スーパーは文化の違いがもっとも顕著に表れる場所
スーパーマーケットはその国の文化や特徴が手に取るように感じられる場所です。並んでいる商品、ディスプレイの仕方、お客さんの雰囲気、店員さんの対応まで、その国ならではの文化が息づいています。
近年ではAirbnbをはじめとする民泊も一般的になりました。海外旅行の際にはキッチン付きの宿に泊まり、スーパーで買い物をして料理を楽しむ……。そんな体験を通じて、日本とは異なる食材や調味料に触れ、現地の食文化を垣間見ることができます。また、現地のスーパーは観光スポットとは違い、地元の人々と交流できるいい機会でもあります。
さらに、商品の陳列方法や広告、POPなども国ごとに異なり、販売やマーケティング手法の違いを学ぶこともできます。日本では感じられないようなインスピレーションが得られるので、お仕事にもいい影響があるかもしれません。
新しい発見や驚きがたくさんあるスーパーはまさに、異文化を楽しみながら学べる魅力的な場所なのです。
レジの人はガムを噛み、座位がデフォルト
それでは、ここからは私のポルトガルでの実体験をもとに「日本と海外のスーパー事情の違い」を紹介していきます。
まず感じるのは、店員さんの対応の違い。レジの人はガムを噛んでいたり、私語を話していたりするのが普通の光景です。レジの人同士が笑いながら談笑し終わるのを、お客さんが待つというシーンもめずらしくありません。また、レジの人は座っているのが基本で、立って作業をするところはほとんど見ません。
そして、ポルトガルのレジはベルトコンベア式が一般的。カートから自分でベルトコンベアに商品をのせ、袋詰めもセルフです。
支払いの際に高額紙幣を出すと、ときどき偽札チェックが行われることがあります。そんなシーンも海外でのショッピングならではないでしょうか。
他言語表示、ヴィーガン、量り売りは基本
もちろん、ポルトガルのスーパーでは扱っている商品も日本とは違います。例えば日本のスーパーに置かれている商品は、日本語で書かれているパッケージが一般的です。ただ、海外に出るとそんなあたりまえのことがあたりまえではないことに気づかされます。
ポルトガルの商品パッケージの多くは他言語表示です。公用語であるポルトガル語に加えて、英語、そして隣国のスペイン語、フランス語、イタリア語などが併記されています。
また言語の多様性だけでなく、嗜好の多様性も日本よりも進んでいると感じられます。ヴィーガンやグルテンフリーなどの商品は非常に多く、専用のコーナーが設けられていることも少なくありません。日本でもこれらのキーワードは耳にすることも多くなりましたが、それでもまだ「一部の人のためだけのもの」という認識が高いのではないでしょうか。
一方、ヨーロッパでは全体の2割以上がベジタリアンやヴィーガン、フレキシタリアン(動物性も時々たべるが植物性の食事を基本とする食志向)であるともいわれており、自分の意志でさまざまな選択ができるようになっています。
ポルトガルに限らず海外では、野菜や果物は量り売りが基本です。自分で量りに乗せてボタンを押すと、値段が書かれたシールが発行されるシステムです。
まだまだあるあるこんな違い
ポルトガルでも宅配スーパーは利用されています。私がよく利用するAuchanというフランス系スーパーでは注文後最短当日に届き、「€16払えば、90日間配送料無料」というサービスも用意されています。
また、祭事コーナーもダイナミック。クリスマス、ハロウィン、イースター、新学期など季節によって大々的なディスプレイや商品陳列が見られます。
スーパーは生活文化の縮図
海外のスーパーは、旅行や移住をする人にとって、現地の文化や生活習慣を知るための貴重な場所です。見方を変えればいろいろな新しい発見や驚きが得られるため、海外のスーパーに足を運ぶことは単なる買い物以上の体験ができるのではないでしょうか。
私は現在ポルトガルに住んでいますが、近隣の国に行った際には、その滞在先でもスーパーには必ず立ち寄るようにしています。先日はお隣のスペインに行きましたが、隣国でも国が変わればスーパーの中身も変わります。総菜コーナーにはパエリアが並び、生ハムの品揃えも充実していました。
こんな違いを知ることができるのも、やっぱり自分の目でみるからこそ。旅行や移住を予定している方は、ぜひ地元のスーパーに足を運んでみてください。