数学オリンピックって何?
数学オリンピックとは、世界中の高校生以下の生徒たちが数学の才能を競う大会です。生徒の才能を伸ばし・励ますことを目的としています。
国際数学オリンピック(IMO)
国際数学オリンピック(IMO:International Mathematical Olympiad)は、1959年に7カ国・52人が参加して、ルーマニアで第1回大会が開催されました。以後、毎年7月に開催されており、開催地は各国の持ち回りとなっています。
現在では参加国は100カ国を超え、約600人もの生徒が参加する大会に成長しています。日本は1990年に中国・北京で開催された第31回大会に初参加し、以降毎年6人の選手を派遣してきました。
国際数学オリンピックでは、参加者の半数以下にメダルが授与され、他に優秀賞も授与されます。
日本数学オリンピック(JMO)
日本数学オリンピックは、国際数学オリンピックに派遣する生徒を選ぶ大会です。毎年1月に予選、2月に本選が行われ、上位約20名にメダルや優秀賞を授与します。
メダル・優秀賞受賞者に与えられる特権は、3月の代表選考合宿に参加できることです。合宿での成績をもとに、国際数学オリンピックに出場する生徒が決まります。
日本数学オリンピック本選の問題は、証明を要求する記述形式で制限時間は4時間です。問題の難易度は高く、数学的なセンスも要求されます。
中学生以下の大会や女子のみの大会も
日本ジュニア数学オリンピック(JJMO:Japan Junior Mathematical Olympiad)は、中学生以下を対象とした国内の大会です。
本選のメダル受賞者のうち、上位5名が3月の代表選考合宿に参加できます。合宿で上位の成績を収めれば、国際数学オリンピックへの出場も可能です。
女子のみの世界大会としては、ヨーロッパ女子数学オリンピック(EGMO:European Girls’ Mathematical Olympiad)があります。2012年にイギリス・ケンブリッジ大学で第1回大会が開催されました。
日本は2014年のトルコ大会から参加しています。日本数学オリンピックの女子応募者の中から、希望者に一次選抜試験を行い、翌年の日本数学オリンピック予選の成績を加味して、出場者を決定します。
参考:
日本ジュニア数学オリンピック 概要
ヨーロッパ女子数学オリンピック 概要
国際数学オリンピックの国別順位
国際数学オリンピックでは上位半数以内の生徒にメダルが授与され、その割合は金・銀・銅=1:2:3です。また、国別の順位は選手の総得点に基づいて付けられます。各国の順位や日本の活躍ぶりを見ていきましょう。
歴代最多1位は中国
国際数学オリンピックは、第1回大会が1959年に7カ国・52人で開催されました。以来、順調に参加数が伸び、2023年の第64回大会は100カ国を超え、参加者約620人という大規模な大会になっています。
日本が初参加した1990年以降の国別順位で1位をとった回数を比べてみると、中国23回・アメリカ4回・ロシア2回・韓国2回と、圧倒的に中国が優勢です。他にはルーマニア・イラン・ブルガリアが1位になったことがあります。
日本チームの活躍は?
日本チームはというと、初参加の1990年以降、毎回ほぼ全員がメダルを獲得する活躍を見せています。メダルは上位半数以内に入らないともらえないので、ほぼ全員が半数以内に入っているといえます。
特に2009年にドイツ・ブレーメンで行われた第50回大会では、国別2位にランクインし、金メダル5個・銅メダル1個という大健闘を見せました。
国際数学オリンピック日本大会(IMO2023)
2023年の国際数学オリンピックは、日本の千葉市で開催されました。2003年の東京大会以来、2度目の日本開催です。
千葉県千葉市で開催
第64回国際数学オリンピック大会は、千葉県千葉市で開催されました。7月7日の開会式に続き、7月8・9日の2日間にわたりコンテスト(試験)が行われたのです。
国別順位の第1位は中国で、5連覇を達成しました。2位はアメリカ、3位は韓国です。日本は6位で、出場選手6人全員がメダルを獲得しています。
期間中は試験以外にも、エクスカーションやスポーツ大会、文化交流が繰り広げられました。エクスカーションでは、選手たちは東京ディズニーランドで楽しんだり、企業訪問や東京散策をしたりして親睦を深めたようです。
数学オリンピックに参加するには
数学オリンピックに参加するには、1月に行われるJMO予選に申し込む必要があります。申し込み方法および、出題形式や過去問題集を紹介します。
JMO予選参加資格や出題分野をチェック
日本数学オリンピックの予選に参加するには、以下の点をチェックしてください。なお詳細は変更されることがあるため、必ず公式ページで確認しましょう。
●申し込み期間:前年9~10月頃を予定
●応募資格:試験開催年の1月時点で大学教育(またはそれに相当する教育)を受けていない20歳未満の者。ただしIMO出場資格は高校2年生以下から選抜
●予選の問題形式:12問の短答式(3時間)
●出題分野:整数・代数・幾何・組み合せ・離散数学
また、予選の問題は数学の基礎を徹底的に勉強し、過去に出題された問題を解いていけば、ある程度解けるようになります。受験の準備には、公益財団法人である数学オリンピック財団監修の過去問題集がおすすめです。
「数学オリンピック 2019~2023」日本評論社
数学オリンピックは各国の親睦の場でもある
国際数学オリンピックとは、その名前の通り各国の「数学の才能」を競う大会のことです。国別では中国が圧倒的な強さを見せていますが、日本も1990年の初参加以降、ほぼ全員がメダルを獲得するなど健闘をしてきました。
国際数学オリンピックは試験以外にも、開催地の文化に触れたり、生徒同士の親睦を深めたりする場になっています。昨年2023年の日本大会では、茶道・折り紙・風呂敷ワークショップなど、日本独特の文化を体験する機会が設けられました。
もし子どもが数学が得意だったり、数学オリンピックに興味を示していたりするのなら、まずは日本数学オリンピックの予選に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部