出産する施設、どうやって選んでいますか?
令和5年(2023)4月1日から、出産育児一時金が原則42万円から原則50万円に増額されましたが、出産にかかる費用は地域や施設によって差があるのが現実。
令和4年度の厚生労働省の集計では全国平均では、約48万2000円でしたが、もっとも高い東京都では60万5000円あまり。もっとも安い熊本県では約36万1000円と驚くほど差があります。
また、出産をする施設に関しての情報も、これまでイチから探すのは簡単ではありませんでした。
そこで、出産を迎えた妊婦や家族がそれらの情報を一括で入手できるwebサイト「出産なび」を厚生労働省が2024年5月30日に開設。同日、その記者発表会を行いました。
約2000あまりの出産施設の情報を掲載!
公開されたサイトでは、5月30日時点において全国の出産を取り扱う病院や診療所・助産所の約96%(年間分娩件数が21件以上で出産一時金の直接支払制度を利用しており、2024年度現在、分娩を取り扱っている施設に占める割合)にあたる情報が公開されています。
このサイトから入手できるのは、施設の所在地や外来受付時間、医師数や年間分娩件数といった基本情報だけでなく、助産ケアなどの付帯サービスの有無、分娩にかかる費用の目安などの詳細情報で、エリアや詳細条件(施設の種類や付帯サービスなど)を指定して検索するだけで、各人の希望に沿った出産施設を簡単に探すことができます。
産科医や助産師、PR大使からも高評価!
厚労省で開かれた記者会見には、「出産なび」の説明をする厚労省職員のほか、産婦人科医の稲葉可奈子さん、助産師でインフルエンサーのシオリーヌこと大貫詩織さん、同サイトのPR大使の冨樫真凜さんが登壇。それぞれ注目するポイントをコメントしていました。
「無痛分娩への希望が高まっていますが、24時間いつでも対応している施設だけでなく、平日の日中のみしか対応していないところもあります。そういった詳細がわかる点がいいですね。出産費用だけでなく、妊娠健診の自己負担額も地域や病院によって異なり、実際に請求されるときになって驚かれる妊婦さんも多いので、このサイトの開設によって、出産費用の見える化のきっかけにもつながると思います」と稲葉医師。
また、大貫さんは「初めての出産では、どの病院でどんな出産をしたいのか、自身の希望がよくわからない妊婦さんがいます。しかし、このサイトでは付帯サービスなどさまざまな項目が挙げられていることで、自分の希望する出産のカタチが見えてくるのではないでしょうか。また、各項目ごとにその項目に関しての詳しい説明がされているので、誰でも内容がわかる点もよいと思いました」
さらに、冨樫さんは「第1子を産んだのは移り住んだばかりの場所で、友人もいず、知らないことが多くて大変でした。こういうサイトが当時あったらよかったと本当に思います。どの項目のページにも右上に情報の最新更新日が載っているので、情報の精度がわかるのは安心。また費用が明示されているのはありがたいと思います」とコメントしていました。
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「出産なび」はより安心して出産し、育児ができるサイトとして利用できるように、今後も定期的に情報の更新や項目の追加などを行いアップデートしていくそうです。これから出産を予定している方は、定期的にチェックすることをおすすめします。
取材・文/山津京子
出産費用参考:「出産なび」出産費用や無痛分娩 産後ケアなど 東京含む全国2043施設の情報まとめたサイト開設 厚生労働省 | NHK