華やかな郷土料理「わっぱ飯」にチャレンジ! 新潟と福島の違い、〝わっぱ〟の魅力と扱い方を伝授

新潟や福島(会津)の郷土料理、「わっぱ飯」をご存じでしょうか? どちらも「わっぱ」という器にご飯などを入れて蒸したものですが、地域によって使われる食材などに違いがあります。
そこで本記事では、わっぱ飯とは、どんな料理なのか、新潟と福島会津のわっぱ飯との違いなどを紹介していきます。

全国には、その土地で長く愛される郷土料理かあります。「わっぱ飯」もその一つ。わっぱ飯とはどんな料理なのか、特徴や作り方などを一緒に見ていきたいと思います。

わっぱ飯とは?

新潟と福島会津の郷土料理に「わっぱ飯」というものがあります。わっぱ飯とは、「わっぱ」と呼ばれる器に、薄く味付けして炊いたご飯を入れ、その上に魚介類や野菜などの具材をのせて蒸したものをいいます。

わっぱ飯の一例

「わっぱ」とは?

この「わっぱ」とは、ヒノキやスギの木などを薄い板状にして、それを曲げて作られた器のことです。もともとは弁当箱として作られたもので、「曲げわっぱ」とも呼ばれています。そのわっぱを使うことから、わっぱ飯と呼ばれるようになったそうです。

わっぱ(曲げわっぱ)

具材は、その土地や各家庭によってさまざま。好きなものを入れるという、比較的に自由度が高い料理で、それぞれの個性が出るのが魅力の一つといえるでしょう。

新潟と福島会津のわっぱ飯の違いは?

新潟と福島といえば、日本有数の米どころ。わっぱ飯は、その良質なお米を使った料理ですが、具材にはそれぞれその土地ならではのものが使われます。また、使うわれるわっぱの材木の種類にも違いがあるそうです。

では、新潟と福島のわっぱ飯の違いなどをチェックしていきましょう。

米どころとして知られる新潟・福島

新潟のわっぱ飯の具は魚介が入るのが特徴

新潟のわっぱ飯の具には、鮭やいくら、ズワイガニやのどぐろ、牡蠣など、新潟でとれる川や海の幸が入るのが特徴です。

また米は出汁で炊き上げられ、器にはスギの木で作ったわっぱが使われます。新潟の旬の食材を使った、彩り豊かで見た目も華やかなわっぱ飯です。

福島のわっぱ飯は山の幸が使われるのが特徴

川や海の幸を使うのが特徴的な新潟のわっぱ飯ですが、一方で福島のわっぱ飯は、山菜やきのこなどの山の幸が多く使われます(鮭やカニなどが使われることもある)。

ご飯は白米で、わっぱには、ヒノキのものを使用するのが主流。わっぱのふたを開けると、ヒノキの香り広がり、味と香りで楽しめるのも魅力です。

自宅でできるわっぱ飯の作り方は?

新潟や福島を訪れたら、ぜひわっぱ飯を食べてみたいものです。しかし自宅でも楽しめたらいいですよね。

わっぱ飯は、ご飯の上に具材を乗せて蒸すという工程がありますが、「蒸し器がない!」というご家庭もあるでしょう。そこで蒸し器を使わずに、自宅でできる「鮭といくらのわっぱ飯」の作り方を紹介していきます。

また蒸し器を使う場合の作り方もあわせて紹介しますので、「蒸し器がある!」という方は、蒸し器を使う方法を参考にしてみてください。

材料(1~2人分)

<具>

・鮭… 1~2切れ
・いくらの醤油漬け… 大さじ1~2
・錦糸卵… 卵1個分
・三つ葉… 適量

<ご飯>

・米… 1合
・水… 200ml
・酒… 大さじ1
・塩… ひとつまみ
・顆粒だし… 小さじ1/2

作り方

1.三つ葉と鮭は食べやすい大きさにカットし、米は研いで水を入れ、30分以上おいて浸水させます。

2.鮭はフライパンで表面に軽く焼き色がつくまで焼きます。

3.浸水させておいた米に鮭、塩、酒、顆粒だし、2の鮭を入れて炊飯します。

4.ご飯は炊き上がったら、鮭を取り出します。

5.4のご飯は軽くかき混ぜたら、わっぱに盛り付けます。

6.5に錦糸卵、取り出しておいた鮭をのせ、醤油漬けのいくらをトッピング。

7.最後に三つ葉を散らして完成です。

蒸し器を使う場合の作り方

お弁当箱などの使われるわっぱは、素材によって耐熱温度などが異なる場合があるため、確認してから使用するようにしてください。

1.わっぱ、または耐熱容器に炊いたご飯(鮭はなしで)を入れます。

2.1に錦糸卵、生の鮭をのせ、蒸し器に入れ加熱します。

3.鮭に火が通れば、火から下ろします。

4.醤油漬けのいくら、三つ葉をトッピングしてできあがりです。

わっぱを使うメリットと注意点とは?

わっぱ飯に欠かせないわっぱ。わっぱを使うことでご飯が美味しくなったりと、見た目がいいという嬉しいメリットがあります。

一方で、天然の木でできているため、使い方に注意がいる場合も。わっぱを使うメリット、注意点などを一緒に見ていきましょう。

メリットは冷めてもご飯がおいしい

わっぱの魅力はなんといっても、冷めてもご飯が美味しいということではないでしょうか。

木には調湿作用があります。ご飯から出る水分を適度に吸ってくれるため、時間が経っても固くなったり、べちゃっとしません。またわっぱに入れたご飯は、夏は傷みにくく、冬は固くなりにくいというメリットもあります。

さらに木の香りとご飯は相性がいいそうです。ご飯の香りと木の香りが相まって、食欲を促進してくれます。

わっぱはお手入れに注意が必要

一方で、わっぱは天然の木材で作られているため、お手入れには注意が必要です。主に注意する点は「洗い方」と「乾かし方」の2点です。

・洗い方

まずはわっぱに傷をつけないため、使った後はすぐに柔らかいスポンジで洗います。その際に洗剤は使わずに、お湯に少し浸けて汚れを浮き上がらせてから、木目に沿って優しく洗うのがおすすめです。食器洗い乾燥機も避けたほうがいいでしょう。

・乾かし方

洗い終わった後は、よく乾かすことが大切です。布巾などで水気を拭き取り、よく乾燥させます。

その際、開口部分を下向きにしておくと、底が十分に乾ききらずに黒ずみやカビが発生する原因になります。そのため、わっぱを横向きにして乾かすのがおすすめです。

見た目も華やかな新潟と福島の郷土料理「わっぱ飯」

新潟と福島などで食べられているわっぱ飯について紹介してきました。その土地でとれた美味しいお米や旬の食材を使った贅沢な料理です。新潟や福島を訪れたらぜひ食べてみたいものですね。

また、わっぱに入ったご飯、鮭やいくらなど彩りも鮮やかな具材なで、見た目も華やかな料理です。お祝いごとなどで家族や友人が集まる際のおもてなし料理にもぴったりではないでしょうか。その際は、お好みで具材をアレンジしてみるのもいいですね。

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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