ギニアビサウってどんな国?
アフリカ西部にあるギニアビサウ。もともと「ギニア」は西アフリカ一体とギニア湾を指しており、「皮膚の黒い人」を意味する言葉なのだとか。また15世紀にはポルトガル船がギニアビサウを訪れ、奴隷貿易の中継地として栄えた歴史があります。そのときの中世ポルトガルにあった公領ビサウにちなんで「ギニアビサウ」という国名が付けられました。
ギニアビサウ基本情報
まずは首都や人口、面積、言語などの基本情報から見てみましょう。
国名
ギニアビサウ共和国
首都
ビサウ
場所
西アフリカにあり大西洋に面していて、北はセネガルに、東と南はギニアに隣接しています。
日本との時差
9時間(日本より9時間遅れています)
面積
36,125平方km
日本の九州地方とほぼ同じ面積で、西アフリカではもっとも小さな国のひとつです。ギニアビサウにはほとんど山がなく、高いところでも標高300mほどで、平野が広がっています。
ギニアビサウは、大陸部と島から構成されています。大小88の島もあり(ビジャゴス諸島)ユネスコの生物保護地域に指定されています。
エリア
8の州と、1つの自治区からなります。首都ビサウがあるのはビサウ自治区です。
人口
211万人
新潟県の人口が212万人なので、新潟県の人口とほぼ同じです。
言語・公用語
ポルトガル語
通貨
西アフリカCFAフラン
1CFAフラン=0.25円(2024年2月末時点)
宗教
原始宗教、イスラム教、キリスト教
歴史
15世紀 ポルトガル植民地
1973年9月 ポルトガルより独立宣言
ギニアビサウの歴史は、15世紀にポルトガル人が入植して植民地にしたことから始まります。そしてポルトガルの植民地時代には、奴隷貿易の拠点のひとつとなりました。
奴隷貿易とは、アフリカの人々を奴隷として、アメリカやヨーロッパなどに売買する貿易のことです。人道的に問題があるとして廃止されましたが、かつてはヨーロッパなどで盛んに行われており、ギニアビサウもそのひとつの拠点とされていました。
しかし1950年代頃から独立を求める運動が人々の間で起こり、独立戦争も勃発するなどしました。最終的に1973年にポルトガルからの独立を果たし、ギニアビサウと同じくポルトガル領だったアンゴラ、モザンビークなども相次いで独立していきました。独立後もたびたびクーデターや内戦が起き、多くの人々が国外へ流出していったといわれています。
国旗
ギニアビサウの国旗は、アフリカの色である赤、黄、緑の3色を使用しています。
配置はギニアビサウの国土を表しており、赤は西部の沿岸地方と、この国の独立のために人々が流した血を表現。黄色はサバンナ地帯、緑は南部の森林地帯を表しています。赤色部分につけられた黒い星は、アフリカの自由のシンボルと、民族の団結や統一を表しています。
天気・気候
ギニアビサウがあるアフリカ西部は高温多湿の熱帯気候で、年間平均気温は30℃を超えます。季節は、5月から9月頃までの雨季と、10月から4月頃までの乾季に分かれています。乾季の12月から3月頃は、サハラ砂漠の砂を含んだ季節風が吹きます。
ギニアビサウの治安・住みやすさ
ギニアビサウの治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安は危険
アフリカの治安は決してよくありません。ギニアビサウも同じで、外務省「海外安全ホームページ」によると、カシュウ州全域が渡航中止勧告である「レベル3」、その他の地域も「不要不急の渡航を止めてください」を表す「レベル2」が示されています。
ギニアビサウでは10年以上前から、首都ビサウを中心に政情不安が続いており、2022年には政府庁舎を襲撃する事件が起きました。2023年12月には銃撃事件をきっかけとする政治的混乱が起きるなど、依然として不安定な状況が続いています。
日本人を標的にしたテロは確認されていませんが、インド人の住民を標的とした強盗事件なども起きています。観光地、レストラン、ホテル、ショッピングモールなどは不特定多数の人が集まる場所のため、テロの標的として狙われやすく、注意が必要です。
住みやすさは疑問
ギニアビサウは豊かな自然があり、のんびりとした空気がただよう国ではありますが、住みやすさという点でみると疑問があるでしょう。
首都のビサウでも電力の供給が不安定であるほか、国民の大半が貧しい生活を送っています。国連世界食糧計画(WFP)によると、ギニアビサウでは人口の約7割が貧困ライン以下で生活しています。
ギニアビサウの見どころ・観光
ギニアビサウの見どころや観光スポットをご紹介しましょう。
ブバケ島
ビサウの港からフェリーに乗って到着できる島です。アフリカマナティをはじめ、多くの野生動物が生息しています。宿泊施設や、レストラン、バーなどもあります。
ビジャゴス諸島
ギニアビサウは、大陸部分のほか、美しい島々の自然でも知られています。ビジャゴス諸島はユネスコの生物保護地域に指定され、ウミガメのほか、ワニ、カバ、アフリカマナティなどの野生動物が生息しています。
青空市場
太陽の下に人々が集まり、食料や日用品などさまざまなものを売っている青空市場。アフリカらしい陽気な人々の、普段の暮らしが身近に感じられるスポットです。
ギニアビサウの特徴・有名なもの
ギニアビサウで有名なものを見てみましょう。
カシューナッツ
ギニアビサウは、カシューナッツの生産量が多いことで知られています。カシューナッツの「カシュー」は、ギニアビサウのカシュウ地方に由来するという説があるほどです。
生産量は西アフリカでもトップで、世界でも上位になり、国家の収入の半分以上を占めています。国の人口の75%近くが、カシューナッツの経済に依存しているといわれています。
アフリカマナティ
三重県鳥羽市にある「鳥羽水族館」には、「かなた」と名付けられたオスのアフリカマナティがいます。この「かなた」は1996年にギニアビサウからやってきました。
ギニアからセネガルを通り、ギニアビサウを経てインド洋まで流れるジュバ川には、アフリカマナティが生息しています。「かなた」もここで捕獲された個体が、はるばる日本まで運ばれました。
麻薬密輸の経由地
ギニアビサウは以前より麻薬密輸の国際的な経由地になっており、外務省の海外安全ホームページにもその旨が記載されています。これまで起きた事件にも、麻薬の密売や取引が絡んでいるといわれています。
西アフリカの小さな国、ギニアビサウ
ギニアビサウは日本から遠く離れたアフリカにあり、小さな国であるため、国名に聞きなじみのない方もいることでしょう。でも、これまで口にしたカシューナッツはギニアビサウ産のものがあるかもしれません。
実際に現地を訪れる機会は少ない遠い国ですが、ギニアビサウの豊かな自然や、アフリカの国がおかれた状況を知ることで、世界への理解が深まるきっかけになるでしょう。
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文・構成/HugKum編集部