センシティブな内容の本ほど読みたがる我が子。親はどう対応するのが正解?【読書教育のプロ・ヨンデミー代表に訊いてみた】

性や暴力、死…。本を自ら読むようになったのはいいけれど、子どもにはまだ刺激が強すぎるのではないかと思う内容の本を選んでくるように。センシティブな内容の本を読むのをやめさせるべき?それとも子どもが好きなように読ませてあげたほうがいい?
そんな子どもの読書にまつわる悩みを解決するために、読書教育のプロである「ヨンデミーオンライン」代表の笹沼颯太さんにお話を伺うことに。読書に関するお悩みQ&Aをお届けします!

センシティブな内容の本。親はどう向き合う?

刺激の強い内容の本。いつから読んでいいの?

映画とは違い、本には年齢制限がつけられていません。そんななか、性や暴力、死、社会問題などに関する過激な表現や描写が含まれている本や、主義・主張の強い本を子どもが選んで読みたがる時期が訪れることも。まだ自分で物事の良し悪しを判断できない年齢でもあり、その作品の情報を鵜呑みにしてしまったり、偏った思考をもったりしてしまうのではないか…。お子さんがこのような本に興味を持ったとき、どのように対応するべきか悩む親御さんはけっして少なくありません。

読む本をすべて管理する限界

子どもがどんな情報に触れているのか、親御さんにとってはとても気がかりなことだと思います。しかし、情報があふれる現代社会で育つ子どもたちは、親が見えていないところでもさまざまな本を読み、動画や記事を見たり聞いたりしていることでしょう。

親御さんが子どもに触れる情報をすべて管理していくのは、おそらく困難であり限界があるのではないでしょうか。だからこそヨンデミーでは、本を楽しく、たくさん、幅広く読める状態を作ることが大事であると考えています。そうすることで、「物事には色々な見方がある」ということを本をとおして子どもたちが学んでくれると思っています。

情報に触れることで学べる事がある

ヨンデミーでは、特定の題材を扱った本を意図的に避けることは、認知のゆがみを生んでしまう可能性があるため基本的には「無理に読むのを止めない」ことをおすすめしています。情報に触れないことが正しいのではなくて、さまざまな主張も含めて「知る」ことが大事であると考えています。

またお子さんが読みたがっている本を否定してしまうと、お子さんは不満を抱いてしまうことも。お子さんが興味を持った本を読むことを否定するのではなく、それを受け止めた上で、その内容について親子で話し、背景や実状を補足してあげることをおすすめします。

「多読」で知識を得て、深めよう!

読書がもたらす心の成長

センシティブな内容の本に触れるときこそ、とにかくたくさんの本を読む「多読」を意識することがポイントです。

さまざまな本を読むことで、まだ知識や経験の浅いお子さんが、ひとつの本から得られた情報にとらわれず、さまざまな考え方や価値観があることを知ることができます。あらゆる視点に触れることで、それを受け入れ、偏りのない考え方ができるようになる、そんな新たな学びのチャンスにもなります。知識が増えるだけでなく、このように心が成長することにもつながっていくでしょう。

情報と向き合う姿勢をつくれるように

ヨンデミーでは、読書を身につける方法として「楽しく」→「たくさん」→「幅広く」の順番で本に親しんでいくことを推奨しています。この3ステップの最終段階でもある「幅広く」本を読むという段階では、たくさんのジャンルの本を読むことの大切さを伝えています。

「多読」は最後のステップでもある「幅広く」本を読むという部分にも当てはまります。読書がきちんと身についているお子さんでしたら、たとえセンシティブでちょっと偏った主義・主張のある本を読んでも、柔軟な考え方ができるようになっていると思います。子どもたちがさまざまな情報と向き合う姿勢が身につくことを目指して、ぜひたくさんの読書を楽しんでくださいね!

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◆お話を伺ったのは…

笹沼颯太 | 株式会社Yondemy代表
2023年、東京大学経済学部経営学部卒。
教育に読書を取り入れる分野で第一人者の澤田英輔氏の指導を受ける。英語多読講師の経験も活かし、大学在学中の2020年4月に中学以来の友人と「Yondemy」を起業。「子どもの読書離れ」という課題の解決に向けて、同年12月にオンライン読書教育「ヨンデミーオンライン」のサービス提供を開始。2年間で累計3500人以上の会員登録者数を誇る。

文・構成/HugKum編集部

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