釣りの対象としても人気が高いイサキは、釣果がいいと料理しきれないほど、たくさん手に入ることも。新鮮なお刺身の他、なめろうやみそ焼きなどに調理して、さまざまな味を楽しみましょう。お魚屋さんで下処理をお願いすれば、楽ですよ。魚の扱いになじみのない方も、ぜひ参考になさってください。
イサキってどんな魚?
白身魚に分類されるイサキ。どんな食材なのでしょうか? 詳しくみていきます。
旬は初夏から夏の始め
5月頃から7月頃までの梅雨時期が旬です。この時期を旬とする魚はサッパリしたものが多い中、比較的脂肪が多め。きれいな薄ピンク色の身はクセがなく、高級魚に匹敵するおいしさともいわれるのがイサキです。
成魚は全長約40cmですが、小さめのほうがおいしいとされています。また、鮮度が良くても目が濁って見えることから、「イサキの生き腐れ」なんて呼び方があります。
産地
外洋に面した磯や、沿岸近くの海藻が多い岩礁に多くいるため、釣りでも楽しめる魚です。新潟県以南から屋久島辺りまでの、幅広い海域に生息し、長崎県、福岡県、山口県などが産地です。
ヒレと血合い骨に注意
イサキをさばくときの注意点として、ヒレの鋭さが挙げられます。イサキのヒレは「鍛冶屋ゴロシ」との呼び名もあるほどですから、ケガをしないように気をつけてください。
また、3枚におろした後の身に、指の腹を当ててみるとわかりますが、血合い骨が隠れています。通常は毛抜きなどを使って丁寧に取り除くものですが、お子さんが食べる場合なら血合いごと切り取ってしまうのも、ひとつの手です。これなら取り残しの心配がないので参考にしてください。
名前は変わるけど、出世魚ではないイサキ
幼魚のうちは、体の上半分に3本のしま模様があります。このことから「うりぼう」の名前で呼ばれますが、名前を変えるのは1回きりなので、出世魚とは呼ばれません。
地域によってさまざまな呼び名があり、東北ではオクセイゴ、北陸山陰地方ではエサキ、近畿地方ではウズムシ。まったく異なる呼び名ですね。
イサキのお刺身、食べ方3種
イサキは皮がおいしい魚ですから、皮付きで食べる方法も確認しましょう。さばく際のポイントは、数分だけでも冷蔵庫で「寝かせる」ことです。
購入方法
イサキのお刺身では、一般的なそぎ切りの他に「皮霜造り」もおすすめです。店頭で下処理をお願いする際は、3枚におろしてもらい、皮なしと、皮付きの両方を購入すると、お家で楽しめます。
お刺身
そぎ切りにしてお皿に盛りつければ、一般的なお刺身としていただけます。
皮霜造り
皮付きのお刺身で食べる方法を確認します。
【1】身を3枚におろし、皮は残したまま、表面に切れ目を入れてください。血合い骨はきれいに取り除きます。
【2】あらかじめ、ボウルに氷水を用意しておきます。
【3】まな板に身を置いて、ペーパータオルをかぶせた上から熱湯を注ぎます。皮目が反り返る程度が目安です。
【4】手早く氷水に身を浸し、冷まします。
【5】しっかりと水気を拭き取り、ペーパータオルに包んでから5分ほど冷蔵庫で寝かせます。この一手間で身が崩れにくくなりますよ。
【6】平造りの切り方でカットします。身幅は1〜1.5cmくらいを目安に。
炙り
お家にバーナーがある方は「焼き霜造り」も、できますよ。
【1】3枚におろし、皮目に切れ目を入れた身をバーナーで炙ります。皮目に薄い焼き色がつくまでが目安です。周囲に燃えるものがないか、気をつけながら調理を。
【2】手早く氷水に浸して冷やします。
【3】「皮霜造り」と同様に、冷蔵庫で寝かせた後、平造りで切り分けます。
「なめろう」から「さんが焼き」まで
イサキのたたきを、みそで和える「なめろう」も、おいしい食べ方です。次の日にこれを焼いて「さんが焼き」にすると、楽しみが続きます。お刺身が残った時などにも、覚えておくと役に立つ方法ですよ。
なめろう
一般的な、なめろうはアジで作りますが、イサキもまた上品な味に仕上がります。
・材料
(2人分)
お刺身用イサキ 2尾分
青ネギ 1/2本分
しょうが 20g
みそ 大さじ1〜2
しょうゆ 少々
・作り方
【1】イサキをぶつ切りにして、青ネギとしょうがを混ぜ、包丁でたたきます。
【2】みそとしょうゆを混ぜ、さらにたたいてください。
さんが焼き
さんが焼きも、材料はなめろうと同じです。身の食感が残るように、たたきすぎないのがポイント。
・作り方
【1】イサキの身をぶつ切りにして、刻んだ青ねぎ、しょうが、みそ、しょうゆと共に細かくたたきます。
【2】円型に成形して、適量のごま油をひいたフライパンで焼いてください。みそが焦げやすいので、注意。
イサキのムニエル
皮付きで3枚におろしたイサキは、火を通して食べるならムニエルもおすすめ。皮がパリパリになります。
材料
(2人分)
3枚におろした皮付きのイサキ 2尾分
塩 少々
こしょう 少々
小麦粉 適量
オリーブオイル 大さじ2
白ワイン 大さじ1
作り方
【1】血合い骨がないか指の腹で触って確認し、あれば毛抜きで抜き取ります。塩とこしょうを振りかけた後、薄く小麦粉をまぶしてください。
【2】フライパンにオリーブオイルをひいて温めます。
【3】イサキを皮目から焼いてください。裏返した後、白ワインを加え、フタをして蒸し焼きにします。
イサキの塩焼き
最後に、シンプルな塩焼きにする方法をみておきます。
下処理
店頭なら、塩焼き用にウロコとお腹をとってもらうよう、お願いしてください。キッチンでの調理が圧倒的に楽チンです。
【1】ウロコをきれいにします。しっかりしたウロコなので、専用の道具などが必要です。
【2】エラと内臓を取り除き、水洗いしてください。
焼き方
【1】皮に切れ目を入れます。全体に塩を振り、冷蔵庫で30分ほど休ませます。
【2】もう一度、全体に塩を振ります。
【3】熱したフライパンにアルミホイルをひいて、身側を下にして焼いていきます。
【4】中火でフタをし、焼色がつくのを目安に10分程度加熱します。
【5】裏返して、さらに5〜6分ほど焼いてください。
お刺身は3種盛り合わせもできるイサキ
初夏から夏に旬をむかえるイサキは、お刺身にするとおいしい魚です。皮もおいしいので、皮あり・皮なし・炙りと3種の盛り合わせにしてみると豪華ですね。
その他、なめろう、さんが焼き、ムニエル、塩焼きのレシピをご紹介しました。比較的どんな調理にも使いやすい魚です。血合い骨は、しっかりはずして、安心して口にしてくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)