【小学校の先生の夏休み】授業がなくても出勤!? 補習、研修、行事の準備…知られざる“働き続ける夏”の実態とは「すべては子どもたちのために」

「夏休みの間、小学校の先生たちは何をしているの!?」と、気になっている保護者は少なくないのではないでしょうか。保護者がわかることとしては、一部の子どもたちを対象とした補習授業、プール指導などがありますね。けれど、7月中に終了してしまう学校が多いようです。それなら、8月はずっとお休みしているの?

月刊誌『小学一年生』(小学館発行)では、公立小学校教諭の佐々木陽子先生が学校の最新の事情を伝えるコラムを連載中です。気になる回答をぜひチェックしてください。

スキルアップのための研修や講習を受けたり、夏休みならではの業務をしたりしています!

子どもたちが夏休みに入っても、先生たちは学校に出勤します。といっても、授業はないので、通常の仕事とは異なります。

【1】プール授業や補習授業

まずは、子どもたちのためのプール授業や補習授業があります。夏休み中のプール授業は、1学期中に気温や天気によってできなかった分も補う形で行います。夏休みだからと特別に実施しているわけではなく、子どもたちみんなが泳ぎをしっかり習得できるように教えています。ただ、近年は気象変動や先生の働き方改革、設備の老朽化など様々な理由で、プール授業を減らす学校が増えつつあるようです。

補習授業は、7月中に1週間程度行う学校が多いのではないかと思います。希望者を対象に行うところもあれば、学力に不安のある子どもを対象に行うところなど、学校によって異なります。

【2】研修や講習を受ける

若手の先生は、先生としてのスキルアップを図るために、様々な研修や講習を受けに行きます。その中には、学校で受講するように決められている研修もあります。指導案の書き方や授業をもっと向上させるためのアドバイスなどを、ベテランの先生や付属大学の小学校の先生などから教えてもらうのです。

もちろん、ベテランの先生向けの研修もありますよ。生活指導主任の研修や、学校全体の運営に関わる研修などを受けたりしています。こうした研修で習得したことは、2学期以降に反映されていくことになります。どの子にもわかりやすく楽しい授業ができる力をつけるために、夏休みの時間を使っているのです。

【3】2学期の授業や学校行事の準備

お盆休みは、一般企業と同じです。その間は学校もお休みになります。

そして、夏休み後半になると、2学期の授業や学校行事の準備に取りかかります。秋に運動会を行う学校では、夏休み後半から準備を進めます。

また、社会科見学は秋に行うことが多いので、夏休みの間に実地踏査(下見)して、子どもたちが安全に目的地まで到着できるかを確認する先生もいます。高学年の先生は、宿泊する移動教室があるので、やはり夏休み中に下見に行くことが多いようです。

夏休み中の勤務時間は自由! すべては子どもたちのために費やしています!!

夏休みの先生の仕事をまとめると、研修(自己研鑽)、プール授業、補習授業(子どもたちの学力、体力向上)、2学期の授業と行事の準備となりますね。

夏休み中は前述の通り、研修や下見に行く先生もいたりするので、必ずしも学校に来なければいけないという決まりはありません。ですから、それぞれが比較的自由に時間を使うことができます。例えば、午前中だけ学校に来て、午後は研修に行くことも可能です。中には、朝が弱くて、午後に1時間だけ来る先生もいます。それなら在宅ワークでもいいのではと思われるかもしれませんが、先生たちはなんだかんだと学校にはちゃんと来るのです。

学校で話し合って決める事柄が多く、いろいろなことを共有し合うことが大事なので、必然的に来ることになるのだと思います。すべては2学期に登校してくる子どもたちのために、先生は「夏休み」という特別な期間を活用しているのです。

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私がお答えしました

佐々木陽子先生 公立小学校教諭

低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育情報サイト『みんなの教育技術』での執筆も行う。

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心がけています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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イラスト/メイボランチ 構成/天辰陽子

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