「ギニアビサウ」ってどんな国? カシューナッツで知られる国の、知られざる自然を紹介【HugKum世界紀行】

ギニアビサウは、アフリカ西部にある国。九州とほぼ同じ大きさで、アフリカでは小さな国です。日本ではあまりなじみがない国ですが、人口はどのくらいで、どんな人がどんな生活を送っているのでしょうか? 観光スポットや有名なものをご紹介していきます。

ギニアビサウってどんな国?

アフリカ西部にあるギニアビサウ。もともと「ギニア」は西アフリカ一体とギニア湾を指しており、「皮膚の黒い人」を意味する言葉なのだとか。また15世紀にはポルトガル船がギニアビサウを訪れ、奴隷貿易の中継地として栄えた歴史があります。そのときの中世ポルトガルにあった公領ビサウにちなんで「ギニアビサウ」という国名が付けられました。

ギニアビサウ基本情報

高い山がなく、国土全体に平野が広がるギニアビサウ wikimedia commons(PD)

まずは首都や人口、面積、言語などの基本情報から見てみましょう。

国名

ギニアビサウ共和国

首都

ビサウ

場所

西アフリカにあり大西洋に面していて、北はセネガルに、東と南はギニアに隣接しています。

ギニアビサウの位置

日本との時差

9時間(日本より9時間遅れています)

面積

36,125平方km

日本の九州地方とほぼ同じ面積で、西アフリカではもっとも小さな国のひとつです。ギニアビサウにはほとんど山がなく、高いところでも標高300mほどで、平野が広がっています。

ギニアビサウは、大陸部と島から構成されています。大小88の島もあり(ビジャゴス諸島)ユネスコの生物保護地域に指定されています。

エリア

8の州と、1つの自治区からなります。首都ビサウがあるのはビサウ自治区です。

人口

211万人

新潟県の人口が212万人なので、新潟県の人口とほぼ同じです。

首都ビサウ Photo by Colleen Taugher from Lewiston Idaho, USA, CC 表示 2.0, wikimedia commons

言語・公用語

ポルトガル語

通貨

西アフリカCFAフラン
1CFAフラン=0.25円(2024年2月末時点)

宗教

原始宗教、イスラム教、キリスト教

歴史

15世紀 ポルトガル植民地
1973年9月 ポルトガルより独立宣言

ギニアビサウの歴史は、15世紀にポルトガル人が入植して植民地にしたことから始まります。そしてポルトガルの植民地時代には、奴隷貿易の拠点のひとつとなりました。

奴隷貿易とは、アフリカの人々を奴隷として、アメリカやヨーロッパなどに売買する貿易のことです。人道的に問題があるとして廃止されましたが、かつてはヨーロッパなどで盛んに行われており、ギニアビサウもそのひとつの拠点とされていました。

しかし1950年代頃から独立を求める運動が人々の間で起こり、独立戦争も勃発するなどしました。最終的に1973年にポルトガルからの独立を果たし、ギニアビサウと同じくポルトガル領だったアンゴラ、モザンビークなども相次いで独立していきました。独立後もたびたびクーデターや内戦が起き、多くの人々が国外へ流出していったといわれています。

ギニアビサウの国旗

国旗

ギニアビサウの国旗は、アフリカの色である赤、黄、緑の3色を使用しています。

配置はギニアビサウの国土を表しており、赤は西部の沿岸地方と、この国の独立のために人々が流した血を表現。黄色はサバンナ地帯、緑は南部の森林地帯を表しています。赤色部分につけられた黒い星は、アフリカの自由のシンボルと、民族の団結や統一を表しています。

天気・気候

ギニアビサウがあるアフリカ西部は高温多湿の熱帯気候で、年間平均気温は30℃を超えます。季節は、5月から9月頃までの雨季と、10月から4月頃までの乾季に分かれています。乾季の12月から3月頃は、サハラ砂漠の砂を含んだ季節風が吹きます。

ギニアビサウの治安・住みやすさ

ギニアビサウの田舎の車道 Photo by jbdodane – 20130610-DSC_8978, CC 表示 2.0, wikimedia commons

ギニアビサウの治安や住みやすさはどうでしょうか?

治安は危険

アフリカの治安は決してよくありません。ギニアビサウも同じで、外務省「海外安全ホームページ」によると、カシュウ州全域が渡航中止勧告である「レベル3」、その他の地域も「不要不急の渡航を止めてください」を表す「レベル2」が示されています。

ギニアビサウでは10年以上前から、首都ビサウを中心に政情不安が続いており、2022年には政府庁舎を襲撃する事件が起きました。2023年12月には銃撃事件をきっかけとする政治的混乱が起きるなど、依然として不安定な状況が続いています。

日本人を標的にしたテロは確認されていませんが、インド人の住民を標的とした強盗事件なども起きています。観光地、レストラン、ホテル、ショッピングモールなどは不特定多数の人が集まる場所のため、テロの標的として狙われやすく、注意が必要です。

住みやすさは疑問

ギニアビサウは豊かな自然があり、のんびりとした空気がただよう国ではありますが、住みやすさという点でみると疑問があるでしょう。

首都のビサウでも電力の供給が不安定であるほか、国民の大半が貧しい生活を送っています。国連世界食糧計画(WFP)によると、ギニアビサウでは人口の約7割が貧困ライン以下で生活しています。

ギニアビサウの見どころ・観光

ギニアビサウの見どころや観光スポットをご紹介しましょう。

ブバケ島

ブバケ島
ブバケ島

ビサウの港からフェリーに乗って到着できる島です。アフリカマナティをはじめ、多くの野生動物が生息しています。宿泊施設や、レストラン、バーなどもあります。

ビジャゴス諸島

ビジャゴス諸島
ビジャゴス諸島

ギニアビサウは、大陸部分のほか、美しい島々の自然でも知られています。ビジャゴス諸島はユネスコの生物保護地域に指定され、ウミガメのほか、ワニ、カバ、アフリカマナティなどの野生動物が生息しています。

青空市場

ギニアビサウの青空市場
ギニアビサウの青空市場

太陽の下に人々が集まり、食料や日用品などさまざまなものを売っている青空市場。アフリカらしい陽気な人々の、普段の暮らしが身近に感じられるスポットです。

ギニアビサウの特徴・有名なもの

ギニアビサウで有名なものを見てみましょう。

カシューナッツ

カシューナッツ
カシューナッツ

ギニアビサウは、カシューナッツの生産量が多いことで知られています。カシューナッツの「カシュー」は、ギニアビサウのカシュウ地方に由来するという説があるほどです。

生産量は西アフリカでもトップで、世界でも上位になり、国家の収入の半分以上を占めています。国の人口の75%近くが、カシューナッツの経済に依存しているといわれています。

アフリカマナティ

<a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:I432%5Ecimgpsh_orig.jpg">Mehdi Sadak 2ème compte</a>, <a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0">CC BY-SA 4.0</a>, via Wikimedia Commons
アフリカマナティ Photo by Mehdi Sadak 2ème compte, CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons

三重県鳥羽市にある「鳥羽水族館」には、「かなた」と名付けられたオスのアフリカマナティがいます。この「かなた」は1996年にギニアビサウからやってきました。

ギニアからセネガルを通り、ギニアビサウを経てインド洋まで流れるジュバ川には、アフリカマナティが生息しています。「かなた」もここで捕獲された個体が、はるばる日本まで運ばれました。

麻薬密輸の経由地

ギニアビサウは以前より麻薬密輸の国際的な経由地になっており、外務省の海外安全ホームページにもその旨が記載されています。これまで起きた事件にも、麻薬の密売や取引が絡んでいるといわれています。

西アフリカの小さな国、ギニアビサウ

ギニアビサウは日本から遠く離れたアフリカにあり、小さな国であるため、国名に聞きなじみのない方もいることでしょう。でも、これまで口にしたカシューナッツはギニアビサウ産のものがあるかもしれません。

実際に現地を訪れる機会は少ない遠い国ですが、ギニアビサウの豊かな自然や、アフリカの国がおかれた状況を知ることで、世界への理解が深まるきっかけになるでしょう。

こちらの記事もおすすめ

2018年に国名を変更「エスワティニ」ってどんな国? 旧国名は? 基本情報や有名なもの、見どころをチェック【HugKum世界紀行】
エスワティニってどんな国? アフリカ南部にある「エスワティニ」はどんな国なのか、特徴や観光スポットなどをこれから説明していきます。 エス...

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事