寒天の中に封じ込められた食材は、多岐にわたります。中には「こんなものまで⁉」と、思わず驚いてしまうものもあるんです。作り方はごく簡単。ぜひ、楽しみながら作って、味わってみませんか?
寒天で固めたポテトサラダ
なんでも寒天で固めてしまう、「寒天文化」について、まとめてみました。
秋田のサラダ寒天
秋田県のご家庭で一般的に作られる寒天料理とは、牛乳寒天や、フルーツ寒天のように、デザートとして作られるだけではありません。しょうゆ味もあるし、うどんやそうめんが封じ込められる場合もあります。普通は固めないものも固めているところが、ユニークな点です。
そのバリエーションは数限りなくあり、ほんのごく一部を挙げます。
・砂糖で味付けした卵汁を寒天で固めた、卵寒天
・崩したゆで卵を固めた、ゆで卵寒天
・うどんや、そうめんを麺つゆ味の寒天で固めたもの
・スパイスの効いたカレー寒天
・野菜や果物を固めたサラダ寒天
などなど…
お惣菜系の味から、デザートまで幅広い味があります。
透明な寒天に入れるときれいに見えることから、お祝い事に用いられた説や、保存食として利用された説などが、広まった理由に挙げられます。
また、この地域では、伝統食材であるジュンサイの栽培が盛んで、国内の生産量がトップです。プルプルのゼリーに包まれた若芽を食べる習慣が、寒天文化にも影響しているのかもしれませんね。
人気NO.1はポテサラ寒天
そんな秋田の寒天文化の中でも、圧倒的な人気を集めているのが、ポテトサラダを固めた「ポテサラ寒天」です。
ごく一般的なポテトサラダを甘い寒天液に溶き混ぜて固めますが、各家庭のお好みによって千差万別の味があるそうです。砂糖を加えたり、コンソメを加えたり、味付け次第でおやつにも、おかずにもなります。
サラダ寒天を作ってみた
サラダ寒天とはどんな味なのか、気になるところです。作り方はごくシンプルなので、一度作ってみてはいかがでしょうか? パーティー料理としても見映えしますし、ジュレがけのサラダにも似ています。お皿への取り分けがしやすく、持ち運ぶ際に水が出る心配もありません。また、寒天はカロリー0の食品です。
サラダ寒天
ごくシンプルなサラダ寒天を作ってみましょう。寒天液には砂糖とマヨネーズを加え、現地で一般的に作られる味を再現しています。甘みのあるマヨネーズ味は、どこかおばあちゃんの味を思わせます。
材料
寒天 5g
水 500㏄
砂糖 50g
たまねぎ 小1/2
きゅうり 1本
にんじん 30g
カニカマ 5本
ゆで卵 2個
マヨネーズ 1カップ
レモン汁 適量
容量1,000Lの器
作り方
【1】最初に寒天をふやかします。水洗いした寒天を水(分量外)に浸け、30分程水でもどします。
【2】たまねぎ、きゅうりを薄切りに、にんじんは皮をむいて千切りにカットします。混ぜ合わせ、塩で軽く揉んでください。水が出たらサッと洗って水気を切ります。
ゆで卵の殻をむいてから半分にカットします。カニカマは手でほぐしてください。
【3】鍋に分量の水を入れます。もどした寒天の水を絞り、ちぎって鍋に入れます。これを火にかけて、ふきこぼれないように気をつけながら完全に煮溶かしてください。沸騰後2~3分加熱を続けると、溶けやすくなります。
最後に砂糖を加え、粗熱がとれるまで冷まします。
【4】ボウルにマヨネーズを入れ、【3】の寒天液をかき混ぜながら少量ずつ加えてください。レモン汁も加えて、混ぜます。
【5】型にゆで卵、カニカマ、野菜を入れ、上から寒天液を流し入れます。冷蔵庫で冷やし固めれば完成です。
寒天についてのあれこれ
サラダ寒天を作る際に重要な寒天について、詳しく確認しましょう。
寒天とは
そもそも、寒天とはどんな食材でしょうか。
テングサなどの紅藻類を煮溶かして固めた「ところてん」を、いったん凍結したのち、乾燥させたものが寒天です。
脱水されているため保存性が高く、棒状、フレーク状、パウダー状など、さまざまな形で販売されます。和菓子に使われる他、低エネルギー食品として、ダイエットに用いられることもある食材です。
寒天が固まらないとき
寒天は溶け残りがあると固まりにくいので、しっかりと加熱しながら溶かすことが大切です。
また、強い酸味のある具材を入れると、寒天が固まる要因である食物繊維を短くしてしまうことから、固まりにくくなります。酸っぱい食材は、寒天液が冷えてから最後に加えてください。
もしも固まらなかった場合でも、再度加熱すると固まることもあるので試してみてください。
寒天とゼラチンの違い
洋菓子に使われるゼラチンと寒天はよく似ていますが、別物です。ゼラチンとは、動物性コラーゲンが原材料で、食感はプルプル。プリンやムースの感触を思い浮かべてください。
一方の寒天は海藻が原料です。食感にはシャクシャクとしたキレがあり、代表的な利用は水ようかんです。
寒天は90℃以上でないと溶けないため、お湯で煮立てて溶かす必要がありますが、固める時は常温でよく、一度固まれば溶けにくい性質を持っています。
一方のゼラチンは、冷やすことで固まり、温度が上がると再び柔らかくなります。
かんてんぱぱ 伊那食品 徳用かんてんクック
粉末の寒天は、ふやかす必要がなく、食品のとろみ付けやご飯に入れる場合にも手間がいりません。
伊豆河童 糸寒天 100g
国産のテングサを使用した、糸寒天で、昔ながらの製法で国内生産されています。適度な大きさにカットされているので、使いやすい寒天です。透明感があって繊細な口当たりが感じられます。
なんでも固めて、いろいろトライ!
なんでも寒天で固めてしまう文化とは、おいしさの面からも、実用性の面からも、納得できる理由がありました。見た目も華やかなので、覚えておくとみんながハッと驚くような使い方ができるかもしれませんね。中身の具材も工夫ができるので、ぜひ作ってみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)