「なめろうって、料理上手の人が作る凝った料理なのでは?」と思われますか? いえいえ、そんなことはありません。形がなくなるまでたたくので、むしろ魚料理の中でも簡単なほうかもしれません。ルーツや材料などについて、詳しく見ていきます。
「なめろう」とは
漁師が船の上で作った料理が発祥の「なめろう」。今では、広い地域で食べられる魚料理になりました。
房総半島発祥の郷土料理
なめろうは、千葉県房総半島沿岸が発祥の郷土料理です。魚類と味噌、薬味などを細かく切り刻んだもので、中でも粘り気が出るまでよくたたいたものを「なめろう」と呼びます。
通常は切り身を用いますが、小魚の場合は骨ごとたたく場合もあります。まな板の上でペースト状になるまで包丁でたたくことから「たたき」とも呼ばれます。
薬味はネギ、しょうが、大葉、ニンニクなどで、しょうゆまたは、酢の物にする場合も。
別名は沖膾
沖の漁船で作られていたことから、別名「沖膾(おきなます)」とも呼ばれる、なめろう。今日では「なます」といえば、大根の酢の物が真っ先に思い浮かびますが、もともとは生肉を細かく刻んだものを指しました。
同じ漁師料理で「水膾(みずなます)」があり、これは細かくたたいた小魚を、味噌と混ぜて氷水にとったものです。
なめろうが余った場合は、小判型に丸めてフライパンで焼く「さんが焼き」にする楽しみもありますよ。
魚の種類は
なめろうに使われる魚の種類をみていきます。
アジのなめろう
もっともスタンダードなのは、アジを使ったなめろうです。アジはフライや、南蛮漬けなど、魅力的なメニューが多いですが、なめろうも秀逸。
・まぐろ処一条 アジのなめろう 400g (200g×2パック) 国産 冷凍
味噌としょうがで味付けをして、冷凍されたアジのなめろう。解凍したら、すぐに食べられます。
マグロのたたき
マグロならスーパーでもたたきが手に入ります。これを使って作ると手間が省けて、クセも少ないのでおすすめです。
お子さんがご一緒なら、ごま油で味付けし、白ゴマや韓国のり、納豆などで和えると、食べやすいかもしれません。薬味のしょうがやネギは、大人用に添えるだけにすると、調節ができます。
・まぐろ処一条 天然マグロ粗ひき 100g×5パック
冷凍で届くネギトロです。手巻き寿司の具材としても人気の食材です。
魚ミックス
お魚が余った場合などは、種類を混ぜて作ることもあります。白身魚ばかりで混ぜるなど、共通点を探して合わせるのがポイント。
SNSでは魚に限らず、ナスや豆腐をたたいて味噌和えにしたり、ツナや牡蠣を使ったりと、自由な発想で楽しむレシピが豊富です。「細かく刻んで混ぜるだけ」のアイデアがあれば、ぜひ試してみてください。
なめろうの食べ方とレシピ
おかずにも、おつまみにもぴったりな、なめろう。たたくことで粘りが出て、味噌で味付けすることから、深みのあるおいしさが生まれます。また、刺身のように、繊細な切れ味や美しい仕上げも必要ありません。お魚の扱いに慣れない方でも、作りやすい料理として参考になります。
きゅうり味噌のなめろう
お子さんに食べやすいよう、辛みのある薬味を除き、きゅうりと大葉で仕上げます。
・材料
アジの刺身 100g
きゅうり 1/3本
大葉 3~5枚
味噌 15g
ポン酢 小さじ2
すりごま 小さじ1
柚子胡椒、しょうが、みょうがなど 大人用にお好みの量
・作り方
【1】きゅうりを縦半分にカットして、中のワタを抜き、薄切りにして塩でもみます。包丁でたたいてみじん切りにします。
【2】味噌にポン酢を加え、【1】のきゅうり、刻んだ大葉を加えてよく混ぜます。
【3】アジの刺身を細切りにして、包丁でペースト状になるまでたたきます。
【4】【2】の味噌を加えてよく混ぜ合わせます。
【5】器に盛り付け、すりごまをふりかけます。大人用に、柚子胡椒、しょうが、みょうがなど、お好きな薬味を添えてください。
海苔巻き
焼き海苔、味付け海苔、韓国海苔など、お好みの海苔で巻くと、相性抜群。ちぎって混ぜてしまうのもOKです。ご飯と一緒に巻いても、おいしいですよ。
なめろう丼・お茶漬け
器にご飯を盛り付け、上にのせると、なめろう丼として楽しめます。お茶漬けもおいしいです。
なめろう味噌
一般的になめろうは、味噌をそのまま使って薬味を混ぜるだけです。ここではひと手間かけて、味わい深いなめろう用の味噌を作ってみます。
なめろう味噌の作り方
しょうがやねぎなど、辛みが強い薬味が火を加えることで弱まります。きゅうりや豆腐にも、幅広く使ってください。
・材料
(魚400gに対しての量)
味噌 50g
酒 小さじ1
みりん 小さじ1
砂糖 小さじ1
ごま油 小さじ2
【A】
しょうが 10g
みょうが 1本
ネギ 10g
大葉 3~5枚
・作り方
【1】ボウルに味噌、酒、みりん、砂糖を入れてよく混ぜ合わせます。
【2】鍋にごま油(半量分の小さじ1)を入れて温め、一旦火を止めます。【1】の味噌を加えてよく練ります。
再度火をつけてよく練ってください。お味噌がふつふつしてきたら火を止め、ボウルに入れて冷まします。
【3】洗った鍋にもう一度ごま油(小さじ1)を入れて、刻んだしょうがとみょうが、みじんぎりのネギを入れて炒めます。
最後に刻んだ大葉を入れ、さっと火を通します。
【4】【2】の合わせ味噌と、【3】の薬味を合わせれば完成です。
魚料理のレパートリーに
千葉県房総半島発祥のなめろうについて詳しくみてきました。揺れる漁船の上で作った料理が発祥なので、込み入った調理はありません。新鮮な素材をシンプルに和えるだけで、おいしい料理です。
お子さんが食べやすいよう、刺身やきゅうり、ポン酢で作るレシピをご紹介しました。ご飯との相性もぴったりなので、魚のおかずとして、レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)