「笑止千万」とは?
まずは、『笑止千万』の読み方や意味を押さえておきましょう。
読み方と意味
この言葉は、『笑止千万』と書いて「しょうしせんばん」と読みます。「非常にばかばかしく、笑ってしまうようなこと」と、「とても気の毒なこと」のふたつの意味を持ちます。ただし、現代では、後者の意味で使われることはほぼありません。
由来・語源は? ふたつの言葉から成る四字熟語
『笑止千万』は、『笑止』と『千万』ふたつの言葉から成る四字熟語です。
『笑止』には、「ばかばかしい」「笑いが止まらない」、『千万』には「この上ない」「はなはだしい」という強調の意味があります。そのため、『千万』と組み合わせることで『笑止』が強調され、「この上なくおかしい」「まったくばかばかしい」という意味合いで使われるようになったと考えられています。
また、もともと『笑止』は「めったに見られないすばらしいこと」を指す『勝事(しょうし)』の当て字だったと言われています。そのため、この言葉は「めったに見られない非常にすばらしいこと」の意で使われはじめ、時代を経て、次第に現在の使われ方が浸透したという説も有力です。
使い方を例文でチェック!
では、『笑止千万』は実際にはどのように使うことができるのでしょうか。ここからは、『笑止千万』の使い方を具体的な例文とともにお伝えしていきます。
1:そんなことに労力を割いているなんて、【笑止千万】だ。
この例文のように、『笑止千万』は「非常にくだらない」「ばかばかしい」といったニュアンスで使うことができます。
2:もう何年も勤務しているのに、あんなことをしてしまうなんて、我ながら【笑止千万】だ。
こちらは、『笑止千万』を自嘲気味に用いた例文です。対象を嘲るようなニュアンスがあるので、他人に対して使う場合は注意が必要です。
3:【笑止千万】な行動に見えるかもしれないけれど、わたしはあくまでも真剣だ。
『笑止千万』は、このように形容詞的に用いることもできます。「ばかばかしい行動」のような意味合いを言い表すことが可能です。
類語や言い換え表現は?
『笑止千万』を言い換える際に使える言葉もチェックしておきましょう。近い意味を持つ類語と言い換え表現をご紹介します。
1:噴飯物(ふんぱんもの)
『噴飯物』とは、「食べているご飯を噴き出してしまうほどにおかしいできごと」の意味で、笑いものになるようなみっともない事柄に対して使われます。「非常にばかばかしく、笑ってしまうようなこと」を意味する『笑止千万』の類語と言えます。
2:片腹痛い(かたはらいたい)
『片腹痛い』とは、「こっけいで苦々しく感じている様子」を表す言葉です。『笑止千万』に似た言葉として覚えておきましょう。
3:へそで茶をわかす(へそでちゃをわかす)
『へそで茶をわかす』もまた、「ばかばかしくてしようがないこと」を意味する言葉です。嘲るニュアンスが強いので、使うシーンを選びましょう。
対義語は?
では、『笑止千万』とは反対の意味を言い表したい場合、どのような言葉を用いることができるのでしょうか。明確に対となる対義語は存在しないため、反対の意味にあたりそうな言葉を探してみました。
1:無味乾燥(むみかんそう)
『無味乾燥』とは、「なんの面白みも趣もないさま」を意味する言葉です。「非常にばかばかしく、笑ってしまうようなこと」を指す『笑止千万』とは反対の言葉と言えるのではないでしょうか。
2:白ける(しらける)
『白ける』とは、「盛り上がっている状態に水が差され、気まずい雰囲気になること」を指す言葉です。少々強引ではありますが、「ばかばかしくて面白がる」といった意味合いを持つ『笑止千万』の反対に近い言葉として押さえておきましょう。
英語表現は?
最後に、『笑止千万』を英語で言い表したい場合に使える英語表現も押さえておきましょう。
1:highly ridiculous
“highly ridiculous”の“highly”には「非常に」、“ridiculous”は「おかしい」「ばかばかしい」という意味があります。“It is a highly ridiculous thing”とすることで、「非常にばかばかしい」=『笑止千万』を言い表すことができます。
2:absurd
“absurd”は、「ばかげた」「こっけいな」「不条理な」という意味を持つ英語表現です。「不条理」とは「筋道が通らない」という意味で、「理不尽」によく似た言葉。
「非常にばかばかしく、笑ってしまうようなこと」と、あまり使われないものの「とても気の毒なこと」、どちらの意味も持つ『笑止千万』の英語表現として用いやすい言葉です。
嘲笑するようなニュアンスあり!他人への使用は慎重に
今回は、『笑止千万』の意味や使い方、語源、関連語をご紹介してきました。日常的には見かけずとも、マンガやアニメに登場したり、ビジネスシーンでのスピーチ等でも使われることがある言葉です。
また、嘲るようなニュアンスを持つことから、誰かに対して使う際には、慎重になる必要があります。意味や使い方を正しく理解して、シーンに合わせて用いましょう。
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文・構成/羽吹理美