【小学生の算数】なぜ「目盛り」でつまずくのか、理由と対策ポイントを《1目盛りの意味、単位換算、暗記》の3点から読み解く

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さん執筆によるシリーズ記事。今回は「目盛り」について、学習のコツを伺います。

小学校2年生の算数でつまずきやすい「目盛り」の学習。算数は積み上げの教科であるため、一つの単元でつまずくと、それ以降の単元がさらにわからなくなる、という事態になりかねません。今回は「目盛り」の学習でつまずきやすいポイントと対策方法を紹介します。

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「目盛り」のつまずきやすいポイントは3つ!

目盛りは「単位」とも密接につながり、長さや量、角度、グラフの読み取りなど算数全般に関わってくる大切な学習です。目盛りでつまずく3つの理由を確認し、解決していきましょう。

①「1目盛りの幅」 1目盛りがいくつかを把握できていない

目盛りの読み取りで多くの子どもがつまずく原因の一つが、「1目盛りがいくつを表しているか」が正確にわかっていないことです。

物差し・温度計・グラフの軸などに、身の回りの目盛りにはさまざまな単位や間隔が使われています。ですが、1目盛りがかならず「1」や「5」などのきりの良い数字を表すとは限りません。たとえば、0から10までを5等分してある場合、1目盛りは「2」を表します。

ところが目盛りの読み取りにつまずく子どもは以下の傾向があります。

・「線がある=1ずつ」と思い込む
・「数字をただ読むだけ」
・「だいたいこのあたりかな」と感覚で
読んでしまっている

このように、正しく読み取れないことが多いのです。
特に定規や温度計などを普段から「なんとなく」の感覚で使っている場合、気づく力が育ちにくくなります。

②「単位の理解」単位換算ができない(mm、cm、mなど)

もう一つの大きなつまずきの原因は、単位換算の理解不足です。算数では、長さ(cmとmm)、重さ(kgとg)、容積(LとmL)など、異なる単位を行き来しながら数値を読み取る場面が多くあります。

たとえば、「1cmの中には1mmが10個ある」ということを理解していなければ、物差しの細かい目盛りを正しく読むことができません。同じように、1L=1000mLという単位のつながりが曖昧だと、計量カップやメスシリンダーの目盛りを誤って読んでしまいます。

このように、単位の仕組みを整理できていない子どもは、目盛りの読み方でもミスをしやすくなる傾向があります。日常生活の中で単位を使う機会を増やしながら、感覚的に理解できるようにすることが大切です。

③「読み方の丸暗記」暗記で覚えていて応用がきかない

目盛りの読み方を暗記で覚えているお子さんは、少しパターンが変わるだけで対応できなくなることがあります。

たとえば定規の「0から始まる10cmの読み方」はわかるのに、以下のような場面では正確に読み取れなくなるケースがみられます。

・1目盛りの間隔が2ずつや、5ずつなど複数の単位を表している場合
・0以外の位置から始まると読めなくなる場合(例:3cm〜8cmの長さを測る)

これらは、「目盛りは等間隔で増えていくこと」や「目盛りの間隔が読み方のヒントになる」という基本的な仕組みの理解が不足していることが原因です。正しく読み取るには、「数直線の等間隔」「割り算・掛け算的な考え方」が必要になります。

そのため、ただの暗記では太刀打ちできず、つまずいてしまう子が多いのです。

3つのつまずきポイント別・理解のヒント

お子さんが目盛りの読み取りでつまずくとき、ただ繰り返し問題を解かせるだけでは改善が難しい場合があります。
ここでは、これら3つのつまずきポイントに対処するためのヒントをお伝えします。

①「1目盛りが何を表すか」がわからない場合

「1目盛り=1」と思い込んでしまっているお子さんには、「目盛りの数ではなく区切りの数で考える」という視点を伝えることが大切です。

たとえば
「10と20の間に線が4本あるね➡︎これは(10と20の間が)5つに区切られているね➡︎1目盛りは2だね」
と順序立てて考えさせてみましょう。

1. 線ではなく、区切りの数に注目する
2. 全体の幅(この場合は10)を区切りの数(5)で割
3. 1目盛りが「いくつ」を表しているかが導き出せる

この順番で考える練習をすることで、数字の丸暗記ではなく、「目盛りは等しく割られている」という構造の理解が深まります。

②単位の違いで混乱する場合

単位を実感するためには、まず大切なことは実物で確認すること。たとえば、自宅で簡単にできる、紙テープやお水などを利用するとよいでしょう。

・1mの紙テープを10cmずつに切る
・100mLの水をコップで10杯入れて1Lを作ってみる

こうした体験を通して「1m = 100cm」「1L=1000mL」といった変換を実物で確認でき、体感することで記憶に残りやすくなります。

また、単位換算は暗記が基本となるため、トイレやお風呂に単位表を貼って、日常的に目に触れる機会を増やすこともおすすめです。

③暗記に頼り応用できない場合

暗記に頼っていると、目盛りの間隔が変わったり、0以外の位置からの読み取りになったりすると、急にわからなくなるというケースが見られます。

そんなときは、日常生活にある「目盛り」を使って感覚を育てるのが近道です。

・体温計、キッチンスケール、車のスピードメーターなどを一緒に読み取る
・0.5刻み、1.2刻みなどの「いつもと違うような目盛り」をわざと使ってみる
・数直線を10000など大きな数字まで広げ「100ずつ」とか「1000ずつ」などスケール感覚を広げる練習をしてみる

「1ずつの目盛りだと細かすぎて読みにくいよね。大きい数のときは、100ずつのほうが見やすいね」など、状況によって目盛りの幅が変わる理由を話してみるのも有効です。

家庭でできる! 目盛りを身につける実践アイデア

ご家庭でも取り入れられる目盛り学習のアイデアをいくつかご紹介します。

・おやつの重さをキッチンスケールで量る

・家具の長さを定規やメジャーで測って記録する
・「目盛りビンゴ」や「目盛り神経衰弱」など遊びに取り入れる

・計量カップや炊飯器の目盛りなどを読む機会を作る
・グラフ作りで目盛りの「間隔の調整」も体験させる

はかるための道具は100円ショップでも手に入ります。デジタル表示があふれる時代ですが、あえてアナログ式の道具を使って遊びや生活に目盛りを読む機会を増やしましょう。

学年別・目盛り対策ポイント

幼児期

幼児期は目盛りに触れる前段階として、「大きい/小さい」「長い/短い」を比較する遊びが効果的です。
数直線で数の順序を確認したり、積み木を数えて量を体感したりするなど、遊びの中で算数感覚を育てましょう。

低学年(小1〜小2)

低学年では、定規・温度計・時計などを使って、実際に身近な目盛りに触れて読み取る体験を増やします。

目盛りを数えずに感覚で「3(ぐらい?)」「8(ぐらい?)」と答えてしまう子も多いので、まずは1目盛りずつしっかり数える練習を繰り返すことも大切です。

中学年〜高学年(小3〜小6)

中学年から高学年になると、グラフや速さの単元で複雑な目盛りが登場します。

読み取れることはもちろんのこと、単位換算をして軸を揃えたり、「目盛りをどう設定するか」を自分で考えたりする応用力も身につけていきましょう。

[まとめ]日常生活から目盛りに慣れる

今回はつまずきやすい目盛りの学習について、原因と対策を解説しました。

目盛りは、算数のあらゆる単元に関係する「読む力」の基本となるものです。
生活の中で「測る」「読む」経験を増やし、子どもが自信をもって目盛りに向き合えるよう、家庭でもサポートしていきましょう。

目盛りと同様に苦手に感じる子が多い「時計・時刻」の単元についてはこちら

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記事執筆

今木智隆 RISU Japan株式会社代表取締役

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≫

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『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』

文響社より2023年7月6日刊行

構成/HugKum編集部 協力/RISU

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