鮎菓子とは
鮎菓子(あゆがし)とは、岐阜県岐阜市の地域で親しまれている銘菓です。名前に「鮎」がついているのは、鮎が岐阜県の県魚だから。岐阜県の中央部を流れる長良川には多くの鮎がいて、そんな鮎にちなんで作られました。
外側はカステラ生地で、中には求肥が入っていて、鮎の形に似せられています。「若鮎」とも呼ばれます。
場所・エリア
鮎菓子が食べられているのは、主に岐阜県岐阜市。市内には鮎菓子を販売しているお店が数多くあり、市民はもちろんのこと、市外や県外から訪れる方にも食べられています。
いつ、どんなときに食べる?
岐阜では毎年5月11日に鮎漁が解禁され、夏の訪れを感じさせる風物詩となっています。そこで鮎菓子もその時期にあわせて店頭に並べる和菓子屋も多くあります。
ただ和菓子の鮎菓子や若鮎は、年間を通して販売されていて、ふだんのお茶請けとして、また岐阜土産として食べられています。
歴史
鮎菓子がいつ誕生したかは確かではありませんが、1908年に初めて鮎菓子が作られたという説があります。鮎菓子のモチーフとなった、岐阜の伝統的な鵜飼いは1300年以上の歴史があるため、岐阜では鮎は古くから親しい存在であり、それにちなんだ鮎菓子も昔からあったのでしょう。
由来、言い伝え
鮎菓子の由来は、岐阜県に流れる長良川のシンボルともいうべき鮎です。鮎は澄んだ水の中で育つ魚で、長良川は日本有数の清流として知られています。
そして、その長良川で伝統的に行われているのが「鵜飼」。鵜を使って鮎などの川魚を捕まえる伝統漁法で、1300年以上も前から続いてきました。暗闇の中で篝火(かがりび)をたいて、船頭が船べりをどんどんと叩くなど、独特の鵜飼の方法は見るだけでも圧巻。地元では鵜飼で魚を捕まえる様子を観覧船から眺める観光ツアーもあるほどです。そんな鵜飼を楽しんで、岐阜土産として鮎菓子を買って帰るというのは王道の観光コースかもしれません。
鮎菓子の特徴
次に、鮎菓子にはどんな特徴があるか見てみましょう。
特徴1:カステラ生地+求肥
鮎菓子は、求肥をカステラ生地で包んでいます。求肥とは、粉状になった餅米に砂糖、水、水飴などを加えて練り上げたもので、大福などの和菓子にも使われるものです。
外側はふんわりとしたカステラ生地で、店によってカステラ生地が厚いものと薄いもの、求肥の量などにも違いがあります。
特徴2:鮎の形
鮎菓子は、名前の通り、鮎に似せた形になっています。さらに焼きゴテで顔とヒレがつけられていて、とっても可愛らしい和菓子。
鮎の大きさや形は店によってさまざまなので、いくつかの鮎菓子を集めて見比べてみても楽しいでしょう。
特徴3:「調布」がルーツ
鮎菓子のルーツは「調布」と呼ばれる和菓子と言われています。調布は求肥を焼皮で巻いたお菓子で、岡山県が発祥です。この調布からヒントを得て、今の鮎菓子が作られたと伝えられています。
特徴4:鮎菓子のゆるキャラ「ひあゆ丸」
鮎菓子は岐阜のゆるキャラにもなっています。名前は「ひあゆ丸」。顔の部分が鮎菓子になっているキャラクターです。岐阜では鮎菓子をもっと広く知ってもらおうと、岐阜県鮎菓子普及協会が生まれ、そこでひあゆ丸も誕生しました。全国にさまざまなご当地のゆるキャラがいますが、ひあゆ丸もそんな存在のひとつで、さまざまなイベントに登場して岐阜や鮎菓子をアピールしています。
おはもっち~♪
若宮町で鮎菓子タクシーのお披露目に来ているよ~(о´∀`о)#ぎふ信長まつり pic.twitter.com/uig8xURclE— ひあゆ丸 (@hiayumaru) October 7, 2018
特徴5:岐阜にある「鮎菓子タクシー」
鮎菓子は岐阜の人々にとって昔からある和菓子で、よく知っている存在です。しかし市外や県外では、まだ認知度がそこまで高くありません。そこで岐阜の鮎菓子をもっと多くの人に知ってもらおうと生まれたのが「鮎菓子タクシー」です。
車体に「鮎菓子タクシー」と描かれ、車内には鮎菓子そっくりの黄色いクッションがあります。そんな車には専属のドライバーがついて、鮎菓子について紹介しながら、市内の鮎菓子の店や観光名所などを案内してくれます。岐阜観光を楽しみたい方に喜ばれているそうです。
鮎菓子の種類と違い
鮎菓子といっても、実はよく見るとひとつひとつに違いがあります。
違い1:「若鮎」「稚鮎」などの呼び方も
鮎菓子は、違う名前もあり「若鮎」「稚鮎」「登り鮎」「かつら鮎」などと呼ばれることもあります。
特に「若鮎」とは、川を上ってくる元気のいい鮎のことを指していて、毎年5月11日に解禁となる鮎漁の時期にあわせて、地元の和菓子屋ではお菓子の「若鮎」も販売され、地域のひとつの風物詩となっています。
違い2:見た目にも違う
鮎菓子は求肥を包んだカステラ生地に、最後に焼きゴテで顔とヒレが描かれます。この鮎の顔が、店によって微妙に異なるのです。おちょぼ口に見える鮎、ちょっと笑っているように見える鮎、まじめそうに見える鮎など……。
鮎の表情の一つひとつに着目すると、可愛らしくて食べるのがもったいないと思うほど。そんな見た目もぜひチェックしてみてください。
鮎菓子の作り方
鮎菓子には、カステラ生地と求肥が必要です。具体的な材料と作り方を見てみましょう。
材料
<求肥>
- 白玉粉
- 砂糖
- 水
<生地>
- 卵
- 砂糖
- 水
- 薄力粉
- 重曹
作り方
- 白玉粉、砂糖、水をあわせて、加熱しながらよく練って求肥を作ります。
- 5~6㎝の棒状にしておきます。
- 生地の材料をよく混ぜます。
- 鉄板に生地を楕円形に流して焼きます。
- 裏面も焼き目をつけるように焼いたら取り出します。
- 熱いうちに二つ折にします。
- 求肥を間に挟んで、焼きゴテで顔をつけたら完成です。
鮎菓子のおすすめ
鮎菓子は岐阜に行かなくても、通販で購入できるものもあります。
玉井屋本舗の登り鮎
岐阜県の長良川のほとりにある和菓子店「玉井屋本舗」が手がける、鮎菓子の元祖と云われる「登り鮎」です。登り鮎は岐阜県でこのお店が発祥の店と言われているそうです。
鮎菓子の3種詰め合わせ
3種類の鮎菓子の詰め合わせセットです。プレーンの鮎菓子のほか、岐阜の苺を使用した苺鮎菓子、ココア生地でチョコ餅を包んだチョコ鮎菓子と、それぞれの味を楽しめます。
喜連川鮎
ほんのりミルクの香りがするどら焼き生地に、国産の餅粉と黒糖を1時間以上かけてじっくりと練り上げられた甘いお餅を挟んでいます。もちもちの食感を楽しめます。
関市虎屋 夏の詰め合わせセット
岐阜県の和菓子処「関市虎屋」の詰め合わせ。「小瀬の若鮎」は、ハチミツがたっぷり入ったふんわりソフトな生地で、甘さ控えめの求肥をくるんでいます。焼きたてにこだわっているため、溶けるようなおいしさが口いっぱいに広がります。
おかしの乃むら 鮎菓子
岐阜県美濃加茂市で和菓子を作りつづけている「おかしの乃むら」。できる限り地産地消を目指し地元産の食材を使い、添加物は使わず、手作りで丁寧に仕上げています。
子どもも喜ぶ鮎菓子
鮎菓子は見た目にも可愛いお菓子。ふわふわのカステラ生地が使われていて、とても食べやすく、年代を問わず誰にでも喜ばれそうなお菓子です。子どもの日の贈り物やちょっとした手土産などにしてもピッタリ。まだ食べたことのない方は、通販などを利用して一度取り寄せてみてはいかがですか?
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文・構成/HugKum編集部