アルバニアってどんな国?
アルバニアはバルカン半島の西側にあります。1970年代後半から1991年まで半鎖国政策をとってきた、世界でも珍しい国として知られています。
しかも、ねずみ算式に加入者を増やして金銭を集める「ねずみ講」が流行り、1997年にはねずみ講の破綻をきっかけに、反政府市民の争乱が起きたこともあります。また、どんな宗教も信仰しない「無神国家」だったことも、アルバニアの特徴としてあります。
一方、アルバニアは山々がある美しい国で、近年は特に観光地としても人気の上位に入る国として知られてきています。そんなアルバニアについて、詳しく見ていきましょう。
アルバニア基本情報
まずはアルバニアの基本情報からご紹介します。
国名
アルバニア共和国
首都
ティラナ(Tirana)
場所
アルバニアがあるのは、東南ヨーロッパのバルカン半島の西側。北西にはモンテネグロ、北にコソヴォ、北東にマケドニア、南東にギリシアが隣接しています。西はアドリア海に面しており、海を挟んでイタリアがあります。
日本との時差
8時間(日本の方が8時間進んでいます)
面積
2万8,700平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞で、四国は約1万8,000平方㎞なので、四国のおよそ1.5倍の広さです。
エリア
アルバニアには12の州があります。
人口
約276万人(2023年、アルバニア統計局)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)。アルバニアは大阪市の人口(276万人)とほぼ同じになります。
言語・公用語
アルバニア語
英語、ドイツ語、イタリア語などが通じます。
通貨
レク(Lek)
1レク=約1.57円(2024年2月24日時点)
宗教
イスラム教が約57%ともっとも多く、それ以外にはローマカトリック(10%)、正教(7%)などがあります。
歴史
1970年代後半から半鎖国政策が行われてきましたが、1991年には欧米諸国と国交を回復しています。
1912年 オスマントルコから独立
1939年 イタリアの保護領、後に併合
1944年 共産党臨時政府樹立、全土解放
1961年 ソ連と断交
1976年 中国の経済・軍事援助停止
1985年 ホッジャ勤労党第1書記死去
1990年 野党設立許可、複数政党制導入、外貨導入解禁
1991年 初の自由選挙、臨時憲法制定、米、英と国交回復、ECと外交関係、IMF、世銀、欧州安全保障協力機構(OSCE)加盟
1992年 総選挙で初の非共産政権樹立、イスラム協力機構(OIC)に加盟
1994年 平和のためのパートナーシップ(PFP)包括協定、PFP個別協定調印
1995年 欧州評議会に加盟
1997年 ねずみ講問題を発端とする騒乱が発生。6月の総選挙の結果、社会党を中心とする連立政権成立
1998年 新憲法制定
2000年 WTO加盟
2003年 EUとの間で安定化・連合協定(SAA)交渉を開始
2006年 EUとの間で安定化・連合協定(SAA)に署名
2009年 NATO加盟、EU加盟申請
2014年 EU加盟候補国の地位を獲得
天気・気候
アルバニアは穏やかな地中海性気候が特徴。1年を通して温暖です。季節は雨季と乾季にわかれ、10月から5月の雨季は降水量が多くなります。4月から9月は雨が少なくなり、観光にベストシーズンです。ただしマケドニアとの国境にある2000メートル級の山をはじめ、標高が1500メートルを超えるような山では、冬の寒さが厳しく降雪量もあります。
アルバニアの治安・住みやすさ
アルバニアを訪れるなら、治安や住みやすさが気になるところです。
治安は比較的安全
外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年2月1日時点でアルバニアの危険レベルは、特に発令されていません。他のヨーロッパやアメリカなどと同じように、比較的治安がよく海外旅行を楽しめる国でしょう。
しかしヨーロッパ各国でも、スリ、置き引きなどの犯罪は頻繁に起きているので、いつも注意が必要です。
住みやすさは良好
治安がよく、しかもヨーロッパにありながら物価が安いと言われるアルバニア。比較的安全に、安心して暮らせる国と言えるようです。また、ギリシアなどの近隣諸国にも気軽に旅行に訪れることができて、快適な暮らしを楽しめそうです。
アルバニアの見どころ・観光
アルバニアの観光地やおすすめスポットをご紹介しましょう。
スカンデルベグ広場(ティラナ)
アルバニアの首都ティラナにあるスカンデルベグ広場。アルバニアの英雄、スカンデルベグの名前からとってつけられた公園で、中央にはスカンデルベグの像が建っています。
デュラス
アルバニアで最も大きな港町がデュラスです。アドリア海を挟んでイタリアがある美しい場所で、シーフードをメインにしたレストランなども多くあります。
ベラト・ギロカストラの旧市街
世界遺産に指定されているベラトとギロカストラの旧市街地。オスマン帝国時代に建てられた住居が山の斜面に数多く連なり、おとぎ話の1ページを見ているよう。ジロカストラ城から街並みを一望できます。ぜひカメラに収めるのをお忘れなく。
ブルーアイ(サランダ)
ブルーアイは、アルバニア南部のサランダにある神秘的な泉のこと。深い泉は吸い込まれるような美しいエメラルドグリーンで、「ドラゴンの目のようだ」とか「ドラゴンが棲む場所」などと言われていたのだとか。サランダの街から少し離れた場所にありますが、わざわざ出かけてでも一度は訪れて見てみたい絶景スポットのひとつです。
サランダのビーチ(サランダ)
同じくサランダのビーチは、透明で美しいことで有名。ビーチリゾートとしても知られる場所で、のんびりと過ごす人が多くいます。特にビーチから望むサンセットがステキです。
ジャミーア・エトヘム・ベウト・モスク
「ジャミーア・エトヘム・ベウト・モスク」は、首都・ティラナにあるモスク(イスラム教の礼拝堂)です。特徴は、壁と天井に描かれた美しいフレスコ画。草木模様や19世紀初頭の街が描かれており、イスラム芸術を間近で見ることができます。
クルヤ城
クルヤ城は、首都ティラナからほど近くにあるクルヤ地域にある古城です。岩山の上に立っており、まさに「天空の城」の風情があります。このお城は、アルバニアがオスマン帝国に支配されていた時代に国の英雄であるスカンデルベグが戦った城で、アルバニア独立の象徴とされています。現在は城郭跡や博物館があり、アルバニアの歴史を体感できる観光スポットです。高台からは町並みとアドレア海を見渡せ、絶景が広がります。
ブリトンドの遺跡
サランダにある「ブリトンドの遺跡」も、世界遺産に指定されています。ブリトンドの遺跡には、ローマ時代の円形劇場、公共浴場、洗礼堂、礼拝堂、神殿などの跡地があり、古代ロマンに浸ることができます。
アルバニアの特徴・有名なもの
アルバニアといえば、ねずみ講が大流行したレアな国。それ以外にもアルバニアの特徴をご紹介しましょう。
ねずみ講
アルバニアといえば、ねずみ講が流行ったことで有名な国です。一説によると、国民の大半がねずみ講に加入したのだとか。そして1997年には、ねずみ講の破綻によって、資金の返還を求める市民が暴動を起こし、大きな混乱を招くこととなったのです。
シーフード料理
アルバニアは海に面した国なので、魚介をふんだんに使った料理がメジャー。しかも、イタリア、ギリシア、トルコなどの近隣の国の食文化が程よくミックスしており、おいしくアレンジされた独特の食文化が育ってきています。
物価が安い
アルバニアは、ヨーロッパにある国なのに、物価が安いのが特徴。かつては「ヨーロッパで最貧の国」とまで言われたことがあります。そのため、ヨーロッパの旅行は、ホテル代や滞在中の食費などもかなりかかりますが、アルバニアでは比較的経済的に旅行を楽しめると言えるでしょう。
世界初の無神国家
アルバニアにはかつて宗教を禁止する政策があり、世界初の無神国家でした。1990年にはその政策が廃止され、今ではさまざまな宗教を信仰することができますが、国民のなかには無宗教の人もいます。
トーチカ
アルバニア国内のいたるところで見られるのが「トーチカ」です。トーチカとは、1976年に仮想敵国を相手に造られた銃器などを備えた堅固な防御陣地(防空壕のようなもの)。各家庭に設置させられ、頑丈であることもあり、多くのトーチカが今でも残っています。
美しい街並みの国アルバニア
日本ではアルバニアは、あまりなじみのない国のひとつでしょう。しかしヨーロッパにあるこの小さな国は、半鎖国を行っていたり、ねずみ講が流行ったり、かなり驚きの実態がある国。
現代では、治安が比較的よく、物価も安く、しかも美しい街並みがあることから、人気の旅行先になっています。将来のヨーロッパの旅行の候補に、アルバニアを入れてみても楽しいかもしれませんね。
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文・構成/HugKum編集部