「後悔、先に立たず」の意味は?「覆水盆に返らず」との違いや類語も

「あの時、こうすれば良かった…」と、過去を悔やむ時に使われる「後悔、先に立たず」。言葉の意味は「してしまったことを悔やんでも仕方がない」です。当記事では、「後悔、先に立たず」の類語や英語表現、「覆水盆に返らず」との違いについても解説します!

「後悔、先に立たず」とはどんな意味?

「後悔、先に立たず(こうかい、さきにたたず)」は、「してしまったことを悔やんでも仕方がない」という意味。終わったことは取り返しがつかないので、「後悔のないよう、しっかり準備をしておくこと」という教訓を含むことわざです。

使い方を例文でチェック!

「してしまったことを悔やんでも仕方がない」という意味の「後悔、先に立たず」。何かをする前のアドバイスとしても使えますし、何かをした後に教訓の意味合いとしても使うことができます。では、使い方を例文で見ていきましょう。

1:「後悔、先に立たず」というから、できる限りのことをして受験に挑もう。

この例文は、これから行うことに関して「後悔のないようにしっかり準備をしよう」という意味合いを含んでいます。思うような結果にならなかった時、「あの時もっと頑張っていれば…」と誰でも自分の行いを悔やんでしまうもの。

また、たとえ悪い結果になったとしても、「精一杯やり切った」と思えれば、後悔もないはず。何かを行う前には、このことわざを思い出してみると、後悔が減っていくでしょう。

2:仲直りしようと決心した矢先、Aちゃんは転校してしまった。まさに「後悔、先に立たず」だ。

こちらは、何かをした後に「してしまったことを悔やんでも取り返しがつかない」という教訓を伝えている例文です。

喧嘩をしている時、相手に素直に謝るのは、勇気がいることでもあります。しかし、謝るのを躊躇していると、仲直りする機会を失ってしまうことも少なくありません。このようなことがないように、思い立った時、すぐ行動に移せるようにしたいものですね。

3:もっと事前準備をしておけば商談に成功していたはずだが、「後悔、先に立たず」だ。

プライベートだけではなく、仕事においても、事前準備を怠ったためにミスをしたり、失敗をしてしまったりすることはあります。この例文からは、「後から嘆いても仕方がない」という諦めのようなニュアンスが伝わりますね。

類語や言い換え表現は?

続いて、「後悔、先に立たず」と似た意味を持つことわざや四字熟語を紹介しましょう。「後悔、先に立たず」の類語には、「覆水盆に返らず」「後の祭り」「油断大敵」が当てはまります。それぞれの言葉の意味と、例文も一緒に見ていきましょう。

1:覆水盆に返らず

「覆水盆に返らず」の読み方は、「ふくすいぼんにかえらず」です。「覆水」とは、容器からこぼれてしまった水のこと。こぼれた水は盆には戻らないことから、一度別れた夫婦は元には戻らないことをあらわします。これが転じて「一度起きたことや、してしまったことは取り返しがつかない」という意味になるのです。

「後悔、先に立たず」には、後悔の気持ちが含まれています。ですが、「覆水盆に返らず」は、取り返しのつかない状況をあらわしているだけで、後悔の気持ちはあまり含まれていません。この点が、「後悔、先に立たず」と「覆水盆に返らず」の違いといえるでしょう。

例文:うっかり失言をして相手を怒らせてしまったが、覆水盆に返らずだ。

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2:後の祭り

「後の祭り」とは、祭りが終わった後の山車は役に立たないものであることから、「時機が遅れていて、無駄なこと」「手遅れなこと」を意味する言葉です。

「後の祭り」も、タイミングを逃して後悔をする結果になったとしても、取り返しがつかないことをあらわしています。

例文:大会は終わってしまった。今さら練習しても後の祭りだ。

3:油断大敵

「油断大敵」の読み方は、「ゆだんたいてき」。「油断」とは、「高をくくって、注意を怠ること」。

「大敵」とは、漢字があらわす通り「強い敵」のこと。つまり、大丈夫だろうと気をゆるめると、思わぬ危険や失敗を招くという意味です。「油断せず、しっかりと気を引き締めよ」という戒めのニュアンスを含んでいます。

例文:模試の結果が良くても油断大敵よ。最後まで気を抜かずに、受験に臨みましょう。

対義語は?

「後悔、先に立たず」は、事前に熟考することの大切さを教えてくれる表現でしたね。では、これとは逆の意味というと、どんな言葉が考えられるでしょうか? 対義語にあたりそうな言葉を探してみましたので、ぜひ語彙力アップにお役立てください。

1:伸るか反るか

「伸るか反るか」は、「のるかそるか」と読みます。漢字は、「伸るか反るか」ですので、「乗るか反るか」と間違えて書いてしまわないように、注意しましょう。「成功するか失敗するかはわからないが、運を天に任せて思い切りやってみよう」という気持ちをあらわす言葉です。「後悔、先に立たず」は、事前にしっかり考えて物事にあたることの大切さを伝える言葉ですので、逆の意味の言葉といえるでしょう。

例文:伸るか反るか、この企画で一度進めてみましょう。

2:一か八か

「一か八か(いちかばちか)」は、「結果がどうなるかわからないが、運を天に任せてやってみること」という意味。「伸るか反るか」とほとんど同じ意味の言葉と考えていいでしょう。

ちなみに、なぜ「一」と「八」なのかというと、さいころの目が「一」であれば成功、それ以外なら失敗という意味で使われていた「一か罰か」というばくち用語が語源だそう。また、丁半賭博(ちょうはんとばく)の「丁半」の漢字の上部分を抜き出すと「一」と「八」になることから、という説もあります。

例文:一か八か、憧れの先輩に告白をすることにした。

3:後は野となれ山となれ

「後は野となれ山となれ」の読みは、「あとはのとなれやまとなれ」です。「目先のことが済めば、その後のことはどうなっても構わない」というたとえで使われます。後が野になっても山になっても知ったことではない! という、やや自暴自棄なニュアンスが含まれていますね。

例文:やれることはやった! 後は野となれ山となれ!

英語表現は?

「後悔、先に立たず」の英語表現には、「What’s done is done.」があります。意味は「済んだことは済んだことなので、仕方がない」です。切り替えて次に進もう! というニュアンスを含んでいます。

そのほかには、「覆水盆に返らず」を意味する「It is no use crying over spilt milk.」も、「後悔、先に立たず」の意味合いが伝わるでしょう。

最後に

「後悔、先に立たず」は、事前準備や、しっかり考えてから物事にあたることの大切さを教えてくれる表現でした。

仕事はもちろん、子育て、恋愛など、人生における様々な場面で「もっと、こうしておけば良かった…」と、悔やむことはよくあります。しかし、事前にどれだけ熟考して準備をしても、結果が出てみないとわからないこともたくさんあります。どうせ「後悔は先に立」たないのですから、済んだことにくよくよせず、前向きな人生を送れるといいですね。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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