アルメニアってどんな国?
アルメニアは、トルコやジョージアと隣接する国。かつてはソ連の構成国でしたが、1991年に旧ソ連から独立した歴史があります。一方で、隣国であるアゼルバイジャンやトルコとの対立は深く、その対立関係は現在も続いています。
そんなアルメニアとはどんな国でしょうか。順番に見ていきましょう。
アルメニア基本情報
まずは、アルメニアの基本情報からチェックしましょう。
国名
アルメニア共和国
首都
エレバン(Yerevan)
場所
アルメニアは、アジアとヨーロッパの間にあるコーカサス山岳地帯にあります。北はジョージア、東はアゼルバイジャン、南はイラン、西はトルコに隣接しています。黒海やカスピ海、ロシアの近くにある国です。
日本との時差
5時間(日本の方が5時間進んでいます)
面積
2万9,800平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞で、関東地方は約3万2,000平方㎞なので、アルメニアの広さは関東地方よりやや小さめと言えばわかりやすいでしょう。
エリア
アルメニアは11の地方(行政区画)で分かれています。首都エレバンがあるのは、エレバン地方。
🌍【#ここはどこ?】💡#アルメニア🇦🇲の首都 #エレバン にあるカスカードという階段状の公園🏞️
写真左下のような個性的なモニュメント🗿がたくさんあり、地元の若者に人気のスポット😎 pic.twitter.com/y4ja11pFRw— 外務省やわらかツイート (@MofaJapan_ITPR) June 3, 2019
人口
300万人(2021年の国連人口基金のデータ)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)。茨城県の人口は約287万人なので、アルメニアは茨城県の人口とほぼ同じになります。
言語・公用語
公用語はアルメニア語
通貨
ドラム(Dram)
1ドラム=約0.3円(2023年2月7日時点)
宗教
キリスト教(東方諸教会系のアルメニア教会)
アルメニアは、世界で最初にキリスト教を公式で需要した国。
歴史
アルメニアはかつてオスマン帝国とペルシャによる弾圧の対象となり大国による支配を受けましたが、1918年に独立。さらに旧ソ連の構成国となった歴史があります。現在は、1991年に旧ソ連から独立しています。
14~15世紀 ティムール朝、カラ・コユンル朝、アク・コユンル朝による支配
16~18世紀 オスマン朝とサファヴィー朝によるアルメニア争奪戦
1828年 トルコマンチャーイ条約により東アルメニアがイランからロシアに割譲
1918年5月 アルメニア共和国(第一共和国)成立
1920年 アルメニア・ソビエト社会主義共和国成立
1922年 ジョージア、アゼルバイジャンと共にザカフカス社会主義連邦ソビエト共和国を形成、ソ連邦結成に参加
1936年 アルメニア・ソビエト社会主義共和国成立
1990年8月23日 共和国主権宣言
1991年9月21日 共和国独立宣言
1991年10月 テル・ペトロシャン大統領就任
1994年5月 ナゴルノ・カラバフ紛争に関しアゼルバイジャンと停戦協定締
天気・気候
アルメニアの首都エレバンの緯度は、日本の青森県・秋田県などとほぼ同じです。夏は40℃を超える日もあるほど暑く、冬は零下になるもなど冷え込みが厳しく、気温の差が大きくなります。季節は日本と同じように四季があり、春は3月から5月、夏は6月から8月、秋は9月から11月、冬は12月から2月にあたります。アルメニアを旅行するなら、ベストシーズンは春や秋頃と言われています。また山が多い国で、山岳地方は乾燥してエレバンより冷え込みます。
アルメニアの治安・住みやすさ
もしアルメニアを訪れるのなら、治安についても確認しておきたいですよね。治安面や住みやすさはどうでしょうか。
治安はレベル2、でも一部はレベル4の地域も
外務省「海外安全ホームページ」によると、2023年2月7日時点で、アルメニアの危険レベルは1または2(一部はレベル4)。レベル1は「十分注意」、レベル2は「不要不急の渡航中止」としています。
現在はアルメニアの治安は比較的安定していますが、スリ、置き引きの窃盗が数多く発生しています。また銃の不法所持も社会問題化しており、銃を使った殺人・傷害事件に巻き込まれないよう注意も必要です。
外務省がレベル4で「渡航を止めてください」と退避勧告を出しているのが、アゼルバイジャンとの国境周辺地域です。2020年9月にはこの地域でアゼルバイジャンとアルメニアの大規模な軍事衝突が勃発。現在も危険なエリアとされています。
住みやすさは疑問
アルメニアは、日本から比べると治安面に不安がある国と言えます。しかもアゼルバイジャンとの領土の問題など、政治的・歴史的な問題で衝突が起きたことや、そもそもアジア人が少ないこともあり、日本人にとっては決して住みやすい国とは言えないかもしれません。
アルメニアの見どころ・観光
アルメニアはヨーロッパとアジアの間に挟まれた国であり、しかも世界で初めてキリスト教を公式で認めた国だったこともあり、宗教的な建物など文化と歴史が息づく観光スポットがあります。
ガルニ神殿
ガルニ村にあるガルニ神殿は、1世紀に建設された神殿です。太陽神ミトラを祀った神殿として建立されました。また夏には王の離宮として利用されていたそうです。現代のアルメニアでは唯一のヘレニズム様式の建物となっています。
ハガルツィン修道院
「アルメニアのスイス」と表現されるように、緑が美しい山々に囲まれた中に立つハガルツィン修道院。まるでおとぎ話や絵画に出てくるような外観で、修道士が人里離れた場所で修行を重ねた場所だったそうです。11世紀から13世紀頃に建てられたという建物の歴史や、その外観の芸術的な造りは圧巻です。
ズヴァルトノツ古代遺跡
世界遺産に登録されているのが、ズヴァルトノツ古代遺跡。650年頃に建築されたもので、大聖堂は高さが45mもあったのだとか。しかし10世紀に起きた地震で倒壊しており、現在見ることができるのは一部のみです。しかし、かつての人々が経てた建物の美しさなどを感じ取ることができるでしょう。
アルメニア人虐殺博物館
20世紀にアルメニアでは100万人以上のアルメニア人が虐殺された歴史があります。それらの犠牲者のための博物館です。名前の通り、アルメニア人大量虐殺に関する資料などが展示されていて、その悲しい歴史について知ることができます。
アルメニアの特徴・有名なもの
アルメニアといえば有名なものもいくつかあります。
キリスト教
アルメニアは国教としてキリスト教を定めた初めての国。宗派はアルメニア正教と呼ばれる独自のものです。そのため現在でも国民の多くがキリスト教徒です。
国土の90%が標高1,000m以上の山
アルメニアはカフカス山脈の南側に位置し山の多い国として知られています。国土のなんと90%は、標高1,000mもあります。
ダイヤモンド
アルメニアの主要産業は宝石の加工です。特にダイヤモンドの原石を輸入して、アルメニアで加工されて、それが世界各国に輸出されています。
独特の文化があるアルメニア
日本から遠く離れた場所にあるアルメニア。国としても小さく、日本にはなじみのないところかもしれません。しかし、かつては旧ソ連の構成国だったり、キリスト教を世界で初めて国として受容したりと、ユニークな歴史を持っています。
そんなアルメニアについて、さらに調べたり勉強したりすると面白い発見があるかもしれません。
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文・構成/HugKum編集部