「ブルータス、お前もか」って誰の言葉? どんなシチュエーションで使うの? 意味や背景、逸話をチェック

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『ブルータス、お前もか』という名言を耳にしたことがある方はきっと多いはず。けれども、いったい誰がどんなときに言った言葉なのか、正確にご存じですか? 今回は、『ブルータス、お前もか』の意味や、この言葉にまつわる逸話、関連語等をご紹介していきます。

「ブルータス、お前もか」のブルータスは、古代ローマの権力者・カエサルの部下

まずは、『ブルータス、お前もか』の意味や、この名言にまつわる逸話をチェックしておきましょう。

「ブルータス、お前もか」の意味

『ブルータス、お前もか』とは、信頼していた相手から裏切られるという、想像もしなかった状況に驚いたときの心情を表したセリフです。

古代ローマの権力者ユリウス・カエサルが、暗殺者の中に、心から信頼をよせていたブルータスを見つけた際に、放った言葉として知られています。

カエサルが部下ブルータスに言ったこの名言。生まれた逸話は?

紀元前44年3月15日、当時、ローマ帝国の一番の権力者であったユリウス・カエサルは、元老院会議に参加するためにポンペイウス劇場に向かったところ、60名もの暗殺者に取り囲まれてしまいました。

その暗殺者の中にカエサルが見つけたのは、心から信頼していた部下のブルータスでした。暗殺者たちによって全身を刃物で刺されたカエサルは、死の間際、『ブルータス、お前もか』と嘆きの言葉を放ちながら、この世を去ったとされています。

「シェイクスピアの創作」との説も。戯曲『ジュリアス・シーザー』の題材としても有名

ジュリアス・シーザー (新潮文庫)

この逸話は、シェイクスピアによって書かれた政治劇・悲劇として知られる『ジュリアス・シーザー』の題材としても有名です。

『ジュリアス・シーザー』では、ユリウス・カエサルに対する陰謀や暗殺、その後の余波が描かれています。ただし、本作の主人公はカエサルではなく、暗殺者であったブルータス。ブルータスの友情や愛国心、葛藤に焦点があてられた戯曲です。

「ブルータス、お前もか」はシェイクスピアの創作?

本作には『ブルータス、お前もか』というセリフも登場します。このセリフは、実際に誰かが聞いたという明確な証言がないため、シェイクスピアが本作のために発想した“創作”なのではないか、と考える声もあります。

「ブルータス、お前もか」は日常会話で使える? 例文をチェック

『ブルータス、お前もか』は、日常会話の中でよく使われるわけではありませんが、場合によっては、比喩的な表現として用いられることもあります。誰かが使っていた際に「ポカン…」としてしまわないよう、ぜひここで例文をチェックしておきましょう。

試合での失敗を、チームメンバーみんなから責められてしまった。もっとも信頼していた後輩まで周りに同調していたので、【ブルータス、お前もか】という気分だった。

周囲の人々を敵にまわしてしまった例文。信頼していた後輩までもが自分を味方してくれなかったときの「裏切られた」ような気分を、ブルータスに刃を向けられたカエサルの心情に重ねています。

家族全員から、冷蔵庫のプリンを食べた容疑をかけられている。あの日ずっと一緒にいたはずの弟までもが私を犯人に仕立て上げはじめたので、【ブルータス、お前もか】と言いたくなった。

こちらの例文のように、「まさか…!」と驚いてしまうような想定外の人物に裏切られた場合も、ブルータスに暗殺されたカエサルの状況にたとえて、『ブルータス、お前もか』を用いることができます。

「ブルータス、お前もか」の言い換え表現・類語

では、『ブルータス、お前もか』と言いたくなるような状況を、他の言葉で言い表したい場合、どのような表現が使えるのでしょうか。ここでは、同様の状況で使える言い換え表現や類語をお伝えします。

飼い犬に手を噛まれる

日ごろから可愛がっていた相手や部下に裏切られることを意味する『飼い犬に手を噛まれる』という「ことわざ」。信頼していた部下であるブルータスに裏切られたカエサルと、かなり似た状況ですね。『ブルータス、お前もか』というセリフが使いにくければ、このことわざを用いましょう。

恩をあだで返される

『恩をあだで返される』とは、世話をした相手から、恩を返されるどころかかえって危害を加えられることを意味することわざです。こちらもまた、厚遇していたブルータスから裏切られたカエサルに近い状況を言い表せる表現として、ぜひ、あわせて覚えておきましょう。

英語ではどう表現する?

もともとラテン語が由来の『ブルータス、お前もか』。ラテン語では“Et tu, Brute?”と表現し、英語ではこの原文を英訳した“And you, Brutus?”が使われます。簡単な英文なので、一度覚えたらもう忘れませんね。

ラテン語散文の名手・カエサルの他の言葉もチェック!

ユリウス・カエサルが言ったとされる有名な言葉は、『ブルータス、お前もか』の他にも存在します。ここでは、その一部をチェックしておきましょう。

賽は投げられた(さいはなげられた)

『賽は投げられた』とは、「後には引き返せない」状況を言い表したセリフです。「賽」とはサイコロのことで、一度投げてしまうと占いや賭け事の結果・勝敗が明らかになることから、もう元には戻せないといった意味合いを読み取ることができます。

このセリフは、領土を拡大していたカエサルが、反発する元老院派のポンペイウスに背き、法により禁じられていながらも、武装したままルビコン川を渡った際に、兵に対して言ったとされています。

来た、見た、勝った

『来た、見た、勝った』は、カエサルがポントス西部の都市ゼラでファルナケスに勝利した際に、ローマにいる自分の右腕への手紙に綴った言葉といわれています。

ラテン語では“Veni, vidi, vici”。同じ音・同じ韻を持つ3つの単語で成っていることがわかりますね。この語感の良さから、長く愛されるフレーズとなったと考えられています。カエサルは、ラテン語散文の才能に恵まれていたことでもよく知られているのです。

名言とあわせて、古代ローマ史も深掘りしてみよう!

今回は、カエサルが最後に遺した言葉『ブルータス、お前もか』の意味や逸話、例文等をご紹介してきました。カエサルにまつわる名言は、歴史的な背景を知るとより楽しむことができます。興味を持った方は、ぜひ古代ローマ史を深掘りしてみてくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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