今は親となり子どもたちにお年玉をあげる側になりましたが、お年玉はあげるのももらうのもうれしいものですね。子どもたちにとっては、「自分だけのお金がもらえた」というわくわくする気持ちも大切にしたいですが、お年玉はどうしてもらえるのかをお子さんと一緒に考えてみるのはいかがでしょうか。お年玉の使い道も、いただいたときの感謝の気持ちの伝え方も変わってくるかもしれません。
お年玉の由来は?
お正月にお年玉として家長が家族に渡していたものはもともとお金ではなく“お餅”でした。ただのお餅ではありません。お正月に歳神様が宿るよう祀られた“御年魂”と呼ばれる丸いお餅です。
無事に年が明けると、家長が歳神様の力を分けていただいた御年魂(お餅)を家族に分け与え、家族が元気に一年過ごせるように願ったというのが由来といわれています。
その分け与えられたお餅を食べるための料理が“お雑煮”です。お雑煮には地域によって丸や四角と形は違っていても、お餅が入っていますよね。歳神様のパワー(魂)をしっかり体に取り入れようとした料理だったのですね。
お子さんのなかにはまだお餅が食べられないという方もいらっしゃるかもしれません。無理して食べさせる必要はありませんが、歳神様のパワー(魂)をいただくために、百日祝い(お食い初め)の時のようにお口にちょんと付けたり、食べる真似をするだけでもよいと思います。
昭和30年の高度経済成長期頃からお餅を用意するご家庭が減り、家庭で用意するのに手間がかからないお金をお年玉として贈るようになりました。
ポチ袋とお金の入れ方
お年玉を入れるポチ袋、今はたくさんの種類があります。
ポチ袋の“ポチ”の意味は“点・小さいもの・少しだけ”という意味があります。「これっぽっちですが」という謙虚な気持ちも表すポチ袋。お正月には、お年玉”と記載されたものを選ぶか、書いていないデザインでしたらご自分で記載し、相手にお年玉であることが伝わるようにしましょう。
コロナ禍で会えなかった親戚が今年は一同に介するという方もいらっしゃるかもしれません。同じ年ごろの子どもたちが集まると、それぞれにお年玉を用意しますよね。一律、全員同じ金額にしていればいいですが、それぞれに金額を分けてお金を用意した場合、渡す相手を間違えては大変です。また、受け取った子どもたちが「これは誰からだっけ?」と思い出せないのも悲しいことです。
そのようなことを防ぐために、ポチ袋にはあらかじめ渡す相手の名前と自分の名前を書いておきましょう。ポチ袋を表にして左上に渡す相手の名前を書きます。裏にして左下に自分の名前を書きます。
ポチ袋に入れるお金にもほんの少しの気遣いをしてみませんか。お札、硬貨に共通することはできる範囲できれいな状態のお金を用意するということです。シワのないお札や、ピカピカ光る硬貨は手にした子どもも嬉しいですよね。
お年玉に使うお札
今はお札を折らず、そのまま入れられる袋もありますが、今回はお札を折る場合の折り方をご紹介します。
紙幣にも表と裏があります。表は肖像画が描かれているほうです。ですから子どもたちがお札を開いたときにお札に印刷されたお顔が一番に見えるように折ります。2つ折りや4つ折りは忌み数でお正月には避けたいので基本は3つ折りです。
ポチ袋も正面、お札も正面の状態で袋に入れます。
硬貨を使う場合
硬貨にも表と裏があります。建物や植物が描かれているほうが表です。ですから、ポチ袋に入れるときにもポチ袋の表と硬貨の表と向きを合わせましょう。
子どもたちは嬉しくて、表か裏かなど気にせず出してしまうかもしれません。そんな時には「どちらが表か裏か知っているかな?」と知識の一つとして伝えてあげるといいですよ。
お年玉の渡し方
渡す人数が多いと、ついポチ袋をトランプのカードのように持ち「はい、〇〇ちゃんどうぞ、次は誰かな」と片手で配るように渡すこと、ありませんか?
子どもたちの“早く受け取りたい”“いくら入っているのだろう、確認したい”という気持ちも分かります。でも、大切なお金をいただくのだという気持ちを育てるためにも、一人一人しっかり向き合って渡してあげましょう。
渡し方一つで、子どもたちへ価値を伝えることができます。大人が大切に扱うことで、子どもたちへお年玉(お金は)大切なものであること、自分のために用意してくれたものであることを伝えることができます。
渡し方のコツは、縦の名刺を渡すイメージです。相手へ渡すときには名前を隠さないよう両手で持ち、相手に正面を向けて渡します。子ども達にもしっかり両手で受け取るように伝えましょう。その後、お互いに目を見て挨拶し、挨拶が終わったら、大人がそっと手を離します。
渡すときの声掛け
歳神様のパワーをいただいたお餅を家族の健康や一年の無事を願って家長が渡していたという由来から始まったお年玉。渡すものがお金に変わっても、歳神様のおかげで渡す側も受け取る側も元気でいられること、お年玉のやり取りが笑顔で行えることに感謝の気持ちを忘れてはいけませんね。
渡すときには一言「感謝の気持ちを忘れずにね」の一言を伝えてあげましょう。誰に感謝するのか一緒に考えていくことで、さらに多くの「ありがとう」「ありがたい」の気持ちに気づくことができます。感謝の気持ちが溢れる一年になりますように。
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赤名 麻由子