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『ドラドラ♪ シンフォニープロジェクト』って?
2023年12月1日(金)に“藤子・F・不二雄 生誕90周年”の節目を迎え、記念すべき43作目となる『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』が2024年3月1日(金)に公開されます。今回のテーマは「音楽」。ドラえもんたちが奏でる交響楽(シンフォニー)で地球を救う大冒険が始まります。
映画公開を記念して始動したのが『ドラドラ♪ シンフォニープロジェクト』。スペシャルサポーターである葉加瀬太郎さんが書き下ろした楽曲「キミのぽけっと」が配信され、全国から募った「ドラドラ♪シンフォニー楽団」の子どもたちが演奏の練習を開始しました。みんなの心がひとつになって奏でるメロディーはどんなシンフォニーを響かせるのでしょうか。
動画出典:https://www.youtube.com/@DoraemonTheMovie より【ドラドラ♪シンフォニープロジェクト】葉加瀬太郎さんの楽曲が完成&楽団メンバー決定!
特設サイトURL:https://doraeiga-symphony-pj.com
映画ではオリジナルキャラクター「ミーナ」の声を担当する芳根京子さんも、「ドラドラ♪シンフォニー楽団」の一員として楽器演奏を披露。楽団の子どもたちと一緒に練習をスタートさせました。
そんな芳根さんと、プロジェクトのスペシャルサポーター葉加瀬さんの対談が実現! その対談のもようをお伝えする前に、葉加瀬さん、芳根さんそれぞれに、プロジェクトに寄せる意気込みと「音楽」について語っていただきました。
【葉加瀬太郎さんインタビュー】音楽の世界には大人も子どもない
制作前のスタッフとのミーティングで、興味深いキーワードが2つありました。まずは「飛翔感」。ドラえもんですから「タケコプター」で空を飛んでいるようなイメージですね。
そして、藤子・F・不二雄先生のSFは「サイエンス・フィクション」ではなくて、「すこし・ふしぎ」だということ。開けると「タイムマシン」が入っているのび太の机の引き出しそのものですね。日常から夢の世界にすぐに飛んでいける。そんなイメージに導かれるように曲を作りました。
藤子先生の遊び心に音楽家として応えたつもり
タイトルの『キミのぽけっと』の「ぽけっと」をひらがなにしたのは、「ドラえもん」と同じカタカナとひらがなの組み合わせにしたかったからです。「もしかしたら自分のポケットも『四次元ポケット』になっているかも?」と感じられる夢のあるタイトルにしたいなと。
曲にも音楽家としての僕の遊び心がいっぱいふくまれています。たとえば調子。ヘ長調、つまりFメジャーで書きましたが、ヴァイオリンだとそれほど便利でないので、僕の曲にはほとんどありません。それでもFメジャーにしたのは、主音にファと「ドラえもん」のドとラが入っているからです。もちろん藤子・F・不二雄先生の「F」もあり、Fメジャーで書くことにこだわりました。
今回の「ドラドラ♪シンフォニー楽団」はオリジナリティのある編成になっています。映画にちなんで、みんなが吹けるリコーダーなどもあり、自由な音が出ると思います。
孤独な努力のあとにある演奏の喜び
音楽の要素は3つです。メロディーとハーモニーとリズム。これをみんなで分担して組み立てていくのですが、リズムといっても打楽器だけが担当するわけじゃない。ヴァイオリンだって、「ザッザッザカザッ」とリズムを担当できます。3人でそろえればハーモニーになる。そういう要素をスコアの中に散りばめました。
練習のアドバイスは、とにかくゆっくり演奏するということ。とても退屈なのですが、一つひとつ確実に認識できます。やはり楽器を習得するには忍耐が必要です。だけど、一人で練習している時はつらくても、みんなで演奏した時の喜びはとてつもなく大きいので、楽しみにがんばってほしいです。
これまでにも子どもにレッスンをしたことはありますが、先生と生徒であろうとも、先輩と後輩であろうとも、一緒のステージにあがれば何も関係ないのが音楽です。なので若者と対峙する時は子ども扱いせずに同じ目線でいることを心がけています。僕も大人になれていると思っていないので(笑)、自分の娘にも息子にも、そう接してきたはずです。
「芸術は長く、人生は短し」
藤子・F・不二雄先生のすごさは、ずっと夢を追いかけて長い間コンスタントに描き続けられたことだと思います。一度しかない人生で、強い意志と魂がないと作品なんて残せません。僕も30年以上、コンスタントに音楽活動を続けてきて、今55歳です。ヴェートーヴェンが亡くなったのは56歳。あと1年で彼がのこした仕事ができるかといわれたら、とうてい足元にも及びません。もっというとモーツァルトが亡くなったのは35歳です。それであれだけの曲を書いた。僕が大好きな坂本龍一さんが好んで使われていた「芸術は長く、人生は短し」という言葉。その通りだと思います。
藤子先生の作品もずっと残っているし、このようにどんどん新しいプロジェクトができています。今、携わっている我々を見たら、「それはちがう!」と思われるかもしれませんが(笑)、いろいろな人が残された作品で遊んで次の世代に伝えていく。それが芸術において何よりも大切なことなんです。
ドラえもんの映画は日本の全国民が楽しみにしているエンターテイメントのひとつじゃないでしょうか。毎作いろいろなテーマがある中で、今回「音楽」にスポットを当てていただけたことは、一人の音楽家としてとてもうれしいです。そのプロジェクトに携わらせていただけることは本当に名誉なことだと思います。映画を観た方に音楽の良さを再確認してもらえたら何よりです。
【芳根京子さんインタビュー】小4で始めたフルートで、子どもたちと頑張ります
幼いころ、大みそかに目をこすりながら『ドラえもん』のテレビスペシャルを観ていた記憶があります。どうしても観たいけどねむかったので、「寝ちゃったら起こして」と家族に頼むくらい必死に(笑)。
そんな身近な存在の『ドラえもん』の世界に参加できるなんて、とってもうれしいです♪ 私が演じたミーナは物語のかぎをにぎるゲストキャラクターなので、観てからのお楽しみの部分が多いですが、どこでのび太くんたちとリンクしてくるか楽しみにしていただけたらと思います。ゲストキャラクターといえば、ミッカちゃんが、もうかわいくて♪ ミーナがミッカちゃんとお話するシーンがあるので、注目してもらえたらと思います。
フルートに一目ぼれ。音楽のない世界は考えられない
今回の映画のテーマのひとつが「もし、地球から音楽がなくなったら?」ですが、私は3歳からピアノを習い、学生時代は青春のすべてを吹奏楽部のフルートにかけたので、本当に想像もできません。
フルートは小学四年生の時に見た目と音色に一目ぼれして始めました。部活の先生が厳しくて、朝練をしっかりやって、授業を受けてから練習して、週末には演奏会をすることも。ほかにピアノのレッスンもあったので、本当に音楽漬けの学生時代でした。その時は厳しさしか感じられませんでしたが、中学に入ってから即戦力として必要としてもらえたので、あの3年間を乗り越えられたおかげだと思いました。すごく強くなれました。
10年以上のブランクをものともせず練習に邁進!
そのフルートで、映画応援プロジェクトとして結成された「ドラドラ♪シンフォニー楽団」に参加させていただくことになりました。まさか他の楽器に囲まれてフルートを演奏する機会が、またあるなんて……。中学いっぱいで吹奏楽をやめて、「これで終わりなんだ」とさみしく思っていたので、子どもたちといっしょに演奏できることが本当にうれしくて、とってもわくわくしています。フルートの子があと二人いると聞いたので、しっかりコミュニケーションをとって、すてきなフルートパートにしたいですね。
目標に向かって本腰を入れて練習するのは、中学3年生以来なので10年以上ぶりです。ブランクはありますが、みんなで楽しい演奏ができるようにしっかり練習します!
【対談】葉加瀬さん「個々のズレが演奏の広がりに」芳根さん「一生の宝になるような演奏を」
―葉加瀬さん作曲の『キミのぽけっと』を聴いてみて、いかがでしたか?
芳根:リコーダーって、あんなにかわいかったんですね♪ 授業で習った時はリコーダーのほんの一部しか知らなかったんだと思うくらい音色がステキでした。大人になって気づくことってあるんですね。学校の授業で一番触れる楽器だと思うので、きっとみなさん親近感がわいて、すっと入ってくるんじゃないでしょうか。心に残るフレーズがたくさんあったので、演奏するのが本当に楽しみです。
葉加瀬:ありがとうございます。ぼくはリコーダーが好きでね、小学校の行き帰りはずっと吹きながら歩いていましたよ。シンプルだけど、いろいろなことができるんです。今回は映画にちなんで、キャラクターたちの楽器のリコーダー、ヴァイオリン、チューバ、ボンゴをキャスティングすることが決まっていたので、それを念頭において曲を作りました。
芳根:楽器もキャスティングというんですね。学生時代ずっと吹奏楽をやっていて、今はお芝居をさせていただいているのですが、このふたつには通ずるものがあると、いつも思っていたんです。合奏も映画やドラマもそれぞれのパートがあって、どこが欠けても成り立たちません。だから楽器もキャストだと聞いて、やっぱりそうなんだ!とうれしかったです(笑)
葉加瀬:音にはいろいろありますが、吹奏楽やオーケストラのように、みんなでいっしょになって演奏することでできる音があります。ぴったり全員の音程が合えばいいかというと、そうでもない。コンピューターでぴったり合わせることは可能ですが、なんにもおもしろくない音になっちゃうんですよね。合奏はみんなのすこしずつの「ズレ」がうねりになり、合わせようとするエネルギーが響きになって、喜びに変わっていくのではないでしょうか。それが音楽の重要な要素ですし、どんな芸術にも当てはまる気がします。
芳根:ナマモノってことですね! たしかにお芝居にも通じるものがありそうですね。
―葉加瀬さんがスペシャルサポーターを務める『ドラドラ♪シンフォニー楽団』に、芳根さんも参加されるということで、意気込みを教えてください。
芳根:こんなにぜいたくなことがあるんですね! 学生時代は吹奏楽の音楽にすべてを捧げて生きてきました。青春のすべてです。本当に大好きだったので、大人になった今、たくさんの楽器の音色とともに、フルートを奏でられることがすごくうれしいです。しかも、まさか葉加瀬さんとごいっしょさせていただけるなんて……。「タイムマシン」に乗って、中学時代の自分に言いにいきたいです。「10年後、すごいことが起きるから、ちゃんと練習しときな!」って(笑)
葉加瀬:(笑) 私からのアドバイスなんてなにもなく、ただ合奏の喜びを感じてもらえればと思います。ただ、その喜びのためには、孤独な準備が必要じゃないですか。映画も舞台もそうだと思いますが、それこそ「アンキパン」があればな〜(笑)
芳根:そうなんですよ〜♪ 本当にほしいです!(笑)
―お二人から参加する子どもたちへメッセージをお願いします。
芳根:この演奏会は一生心に残ると思いますので、一生の宝になるような時間をいっしょに楽しく過ごしたいと思います。
葉加瀬:やれることは精一杯やらせてもらおうと思っているので、みんなでかけがえのない時間にしたいなと思います。練習はがんばっておいてください!(笑)
芳根:私も練習がんばりますっ!!
葉加瀬太郎
1990年KRYZLER&KOMPANYのヴァイオリニストとしてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的存在となる。1996年にKRYZLER&KOMPANYを解散後、ソロ活動を開始。2002年、音楽レーベルHATSを設立。2007年からロンドンへ拠点を移し年間100本近い公演を開催、日本全国や世界に向け活動を続けている。2023 年9 月よりコンサートツアー2023 ~THE SHOW TIME~ で全国42 公演開催。
芳根京子
1997年2月28日生まれ。
映画:『心が叫びたがってるんだ。』(2017)、『散り椿』(2018)、『居眠り磐音』(2019)、『記憶屋 あなたを忘れない』(2020)、『峠 最後のサムライ』(2022)など
ドラマ:『花子とアン』(2014)、『べっぴんさん』(2016)、『高嶺の花』(2018)、『真犯人フラグ』(2021)、『オールドルーキー』(2022)、『それってパクリじゃないですか?』(2023)など
2024年3月1日(金)公開決定!『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』
今度のドラえもんたちの冒険のテーマは“音楽”!日常に当たり前のように存在する“音楽”。
しかし、もしも地球から“音楽”が消えてしまったら…?音楽の未来はドラえもんたちに託された!
ドラえもんたちが奏でる交響楽(シンフォニー)で地球を救う大冒険が始まる!
タイトル:『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』
公開日 :2024年3月1日(金)
公式サイトURL:https://doraeiga.com/2024/
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
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文/神谷直己 構成/HugKum編集部