家族でポルトガルに移住して10か月。「子どもがすぐバイリンガルに」は甘い、と思い知る毎日【パパ目線の海外子育て】

こんにちは。ポルトガル在住のフリーライター、小林悠樹です。私は2022年の春、ユーラシア大陸最西端の国「ポルトガル」に妻と当時5歳の息子と、家族3人で移住しました。
今回は、ポルトガル移住後10か月時点の息子のポルトガル語習得事情についてご紹介します。

移住後に一からポルトガル語の勉強をはじめる

家族3人とも絶賛ポルトガル語奮闘中

我が家は2022年4月にポルトガルに移住しました。

ポルトガルはヨーロッパのなかでも親日の人が多く、治安もよいため日本人にとって住みやすい国です。国土の西岸全体が海に面していることから魚食の文化が根付いており、日本と近い食生活ができるのも魅力だと感じています。

ポルトガルの公用語は「ポルトガル語」です。私も妻もポルトガル語はまったくの初心者(英語も日常会話レベル)。当然、息子もポルトガル語は一切話せない状態でこちらに移住しました。

ちなみに、ポルトガルの都市部では英語が比較的通じるため、ポルトガル語が話せなくてもある程度コミュニケーションをとることはできます。ですが、地方だとポルトガル語が話せないと苦労する場面が少なくありません。

近所の市場では、英語はほとんど通じない

6歳の息子はポルトガル語づけの日々

現在6歳の息子は、20229月から現地の小学校に通いはじめました。小学校ではポルトガル語づけの毎日を送っています。

入学してはじめのうちは「友だちが遊んでくれない…」と悩んでいました。“Vamos jogar juntos!”(一緒に遊ぼう!)という言葉を覚えて、何人かのクラスメイトに声をかけてみても、最初の1週間ほどは断られる日々。親としては学校に息子を送ったあと、「今日は大丈夫かな…」と気が気ではありませんでした。

しかし、1か月ほど経つと徐々にクラスメイトと打ち解けるようになり、いまでは友だちとサッカーや鬼ごっこをして楽しく遊べているようです。

地域のクリスマスイベントに集まった子どもたち

小学校以外には、週に2回、日本人講師によるポルトガル語のオンラインレッスンを受けています。ポルトガル人によるレッスンと迷ったのですが、小学校に通う前に1か月ほど通っていたアフタースクール(学童のような施設)の先生に、「いまの息子のレベルでは、日本人からポルトガル語を教えてもらったほうがいい」とアドバイスをもらったため、日本語でポルトガル語を学べる環境を整えています。

それ以外の活動としてはサッカー(週2回)とスケートボード(不定期)の習いごとをしています。いずれも先生はポルトガル人なので、必然的にポルトガル語を話したり聞いたりすることにつながっています。

移住後10か月で、ようやく芽が出てきた!?

ポルトガル語で「クリスマス」は“Natal”

ポルトガルに住んで10か月経った息子のポルトガル語力ですが、最近やっと芽が出てきたと感じています。簡単な自己紹介をする、自分の欲求を伝える、また、相手が話している内容がそこそこわかるようになってきています。

また、ほぼ毎日ポルトガル語や算数の宿題が学校から出るのですが、教科書やプリントに書かれている問題文の意味なども徐々に理解できるようになってきている状況です。

サンタクロースへの手紙はポルトガル語で

 とはいえ、知らない単語は無限にあり、長文や複雑な文になるとわからないことがほとんどです。いかんせん私も妻もポルトガル語初級者なので、息子の宿題などを通じて家族全員で語学力アップに励んでいます。

まだまだ課題は山積み

移住後10か月の時点では、ポルトガル語習得への道の成果は見えつつも、やはり「言葉の壁は高い…」と感じることが少なくありません。

たとえば、息子の通うサッカースクールは約20人の子どもたちが参加しているのですが、息子はコーチの説明や練習内容がわからない場面が多々あります。

また、小学校での息子の姿を見られないため学校内でどんな困難に直面しているかすべてを把握できていませんが、おそらく授業中も同様のことがあるのでは、と想像しています。先生の言っていることが理解できない、友だちと遊ぶときも自分の意見を正しく伝えられない、お友だちの言ってることがわからないなど、歯がゆい思いをするシーンはたくさんあるのだと思います。

ポルトガル語の動詞が学べる手づくりのカルタ

さらに、宿題などで未知の単語に出会った際、日本語で訳を教えるのですが、6歳の息子には日本語自体の意味がわからないということもしばしばあります(たとえば、ポルトガル語で“acordo com ~”は「~と一致する」という意味なのですが、息子はまだ一致するという意味がわからないので、その意味から教えないいけない)。 

どの言語もすぐに上達することはない

新たな言語を学ぶということは決して簡単なことではありません。

しかし、前提として、どの言語でもある程度理解できるようになるには、少なくとも2 3年ぐらいはかかるものだと考えています。そのため、現時点では順調に進んでおり、むしろ異国の地でまだ言語もよくわからないのに「学校が楽しい、明日も行きたい!」と言える息子を心から誇りに思っています。

今後の展開としては、日々の小学校通学にくわえ、日本人によるプライベートレッスンの継続、また、もう少しポルトガル語が上達してきたら、ポルトガル人によるポルトガル語レッスンも取り入れたいと考えています。

将来的には、息子は日本語よりもポルトガル語が優位になる可能性が高いため、漢字や読解など、国語の勉強にも取り組まなければなりません。2つの言語を並行して伸ばしていくのは非常に難しいことだと感じていますが、工夫していきながら息子のサポートをしていくつもりです。

勉強する過程を楽しむ

生まれたばかりの赤ちゃんが言葉を操れるようになるには数年かかるように、他言語の習得も一朝一夕にはいきません。

「子どもはすぐに言葉を覚えるから大丈夫」という意見をよく見聞きしますが、移住後の実感としては、それは半分正解で半分間違い。たしかに子どもの物覚えは大人よりも早く、新しい言葉をどんどん吸収していき、その成長には驚かされるばかりです。しかし一方で、放っておけばいいというものでもありません。やはり、親のサポートが不可欠だと感じているため、これからも夫婦で同じ方向を向きながら全力で息子を支えていければと思っています。

そして、日本にいれば子どもと一緒に勉強する時間はこれほどまでなかったようにも思います。将来振り返ったときに、この時間がかけがえのないものだったと思えるよう、楽しみながらポルトガル語の勉強を継続していきたいと思っています

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記事執筆

小林悠樹(こばやしゆうき)| フリーランスライター・編集者 
神奈川県藤沢市生まれ。2016年に家族3人で宮古島へ移住し、2022年4月にポルトガルへ渡航。著書に『移住にまつわる30の質問「地方、田舎に住みたい」そんなあなたの疑問解消します。(Kindle版) 」がある。http://yuki-kobayashi.com/profile/

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