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恐竜の折り紙を次々にインスタにアップするのは小学一年生の男の子
指先の器用さや、集中力、忍耐力などが身につくといわれる「折り紙」。
その折り紙の中でもかなり複雑な恐竜の折り紙を、折るだけでなくオリジナルの折り方も考えているという小学一年生のあおばくん。
あおばくんがどんな風に「折り紙」に夢中になったのか、その経緯をあおばくんとお母さんに聞いてみました。
折り紙のインスタは、あおばくん本人の希望で始めたもの
— インスタに折り紙作品をアップするようになったのはどうしてですか?
お母さん:あおばから「インスタというSNSがあって世界中の折り紙作品が見られる(載せられる)と聞いた。だから僕のも載せて」と頼まれたのです。他の方の作品も気になったようですね。あおばの作品は、夫がスマホで撮っていますが、載せる作品は本人が決めていて、撮っているときも一緒に様子を見ています。
折り紙のスタートは「紙飛行機」
――折り紙は何歳くらいから始めたんですか?
あおばくん:4歳くらいから始めました。きっかけは、パパと一緒に紙飛行機を折って一緒に遊んだことです。
――それはお父さんが折り方を教えてくれたんですか?
あおばくん:そうです。本に載っていたものもあるし、パパが考えたものも教えてくれました。家の中で飛ばしてみたら、結構飛んだんです。
お母さん:幼稚園ですごく折り紙が得意な先生がいらっしゃって、あおばと1対1で遊んでくださったんです。「今日はこんなの作りました」って教えてくれて。それが家でも発展していった感じです。でもその時は恐竜ではなく、猫とか可愛い動物なんかを折っていたんですね。そこから折り紙が好きになったんじゃないかと思います。
あおばくん:3〜4歳の頃から恐竜は好きだったけど、その頃はまだ昆虫や車の方がもっと好きだったんです。図鑑でよく見ていました。
――恐竜を折り始めたのはきっかけはなんですか?
お母さん:あおばがちょっと恐竜が好きになり始めた頃に、夫が折り紙で簡単な恐竜を折ってあげたんです。それを見てあおばが「わあっ!」て喜んだのがきっかけだと思います。
――お父さんは折り紙がもともと得意なんですか?
お母さん:いえ、そうでもないと思うんですけどね。
あおばくん:昔はパパに紙飛行機以外にも折り紙を教えてもらってたんです。でも今はそれが逆になって、僕がパパに教えてあげています。
――いつの間にか、あおばくんの方が全然上手になっちゃったんですね(笑) 本を見て恐竜を折り始めてから、すぐにオリジナルを作ろうと思ったんですか?
あおばくん:恐竜を折り始めた時は、まだオリジナルは全然頭になかったです。
――初めて考えたオリジナルの恐竜折り紙はなんだったか覚えてますか?
あおばくん:うーん、覚えてない!多すぎてわかりません!
お母さん:もう何百枚と折っていてダンボール何箱もあるので、最初がどれだったのかわからないんですよ(笑)
――ここまで恐竜の折り紙をたくさん作るようになったのは、いつくらいからですか?
お母さん:幼稚園の年少の終わりの方くらいからでしょうか。今ほど精巧じゃないんですけど、幼稚園で自由に使っていい折り紙があって、大量に使いすぎてご迷惑をおかけするような…みんな使ってしまうっていう事件があって(笑)
幼稚園に迎えにいくと、折り紙で作ったものがバッグから毎日何個も出てくるんです。
折っているうちに形が見えてくるという「オリジナル恐竜」
――1つだけ好きな恐竜を選ぶとしたらどれですか?
あおばくん:ティラノサウルスです!
――オリジナルを折る時は、最初に「ティラノサウルスを作ろう!」って考えて折り始めるんですか?
あおばくん:いえ、最初は本を見て折ったやり方を使って、他のものを考えました。
例えば、この『スピノサウルス』は、このティラノサウルスの折り方を途中から改良してこれにしたんです。もしかしたらそれがオリジナルの最初かもしれない。
本に書いてある折り方を途中まで折って、途中からは自分の好きなように折るっていうやり方です。
でもだんだんオリジナルの折り紙にも慣れてきて、4〜5歳くらいになってからは、自分で折り始めから考えてオリジナルを作るようになっていきました。
――でも1からオリジナルを考えるのは、かなり難しいですよね?
あおばくん:始めは自分の頭に何にもないから。みんなには、「あおばは適当に折ってると(いつの間にか)できる」って言われます。
お母さん:「何を折ってるの?」って聞くと、「まだわからない」っていう答えがいつも返ってきます。それがだんだん形になってきた時に、あーこれだったみたいな感じですね。
あおばくん:形ができてきたら、何の恐竜になりそうかなって考えて、恐竜の種類を何にするか決めたら、途中からはその恐竜の形にしていきます。
使用する折り紙へのこだわりは、リアルさの追求!
――折り紙はどんなものを使いますか?
あおばくん:折り紙のサイズはだいたい15センチ(一般的なサイズ)を使うことが多いですけど、小さい7.5センチも使うし、折り方が難しい時は大きい25センチのも使います。
お母さん:この前和紙を買って、大きな折り紙を作ったんだよね?
あおばくん:あー!そう。パキケファロサウルス。こっちが25センチで、こっちが30センチで折ったもの。大人と子どもみたいでしょ?
お母さん:30センチっていうのは市販ではなかなか見つからなくて。紙屋さんに買いに行って、家で正方形にカットして使ったんです。
――あおばくんは、一般的な折り紙以外の作品にもチャレンジしているんですね。
お母さん:恐竜の折り紙の本を見ていたら、市販の折り紙ではなく和紙を使って質感を出して折る作品があって、それを真似して作りたいって言ったんです。
でも市販の和紙の折り紙って、いわゆる千代紙みたいなかわいい柄のものが多くて、恐竜を作るようなイメージのものがなかったんですよね。それで、試しに何枚か買ってみたんです。色は希望に近いものがいろいろありましたが、厚みがあったこともあって少し折りづらかったようです。
あおばくん:普通の折り紙はサラサラでしょ?でもこの和紙の折り紙は触るとザラザラしてるでしょ?これが恐竜の肌にぴったりだなって思ったんです。
――なるほど、本物の恐竜の肌みたいな紙が良かったんですね!
お母さん:千代紙で折った作品はあまりにファンシーなできあがりで「これはママにあげる」て言われました(笑)
あおばくんの折り紙以外の興味は?どんなこと?
――普段は折り紙の他にどんなことしていますか?
あおばくん:習い事はピアノです。3歳くらいから始めました。コンクールにもチャレンジしています!
――折り紙といいピアノといい、やはり手先が器用なんですね。
お母さん:他にもフェルトを恐竜の形に切って、何となく周りを糸で縫って綿を入れてマスコットを作ったりとか。手芸が好きというよりは、恐竜の形を作りたいって感じだったみたいですね。絵も最初は下手でしたけど、だいぶうまくなりました。好きな恐竜を表現する、ということは一貫していて、立体にしたり、絵で描いたりと楽しんでいますね。
――テレビはどんなものを観るんですか?
お母さん:NHKの生き物の番組「ダーウィンが来た!」や、アニメ「ポケットモンスター」が好きですね。
ポケモンは進化したりするところが好きみたいです。ピカチュウを折ったりしている時期もありました。
折り紙に集中する子どもへのお母さんの向き合い方は?
お母さんは、折っているときに何か声がけはするんですか?
お母さん:小さい頃は折っている隣に座って「まっすぐ折ろうね」とか言っていました。端と端を押さえて折る作業などがまだうまくできなかったので一緒に押さえてあげて、折る手伝いもしていました。そのうちに、そんなことしなくても、自分で好きにやりたいっていう感じが強くなってきて…。今はほぼ1人で折っています。
集中しちゃうと、もう声かけないほうがいいかと思うので、時間だけ決めています。ご飯ができるまでね、とか。
――恐竜を折っていて、ここが難しいっていうのはどんなところですか?
あおばくん:例えば「フクイベナートル」の折り紙で難しいところは、最初に16等分に折るんです。16等分に折ると、恐竜が作りやすくなります。でも16等分に折っただけじゃ恐竜にならなくて、そのあと折りたたむのが難しいです。
原点はとにかく恐竜が好きということ
――新しい折り方を学ぶ方法は?
お母さん:新しい折り紙の本を買って、その本に載ってるのものをずーっと折り続けるんです。そこで新しい折り方の技術を、自分に取り入れると、またその折り方を使って発展させ、新しいオリジナルを考える、というサイクルでやっているようです。
恐竜が好きになって、図鑑を穴があくほど毎日眺めていた時期があったんです。それでそこから工作や折り紙に興味が移りました。リアルにこだわりたかったんじゃないかと思います。
――本当に恐竜が好きなんですね。
お母さん:福井県にある恐竜博物館に行きたいって言ってるので、興味があるうちに連れて行ってあげたいとは思ってるんです。
あおばくん:ドラえもんの「どこでもドア」があれば、すぐに行けるのになあ。
―― 色んなことに興味があると思うのですが、あおばくんは将来何になりたいですか?
「ピアニスト」と「恐竜の発掘」と、「恐竜の折り紙の先生」。3つともやりたいです!
折り紙で育まれる、お子さんに身につけてほしい力
話している間も折り紙を折り始めると集中してしまい、話しが中断することも多々あったあおばくんですが(笑) 、まだ小学一年生だということを忘れてしまうほど、しっかりした受け答えをしてくれました。
あおばくんの持つ、できあがるまでの集中力やどんな形にしていくかを想像する力、物事をやり遂げる力は、折り紙によって育まれています。また、子どもの世界は、好きなことから新しい世界が広がっていきます。お子さんの好き、をいろいろな形でサポートできるといいですね!
あおばくんのインスタもチェック>>
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取材・文/苗代みほ 撮影/五十嵐美弥