「犬も歩けば棒に当たる」は悪い意味? 良い意味? 使い方や類語も解説!

「犬も歩けば棒に当たる」は簡単にいうと「何かをすれば災難にあう、もしくは幸運にあう」です。良い意味でも悪い意味でも使われる「犬も歩けば棒に当たる」について、使い方や類語、英語表現まで紹介していきます。

「犬も歩けば棒に当たる」とは?

「犬も歩けば棒に当たる」は、一度は聞いたことがあることわざですよね。「犬も歩けば棒に当たる」には、良い意味と悪い意味の両方が含まれているので、場面に応じて使い分けが必要です。

そこで当記事では、小学生にもわかりやすいよう、「犬も歩けば棒に当たる」について詳しく解説していきます!

意味

「犬も歩けば棒に当たる」には、「何かをすれば、災難にあうことも多い」「出歩けば、思わぬ幸運に出会う」という2つの意味があります。

「棒に当たる」は、「人に棒で殴られる」という意味があり、この場合は前者の意味に。しかし、「棒に当たる」=「幸運」と捉えると、後者の意味になります。

このように、「犬も歩けば棒に当たる」は、「余計なことをすべきでない」と「なんでもやってみるべきだ」という、まったく反対の使い方がされるのです。

由来・語源

「犬も歩けば棒に当たる」は、「江戸いろはかるた」が由来だそう。

「江戸いろはかるた」とは、江戸時代後期のかるたで、いろは47文字に「京」の字を加えた48文字からなります。それぞれの文字に教訓や戒めの意味があることわざがあてられていて、最初の文字「い」に来るのが「犬も歩けば棒に当たる」なのです。

ちなみに、「いろはかるた」は、江戸、大阪、京都など地域で内容が異なります。大阪では「い」の文字には「一を聞いて十を知る」、京都では「一寸先は闇」があてられているんですよ。

使い方を例文でチェック!

「犬も歩けば棒に当たる」は、「余計なことはするべきではない」と、「積極的に行動するべき」という2つの意味で使われます。それぞれ、どのような状況で使うべきか、例文を参考にして理解を深めましょう。

1:犬も歩けば棒に当たるというし、気になる学校はすべて受験してみよう。

この例文があらわすのは、多くの学校を受験すれば、どれか一つは合格するといった意味。たくさん行動をすれば、きっと幸運に出会えるはずという「犬も歩けば棒に当たる」の、ポジティブな意味合いを活用した例文です。

2:手当たり次第に営業してみたら、予想以上に多くの契約が取れた。犬も歩けば棒に当たるとはこのことだ。

この例文も、「たくさん動いた結果、良いことに出会えた」ということをあらわしています。行動することの大切さを教えてくれますね。

3:遊びに行くのはいいけど、犬も歩けば棒に当たるっていうから、十分気をつけてね。

「何かをすれば災難にあうことも多い」というたとえで使っているのが、こちらの一文です。遊びに出かける子どもに対して、事件や事故にあわないよう注意してねということを伝えています。

類語や言い換え表現は?

続いて、「犬も歩けば棒に当たる」の類義語にあたる慣用句やことわざを紹介しましょう。「幸運にあう」「災難にあう」という、それぞれの意味に当てはまる言い換え表現を見ていきます。

1:怪我の功名

「怪我の功名」とは「けがのこうみょう」と読みます。「怪我」とは過失のこと、「功名」とは手柄を立てること。よって、「過失から、手柄を立てること」をあらわし、「失敗と思ったことや何気なくやったことが、良い結果になること」という意味になります。しくじったと思ったのに、偶然にも良い方向に転じた時に使うことわざです。

例文:電車を乗り間違えてしまったが、おかげで学生時代の友人にバッタリ会えた。怪我の功名とはこのことだ。

2:思い立ったが吉日

「吉日(きちじつ)」とは、物事を始めるのに縁起の良い日のこと。つまり、「思い立ったが吉日」で、「何かをしようと思い立った時が、始めるのに最適な日」という意味。何かをしたいと思ったら、ためらわずにすぐ実行するべきだと、行動を後押しする意味合いで使われます。

「犬も歩けば棒に当たる」も、行動していれば幸運に出会うこともある=行動すべきという教訓として用いられますので、使いようによっては言い換えが可能です。

例文:思い立ったが吉日というから、アイデアはすぐに実行しよう。

3:藪をつついて蛇を出す

「藪(やぶ)をつついて蛇(へび)を出す」は、「藪蛇(やぶへび)」と略して使われることもありますね。意味は、「余計なことをした結果、災難を招く」。言葉の通り、藪をつつくという余計なことをしたために、大人しくしていた蛇を挑発してしまう様子をあらわします。必要のないことをして、悪い結果を招いたり、事態を悪化させてしまった時に使うことわざです。

例文:藪をつついて蛇を出すといえば、ようやく仲直りしたというのに、つい余計な一言で夫をまた怒らせてしまった。

4:触らぬ神に祟りなし

「触らぬ神に祟りなし」とは、「その物事にかかわらなければ、災難も起こらない」。面倒な物事には最初から関わるべきではないといった意味合いで使われます。ちなみに、この「触らぬ神に祟りなし」も、いろはかるたが語源。江戸ではなく尾張いろはかるたの、「さ」の文字にあてられていることわざです。

例文:触らぬ神に祟りなし。妻は機嫌が悪そうだから、そっとしておこう。

英語表現は?

「犬も歩けば棒に当たる」にぴったり当てはまる英語表現はありません。そのため、行動すれば良いことが起こる・災難にあうというニュアンスを持つ英語表現を使いましょう。

1:Nothing will ever change if you don’t act.

「Nothing will ever change if you don’t act.」は、行動しなければ何も変わらないという意味です。このフレーズを使えば、「犬も歩けば棒に当たる」に含まれる、行動を促すニュアンスがしっかり伝わるでしょう。

2:Let sleeping dogs lie.

「Let sleeping dogs lie.」は、「触らぬ神に祟りなし」の英語表現として使われるフレーズです。「let+人(物)+動詞の原形」で、「人(物)に〜させる」という意味になります。これに従って直訳すると、「寝ている犬は横にさせておけ」に。つまり、わざわざ犬を起こすのはやめておけ=面倒ごとには関わるなといった意味合いになるのです。

最後に

今回は、「犬も歩けば棒に当たる」について詳しく解説しました。

「犬も歩けば棒に当たる」は、「何かをすれば災難にあう」という悪い意味でのみ使っていた人も多かったのではないでしょうか? これを機に「何かをすれば幸運にあう」という意味でも使ってみてくださいね。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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