一般社団法人 渋谷の遊び場を考える会
公園指定管理事業者:サッポロ不動産開発株式会社

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文・構成/ Rina Ota

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