その1:飲み物の砂糖の量を調べよう
ジュースに砂糖が入っていることは、みなさん、ご存じだろうと思います。その砂糖の量を目に見えるようにしましょう。
ジュースのラベルにある「栄養成分表示」を見てください。「炭水化物」と書かれていると思います。これが使われている糖類と食物繊維の量を指します。
ジュースに使われている糖類は砂糖ではなくトウモロコシから作るコーンシロップですが、砂糖の量と言い換えても間違いではありません。またジュースの繊維質はほぼゼロ(野菜ジュースなど一部は除く)なので、無視しましょう。
表記は100mlあたりの砂糖の量です。500mlなら5倍、350mlなら3.5倍にします。
清涼飲料ごとに砂糖の量を調べたら、スティックシュガー(多くは1本あたり3g)の本数や角砂糖の個数で表現すると違いがわかりやすく、教室でも展示できます。
その2:冷蔵庫探偵
賞味期限と消費期限の違いを調べます。おいしく食べられる期限が賞味期限、これ以上は悪くなるかもしれないのが消費期限です。冷蔵庫の食品の賞味期限と消費期限を調べましょう。
同じ魚の干物でも、そのままでは3日ほどしか持ちませんが、真空パックの干物は1カ月近く持ちます。おにぎりはすぐに悪くなりますが、炊く前のお米は悪くなりません。違いは何でしょうか?
空気と水の作用に気がつけば、自由研究として満点です。酸素による酸化と細菌による腐敗が味を劣化させ、腐敗させます。
ではハムなどの加工食品の消費期限が長いのはなぜでしょう? 成分表を見てください。PH調整剤やリン酸塩といった食品添加物が書かれています。食品添加物が味の劣化を防ぎ、細菌の繁殖を抑ええているのです。食品添加物の作用はインターネットで調べましょう。
その3:辛いカレーで「味覚」の法則を調べる
夏バテの時でも、スパイシーなカレーなら食べられます。でも子どもは辛いのが苦手。カレーの辛さを和らげる方法をお子さんと一緒に考えましょう。
辛さの原因はカプサイシンというトウガラシに含まれる物質です。舌がカプサイシンを受け取ると、痛みの神経を刺激し、辛さを感じます。辛さは味ではなく、痛みなんですね。
カプサイシンは油に溶けやすく、牛乳のタンパク質「カゼイン」と結びつきやすい性質があります。牛乳やヨーグルトのような乳製品をカレーに加えたり、食事中に飲むと辛味はどうなるでしょう。チーズやマヨネーズなど油や乳製品をルーに加えたら辛さはどう変わりますか?
またレモンや梅干しに含まれる「クエン酸」には、痛みの神経を抑える作用があります。カレーを食べる時にレモンを絞った水を飲むと、辛さは収まるでしょうか?
その4:三色の焼きそば
焼きそばの麺の色が変わる不思議な焼きそばを作りましょう。用意するのは焼きそばの麺と紫キャベツ、塩コショウ、ソース、カレー粉です。
紫キャベツを焼きそばの具に使い、刻んで麺と一緒に炒めます。すると不思議なことに、黄色かった麺の色がみるみる緑色に!
実は紫キャベツの赤色はアントシアニンというリトマス試験紙に含まれる物質と同じなので、麺に含まれるかん水のアルカリ性にアントシニンが反応、緑色に変わるのです。
ソースを加えるとソースが酸性のため、中和されて麺の色は黄色に戻ります。
次に新しい麺を紫キャベツとカレー粉と一緒に炒めましょう。今度は麺の色が赤く変わります。カレー粉の酸性にアントシアニンが反応したのです。
酸とアルカリの話は中学校で習うので、小学生は紫キャベツに麺の色を変える働きがあるとわかれば十分です。
▼詳しい手順はこちらをチェック!
他にも自由研究のヒントがいっぱい!
【ゆーまん博士の自由研究・虎の巻】
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虎の巻2:リビングで、お庭で… 家の中のものでできちゃう研究テーマ編
虎の巻3:町中へ、外へ… 親子でアウトドア派におすすめ!の研究テーマ編
【ゆーまん博士のアドバイス】自由研究は、毎日にヒントがいっぱい!
自由研究は何をやってもOKなんですが、書き方がわからないというお子さんも多いでしょう。自由研究をまとめると、それは論文になります。論文の書き方にはルールがあります。
科学論文は次の項目で成り立っています。
・要約……どんな実験を行ったのかの概要です。
・序文……なぜこの実験を行ったのかを理由を説明します。
・実験方法……実験方法の解説です。
・実験結果……実験した結果をまとめます。
・考察……実験結果から何がわかるのかをまとめます。
自由研究も基本は同じです。テーマを決める・調べる・考える、この3項目の流れを押さえれば大丈夫です。
科学と聞くとつい身構えてしまいますが、自由研究のテーマは科学に限りません。建物の階段の段数の違いでも電信柱の位置でもなんでもいい。調べてまとめて考えることが重要です。
正解を探す必要もありません。コップを真上から見たら円形に見えるように、見る位置で物事はさまざまに形を変えます。その変化を見つけ、楽しむことが自由研究の本質です。正解探しではないし、正解なんてないんです。あるのは、「わかっていること」だけです。今年の夏は自由研究で自分の力で「わかる楽しさ」を体験してください。
ゆーまん博士とは…
構成・文/川口友万 イラスト/まめこ
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