目次
ロビン・フッドのゆかいな冒険とは?
まずは『ロビン・フッドのゆかいな冒険』の作品情報や、作者について知りましょう。
アメリカの作家、ハワード・パイルの作品
『ロビン・フットのゆかいな冒険』は、アメリカの作家、ハワード・パイルが1883年に発表した作品です。
もともとは、14世紀後半ごろにイギリスで物語詩「バラッド」として歌い継がれてきたロビン・フッドという義賊(悪をこらしめ、善を救うことをたてまえとする盗人のこと)の物語でした。それを、パイルがイラストとともに児童向けの作品として書きあげたものです。
なお、ロビン・フッドは実在の人物だったのではないかと考えられていますが、明確には特定されていません。一人の人物ではなく、複数の人物をまとめたという説もあるそうです。
原題:The Merry Adventures of Robin Hood
作者:ハワード・パイル
国: アメリカ
発表年:1883年
おすすめの年齢:小学校高学年以上
ハワード・パイルってどんな人?
ハワード・パイル(1853-1911)は、アメリカのイラストレーターで、作家です。イラストレーターとしての才能は早くから評価されていて、多くの若いイラストレーターも育てました。作家としては、『ロビン・フッドのゆかいな冒険』のほかに、『こしょうと塩』『不思議な時計』など、多くの児童書を発表しています。
いつの時代の話?
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』の冒頭には、「ヘンリー二世が陽気なイングランドを治めていたころ」とあることから、物語の舞台は中世のイングランドということがわかります。
このころのイングランドでは、狩猟と樹木の伐採を禁じた「御猟林法」という法律がありました。樹木は建築用材として使われ、鹿などの動物は食肉として活用されていたことから、この法律が人々を苦しめていたのだそうです。ロビン・フッドも、弓矢で鹿を狩ったことからおたずね者となってしまいます。
物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介
『ロビン・フットのゆかいな冒険』には、8つのエピソードがありますが、そのなかのひとつのエピソードのあらすじを、「詳しく」&お子さんへの説明に便利な「簡単に」の2種類ご紹介します。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
ヘンリー2世がイングランドを納めていたころ。ノッティンガムの町にほど近いシャーウッドの森に、ロビン・フッドは暮らしていた。彼は弓の名人で、弓の腕前を見せようと重罪とされている鹿を打ちぬいたり、森を管理する森林官とトラブルを起こしたことで、おたずね者となっていた。
彼のもとには、棒術の達人でロビンの右腕となるリトル・ジョン、ずるがしこいウィル・スタトレイ、怪力の持ち主のウィル・スカーレット、陽気で酒好きな修道僧のタック修道僧、吟遊詩人のアラン・ア・デールなどの強者が集まり、楽しい冒険の生活を送っていた。彼らは、金持ちから平和的に奪った金品を困った人たちに分け与えていたりしたことから、貧しい人たちからにはしたわれていた。
ノッティンガムの長官は、おたずね者のロビンを捕らえようとしていた。しかし、弓試合で変装したロビンに気づかず賞金をわたしてしまったり、ロビンの仲間であるリトル・ジョンに好き放題されたり、強欲な聖職者・ヒヤフォードの大僧正のいとこの結婚式を台無しにしたりと、くやしい思いをしいられる。
ヘンリー2世の妻・エレノア王妃は、ロビンたちの評判を聞いてロンドンの宮廷に呼び寄せる。そこでは弓試合が行わることになっており、王妃のはからいでロビンたちも参加することに。試合前にヘンリー2世は、兵士たちよりもすぐれた腕前を見せたら、40日間はロビンたちを追わないと約束する。弓試合はロビンの勝利。ヘンリー2世はこれに激怒し、試合前の約束をやぶってロビンたちに追っ手を向かわせる。しかし、ロビンたちを捕まえることはできなかった。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
ヘンリー2世がイングランドを納めていたころ。ノッティンガムの町にほど近いシャーウッドの森に、おたずね者のロビン・フッドは、彼のもとに集まった強者と楽しい冒険の生活を送っていた。彼らは、金持ちから平和的に奪った金品を困った人たちに分け与えていたりしたことから、貧しい人たちからにはしたわれていた。
ノッティンガムの長官は、おたずね者のロビンを捕らえようとしていたが、ことごとくくやしい思いをしいられる。
ヘンリー2世の妻・エレノア王妃は、ロビンたちをロンドンの宮廷に呼び寄せ、弓試合に参加させる。試合前にヘンリー2世は、兵士たちよりもすぐれた腕前を見せたら、40日間はロビンたちを追わないと約束するが…。
ロビン・フッドのゆかいな冒険の主な登場人物
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』に登場するおもな人物を紹介します。
ロビン・フッド
シャーウッドの森で暮らす強者たちのリーダー。弓の達人。密猟の罪でおたずね者となり、200ポンドの賞金がかけられた。
リトル・ジョン
ロビン・フッドの右腕敵存在。怪力の大男で、棒術の達人。
タック修道士
フォウンテンの谷の修道士。陽気で酒好き。怪力の持ち主。
アラン・ア・デール
若い吟遊詩人。美しい顔と声をもっている。
ノッティンガムの長官
シャーウッドの森があるノッティンガムシアの町の長官。ロビンを捕まえようと執念を燃やす。
ロビン・フッドのゆかいな冒険が読み継がれている理由
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』が現在まで読みつがれている理由を解説していきましょう。
愉快・痛快・爽快!昔も今も民衆に愛さる物語
前述したとおり、「ロビン・フッドの物語」は、14世紀後半ごろにイギリスで物語詩「バラッド」として歌い継がれてきたものです。当時の人々は、悪者をこらしめ、民衆の味方をするロビン・フッドの物語を聞き、日々の労働の疲れをいやしたり、高い税や不正な税を取り立てる地主や、圧政を敷く領主や貴族への鬱憤を晴らしていたのだと考えられています。
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』も、当時の人と同じように読後は愉快・痛快・爽快な気分になれます。これが、現在までに読み継がれている理由のひとつなのかもしれません。
構成力がすごい!
ロビン・フッドの物語は、膨大な数があります。そのなかから、パイルが面白い話を選び出し、ときには違うエピソード同士をくっつけたり、バラバラだった時代を並べ直してひとづづきの長い物語に仕上げているのが特徴です。読めば、パイルの構成力のすごさがわかります。
映画・ドラマ・アニメなどの題材に
現在でも多くの人に親しまれている作品で、映画やドラマ、アニメ、舞台の題材になっています。1938年に公開されたアメリカの映画『ロビンフッドの冒険』(原題: The Adventures of Robin Hood)は、高い評価と興行収入を受け、1995年に「文化的、歴史的、芸術的に重要な映画」としてアメリカ国立フィルムに登録されるほどの名作として知られています。
名作「ロビン・フッドのゆかいな冒険」を読むなら
ここからは、「ロビン・フッドのゆかいな冒険」のおすすめの本をお伝えします。本作に興味を持ったらぜひ手に取っていただきたい3冊です。
ロビン・フッドの愉快な冒険
子どもにも読みやすい翻訳と、ハワード・パイル自身による挿絵が全点収録されているのが特徴です。
ロビン=フッドの冒険 (21世紀版・少年少女世界文学館 第2巻)
楽しく読みながら世界各国の歴史や文化も学べる「世界文学全集」の決定版。この「ロビン=フッドの冒険」は、イギリス各地にちらばっていた民謡や短編作品を集め、それをもとにハワード・パイルが書いた再話を翻訳したものです。
小学館世界J文学館
この1冊で125冊の電子書籍を読める新時代の児童文学全集です。『ロビン・フッドのゆかいな冒険』はもちろん、世界名作、現代児童文学、日本やアジアの古典、SF、詩までを網羅。ほとんどを新訳で収載し、日本ではじめて読める作品も収められています。
ロビン・フッドと冒険の旅に出よう!
『ロビン・フッドのゆかいな冒険』は、わくわく、はらはら、どきどきの冒険ストーリーです。読めば、ロビンと冒険している気分になれるかもしれません。冒険ものが好きな人は、ぜひ読んでみてくださいね。
こちらの作品もチェック!
文・構成/HugKum編集部