自らも子育てをしながら、ママを笑顔にするエンターテイナーとして精力的に活動するバブリーたまみさん。今年は『自分と夫を嫌いにならない思考術 LOVE自分子育て』(自由国民社)も出版し、多くのママを勇気づけています。
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会社員を辞めて、「ママ界のエンターテイナー」に転身!
バブリーたまみさんが、活動を始めた経緯を教えてください。
バブリーたまみさん(以下バブたまさん):6年前に、友人の結婚式の余興でバブリーなメイクと衣装で「バブリーダンス」を踊ったところ好評で、YouTubeにあげたらたくさんの人に見てもらったんです。それから、近くの子育て広場で”本気の絵本の読み聞かせ”とか、”みんなで踊ろうバブリーダンス”みたいなことをやるようになりました。そのとき、そこにいたママや子どもたちがすごく喜んでくれたんですよね。特にママたちが笑っている姿を見て、「これって私のやりたいことかも」と思い始めました。ママたちが笑顔でいてくれたら、自然と子どもたちも笑顔になるし、この空間がすごくいいなーって。
それで、色々悩みましたが、会社を辞めてバブリーたまみの活動を始めました。まずは自分でイベントを開催したんですが、はじめはお客さんが0人、次は3人みたいな感じで・・・(笑)。でも会社を辞めてまでやっていることなので、どうにか形にしたいと思って、保育園でママたち向けのイベントをお願いしたり、各地のイベントで踊らせてもらったり。面白い童謡アレンジみたいなのをして、子どもだけじゃなくてママに笑ってもらえるような、そういうパフォーマンスをしてましたね。
そこからSNSでも発信されるようになったんですね。
バブたまさん:はじめはキャラに合わせて、スーパーポジティブな発信をしてたんですよ。でも、当然子育てしてたら、そんなことばかりじゃなくて・・・。一度、イヤイヤ期の息子が雨の日に水たまりで寝っ転がってイヤイヤし始めたことがあって。イライラを通り越して悲しくなってきちゃったんですよね。それで、その状況を写真に撮ってインスタのストーリーズに気持ちを吐き出したんですよ。そうしたら、反響がすごすぎて。「めっちゃわかります!」とか「たまみさんにもそんな感情があるのがわかって安心した、救われました」みたいなコメントが来たんです。
それで、強がってポジティブに振る舞うより、本音をもっと出していこうと思ったんです。そうしたら、ママたちも本音を話してくれるようになって、そこから様々なメッセージ、子育てや夫婦関係の悩みをもらうようになりました。「友達にも言えない、近いからこそ言えないけど、たまちゃんには言えます」とメッセージをもらうことが増えました。それからコミュニティを作って、 ママたちと電話やチャットなどで悩みを聞いています。
子育ての悩みの多くは、「ママの孤独」が根底にある
どんなことに悩んでいるママが多いと感じますか?
バブたまさん:ママたちの悩みは子育てや、人間関係など様々ですが、深堀りをしていくと、ママの孤独に行きつくことが多いと感じています。本当は夫婦で子育てをしているはずなのに、ママが1人で抱え込んで、1人で悩んで、1人で決めなきゃいけない。その心細さから、「何で私だけが」っていう被害者意識が芽生えてきて、可愛いはずの子どもが可愛く思えない・・・そういうケースをよく耳にします。それで、「子どものことが可愛く思えない私はダメだ」と否定してしまったり・・・。
ママ本人は起こっていることしか見えてないので、そこばかり悩んでしまっているのですが、紐解いていくと結局”1人で子育てをしている”というところに行きつくんです。夫がいるのに1人っていうのは本当に孤独さが増すんですよね。夫婦のコミュニケーションが取れていなくて、お互いにどこかで「私ばっかり」とか「俺だって」「私だって」っていう風になってくると、歯車が噛み合わなくなって、その苛立ちが子どもに向かうということになってしまうんだと思います。
本にも書いているのですが、私は8歳の時に、母親が失踪しているんです。子どもを捨てた本当の理由を本人に確認することはできませんが、振り返ってみると、母は孤独だったんじゃないかと思います。都会で育った母は私が5歳の時に福岡の田舎に引っ越して。夫は仕事で家にいない、友達も近くにいない、当時はインターネットもないという環境の中で大変だったんじゃないかと。SOSを出すことも、自分の気持ちを夫にぶつけることもせず、ただ「子どものため」「親だから」と我慢しつづけていたんじゃないかと思うんです。
自分を犠牲にしすぎた子育てはいつか限界がきます。だから、バブリーたまみの活動を通して、ママが自分自身を大事にすることを伝えたいと思っています。
確かに、子育てをしていると自分のことを後回しにしてしまうことが多いと感じます。それでイライラして夫に当たってしまうということも多いです・・・。
バブたまさん:夫にイライラをぶつけてしまうのはあるあるですよね。でも、自分の考え方を変えていくしかない。「私さえ我慢すればいい」というのを手放してほしい。自分にかけている呪いがあるんですよね。「私がやるって言ったから」「自分が母親になるって決めたんだから」とか。でもそれって誰かに言われたわけではなく、自分自身にかけている呪い、勝手にかけている責任だったりするんですよ。自分で自分を苦しめている部分にまずは気づいてほしいです。
まず私たちが楽になってもいいんです。犠牲になっていいママなんていないし、ママだってわがまま言っていいし、自分優先でいい。まずママ自身が自分の中の呪いに気づいていなければ、もし夫が変わったとしても同じことの繰り返しになってしまいます。
そもそも私たちは親ではあるけど、不完全だし、完璧じゃないし、怖いし、吐き出したい時もあるし、イライラすることもある。そんな自分を許していくということを、まずは意識してやっていくのがすごく大事だと思います。今日からすぐに切り替えるのは難しくても、自分の中に少しずつ許可を出してあげてほしいです。自分を否定する癖に気づいて、少しずつ直していってあげるということが、大前提です。
まずは自分自身を許してあげる。それが「LOVE自分子育て」
自分のことを許せたら、相手にも優しくできる余裕ができそうです。
バブたまさん:自分に厳しい人が相手に優しくできるわけないんですよ。「こんな自分もあるよね」って、自分を受け入れられるようになったら、「じゃあ夫は今どんな状況なんだろう」というところに目を向けられると思います。もしかしたら夫に勝手にマイルールを押し付けているのかもしれないですよね。「これぐらいしてよ」「こうするのが当たり前でしょう」みたいな。
例えば自分は「ご飯食べた後はテーブルを拭いて、お皿を洗うまでがセットでしょ」と思っていても、夫側は「ご飯の後はみんなでゆっくりテレビを見たい」と思っているかもしれない。そこを考えることができれば、「じゃあここはこうしていこうか」という風に、喧嘩じゃなくて伝え合うことができるんではないでしょうか。「私たち、ご飯食べた後ってすごいお互いイライラしがちだけど、何でだっけって。あ、そっか、お風呂の時間までがバタバタしてるからか」みたいに。どちらが悪いという話ではなくて、我が家のベストってなんだろうっていう話し合いができるかどうかが大切なんだと思います。
でも、この話し合いは自分が被害者意識のままだったらできないんですよ。「もういいや」ってどちらかがまた我慢することになる。自分が被害者という意識での話し合いになると、「私は家事・育児・仕事をこれだけやってる」「俺だってこれだけやってる」みたいになって、うまくいかない。
本当は2人とも子どもを愛しているし、家庭をうまく回したい、家族で一緒に生きていこうっていう感覚はあるんですよね。家族を不幸にしようと思ってる旦那さんなんて、めったにいないと思うんです。ただ、方向性は一緒なのに、お互いが敵になっている。
だから、やっぱり1番大事なのは、まずは自分自身を許す。自分の呪いにまず気づいてあげるっていうことが、超超第1歩だなって。これが私のいう「LOVE自分」なんです。「自分を愛する」「自分を好きになる」とか、「自分を大事にしてあげる」っていうと、すごくハードルが高いじゃないですか。そうではなくて、どんな自分も許してあげるっていうことが、私が言いたい「LOVE自分」なんですよね。これができないと、相手を許せる自分になれないんですよ。
もう十分がんばっている! どんな自分も認めてあげよう
仕事や子育て、家事に毎日忙しくしているママたち。もう十分がんばっているはずなのに、自分のだめなところばかり見ていませんか? 「こうしなきゃ」「こうあるべき」という呪いを一つずつ手放していけば、少し気持ちも楽になるのではないでしょうか。
インタビューの後編では、夫婦仲がうまくいくコミュニケーションについて伺っていきます。
バブリーたまみさんの著書はこちら!
『自分と夫を嫌いにならない思考術 LOVE自分子育て』(自由国民社)
お話をうかがったのは
8歳の時に母親が失踪、父子家庭で育つ。 その経験を通して、「ママである自分自身を犠牲にしすぎる育児はやめよう」「ママである自分をまずは大事にしよう」 「ママの笑顔がいちばん」というメッセージを日本中のママたちに伝える活動をしている。 SNSやYouTube、音声ラジオVoicyなどで独自の世界を配信。オンラインサロンでは延べ1200人以上の ママたちが在籍。 ママ・パパや子供向けのイベントを全国で開催し、多方面で元気を拡散する活動をおこなっている。
キングレコードからメジャーデビューを果たし、アルバム『ママの笑顔がいちばん~スーパーポジティブソングス!~』 『ママ、いっしょに幸せになろうね~爆笑サプリメントソングス!!~』を発売。
音声ラジオVoicy2022年ランキング 子育て部門1位。 出演メディア:NHK総合『ひとモノガタリ』、フジテレビ『ノンストップ!』 フジテレビ『バイキングMORE』などがある。その他メディアにも多数出演。
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文・構成/平丸真梨子