イヤなことがあるとすぐに「死ね!」と言うので困っています【保育者歴46年・柴田愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴46年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

何度注意しても、イヤなことがあると「死ね!」と言う子ども達に困っています

きょうだい3人とも嫌なことがあると「死ね」と言います。「死ねなんて、言ってはダメ!」と何度も注意しているのですが、注意すればするほど言います。その都度、本気で怒るのですが…。子どもたちからしたら“また怒り出した!”程度にしか思っていないようで、まったく直りません。どうしたらいいですか?(小学2年の女の子、年長の男の子、3歳の男の子のママ)

悪口言葉の一つとして無意識に使っているのだと思います。でも、懲りずに「ダメ」と言い続けて

ほんとに子どもの言葉の悪さには、頭を抱えますよね。

始まりは「バカ!」、年長児から小学生は「死ね!」、もっと大きくなると「ぶっころしてやる」がやってきます。ほんとに悲しくなってしまいます。

一つには身体のけんかより言葉のけんかが多くなったことが関係していると思います。手を出してはダメと言われるので、どうにも修まらない気持ちは言葉で表現されます。どんどん研ぎ澄まされた、相手に堪える効果のある言葉を子どもたちは本能的といってもいい感度で使っていきます。

もうひとつは昔から悪口文化がありました。皆さんの記憶にもあるでしょう?「バカバカチンドン屋 おまえの母さんデベソ!」そんな歌に乗せて、悔しい気持ちを吐き出していました。「いーだ!」というのもそうですね。

そんなふうにそらすこともなくなり、直線的になってしまったのです。

どんな時代に生きている子どもだって、感情的には昔と同じ。表現がすごくなっているだけかもしれません。人間言う側より、言われる側の気持ちは案外実感していないと思いませんか?

子どもたちに「親に言われたくない言葉ってある?」と聞いてみました。なんと「嫌い!そんな子は家の子じゃない!」だけは言われたくないと言いました。

子どももおとなも言う側は案外無意識、言われる側は実感があるから敏感になるのでしょう。「死ね」と言われるのはイヤなのですから、懲りずに言い続けましょう。そして、子どもが言われたらイヤな言葉はなるべく言わないように努力しましょうね。

教えてくれたのは

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。

イラスト/海谷泰水

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