沖縄のおでんは本土とは異なる特徴を持ち、家庭料理はもちろん、居酒屋やコンビニまで幅広く親しまれる定番メニューです。現地では季節を問わず年間を通して食べられ、沖縄ならではの具材を活かした独自の食文化が楽しめます。ご家庭で作るレシピと共に詳しくみていきます。
沖縄おでんとは
沖縄で親しまれている、おでんの特徴をまとめました。
特徴と本土との違い
一般的なおでんと沖縄おでんの最大の違いは、テビチ(豚足)の使用です。長時間煮込んでプルプルになった身はコラーゲンがたっぷりで、とろみのあるだしとしても味わえます。
また、ソーセージや、ソーキ(豚のあばら肉)、家庭ではスパムを入れることもあります。
具材をしっかりと煮込んだ後、仕上げに季節の青物野菜(小松菜、ほうれん草、青梗菜、レタスなど)を加える点も特徴があります。
歴史的背景
沖縄おでんは太平洋戦争以降に誕生したといわれていますが、はっきりとした由来は明らかになっていません。日本本土への復帰運動が盛んになり始めた頃、日本食の積極的な取り入れと共に、居酒屋から始まり、次第に家庭料理として定着していきました。
沖縄おでんの基本
沖縄おでんならではのおいしさの秘密を、詳しく見ていきます。
だしと味付けの特徴
沖縄おでんのだしは、かつお節と昆布がベースです。
味付けは塩のみのシンプルさながら、テビチや昆布からの旨味が加わり、コクのある深い味わいに仕上がります。
テビチのコラーゲンが生み出すとろみも魅力のひとつです。
特徴的な具材
テビチは4〜5時間かけてじっくり煮込むことで、箸でほぐれるほど柔らかくなり、プルプルした食感を楽しめます。
季節の葉物野菜を最後に加えて仕上げます。
その他の具材
ソーキ、ソーセージ、スパムが人気の具材です。大根、卵、厚揚げなど一般的なおでんの具材も、お好みで加えられます。
沖縄おでんの作り方
ここからは、ご家庭のキッチンで作る具体的な手順を見ていきます。
テビチは沖縄料理には欠かせませんが、入手が難しい場合は豚バラ肉や鶏手羽先で代用できます。今回は鶏のぶつ切り肉を使い、短時間でもジューシーに仕上がる方法で作ります。
材料
(5人前)
鶏のぶつ切り肉、または手羽先 1kg
大根 1/2本
結び昆布 5~10個
こんにゃく 1枚
練り物(揚げかまぼこ類、厚揚げ、ちくわなど) 2枚
フランクフルトソーセージ 5~10本
卵 5~6個
お好のみの青菜 1/2袋
かつお節でとっただし 4リットル
塩 適量
作り方
具材の下準備から始め、だしを用意し、煮込んで仕上げる工程をご覧ください。
・具材の下ごしらえ
・昆布:水に10分ほど浸して柔らかくし、適度な大きさに切って結びます。
・鶏ぶつ切り肉:軽く湯がいて水で冷まします。流水で余分な脂や血合いを丁寧に洗い流します。
・大根:輪切りにして皮をむき、面取りをします。裏に隠し包丁を十字に入れると、味がよく染み込みます。
鍋に大根を入れ、ひたひたの水と塩ひとつまみ(分量外)を加えて茹でます。水から茹で始め、大根が透明になったら引き上げてください。これで大根の臭みが抜け、短時間で柔らかく仕上がります。
・卵:ゆで卵にして、殻をむきます。
・こんにゃく:塩もみして湯通しします。
・煮込む
別鍋に、下処理した鶏肉とかつお節と昆布のだしを入れます。沸騰したらアクをとり、大根、こんにゃく、卵、昆布を加えます。
その後、残りの具材を加えてアクを丁寧に取りながら、さらに煮込みます。
ソーセージや練り物から塩分が出るので、加減しながら塩を加え、味を整えます。
最後に青菜を加えて軽く煮て完成です。
ポイント
かつお節と昆布のだしは、市販のだしパックでもおいしく作れます。
ヘルシーに仕上げたい場合は、こんにゃくを多めに入れ、油揚げや厚揚げは丁寧に油抜きをしましょう。
お取り寄せで楽しむ沖縄おでん
テビチなどの具材は、現地旅行時の購入だけでなく、特産市や通販でも入手できます。本場のおいしい味が手軽に再現できる商品をご覧ください。
味付てびち 800g
プルプルになるまで煮込んだテビチが通販で購入できます。こればあれば、本格的な味に仕上げるのも簡単です。味付け済みなので、おでんに加える際は調味料不要でおいしく仕上がります。
軟骨ソーキ 310g×2P/豚バラ肉 スペアリブ
温めるだけで食べられる豚バラ肉の煮込みです。軟骨まで柔らかく煮込まれており、おでんに加えれば栄養面でも育ち盛りのお子さんにピッタリです。
現代の沖縄おでん事情
沖縄のコンビニでは、現地ならではのおでんが販売されており、薬味にも特徴があります。
コンビニでの展開
現在、コンビニエンスストアでも沖縄限定の具材を使用した沖縄おでんが提供されています。ローソンの例では、以下の沖縄限定メニューがあるそうです。
・島こんにゃく
・三角はんぺん
・沖縄厚揚
・沖縄テビチ
・沖縄ソーキ
薬味
おでんの薬味と言えば、本土ではからしですが、沖縄ではアメリカ製のマスタードを使用するのが一般的です。これは米軍の影響によるものとされています。
その他にも塩やしょうゆなど、現地の調味料を使うと、より本場の味に近づけることができます。
好きな具材で楽しむ沖縄おでん
沖縄おでんは、本土とは異なる独特の特徴を持つ郷土料理です。テビチやソーキといったご当地食材が特徴的で、かつお節と昆布でとっただしに塩味で仕上げます。ご家庭で作る際は鶏肉や豚バラ肉で代用してもおいしく仕上がります。最後に青物野菜を加えると、より沖縄おでんらしさが増しますよ。お好みの具材を加えて楽しんでくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)