小学校受験における「季節」に関する出題とは?
小学校受験では、「季節」に関して、実際に次のような問題が出題されたことがあります。
雙葉小学校(2022年 ペーパー)
大掃除のお話を聞いてから そのお話と同じ季節の花を選ぶ。
学習院初等科(2024年 個別テスト)
「好きな季節はいつですか。どうしてその季節が好きなのですか。その季節にみられるもので好きなものは何ですか。」と問う。
「季節」に関する問題では、単に“春は3月”“桜が咲く季節”といった断片的な知識を問うだけではありません。季節の移ろいを感じ取る感性や、自然・生活の中での経験を通じた理解が見られているため、日頃から親子で季節の花や季節行事に親しむことが必要です。自宅では、季節にちなんだ絵本を読んだり、季節の絵を描いたりするのもおすすめです。

「季節」問題が意外とネックになる理由
季節の問題は「日常の中で自然に身につくもの」と思われがちですが、実は今の子どもたちにとって一番“身につきにくい知識”でもあります。
例えばスーパーでは一年中、きゅうりもみかんも並んでいますし、都心のマンション生活などでは、虫や草花に触れる機会も減り、カエルの卵を見る機会もありません。どんぐりがいつ落ちているか、たまごからオタマジャクシが生まれカエルになる、といった親世代が当たり前の感覚的な知識が薄くなりがちです。
日常生活の中で季節を感じることが難しくなってきているため、“意識的に”季節を感じる必要があります。コノユメSCHOOLでは、「季節の定期便」という季節の花束と自然の探検動画・絵画工作がセットになったものを用意しています。“あえて”季節に触れる機会をつくらないと、現代の子どもの意識には、それぞれの季節の特徴が残らないのです。
「季節」問題の対策~公園に出かける・季節行事に取り組む
季節問題は、たくさん解くことよりも、体感することが重要です。子どもは基本的に季節に興味はありません。机上で学んでも興味がないので、結局記憶に残らないことがほとんどです。ですから、まずは興味を持たせることが大事です。
公園に行って虫探し!

私がInstagramで「セミの羽化(うか)を見に行こう」などと声がけしたところ、実際に公園に行ってくれた親子がいました。セミを見られた子も、そうでない子も、公園に行ってセミを探した体験が心に残り、虫に興味を持った子が多くいました。
公園に行く時間がなければ、家で季節の花を植えてみるのもよいですね。そうやって、身近なところから季節に興味を持つきっかけを作ってみるのがおすすめです。
季節行事に家族みんなで取り組む
季節行事は、家族で取り組んでみると楽しいものです。特に、冬は季節行事が多い時期です。大掃除をしながら、ちりとりやほうきの使い方、雑巾の絞り方などを確認したり、節分には豆まきだけでなく、鬼のお面を作ってみたり。料理が好きなお子さんの場合は、おせちを一緒に作りながら「黒豆ってどういう意味があると思う?」などクイズ形式で楽しむのもおすすめです。
季節行事から、季節への知識だけでなく、生活の知恵や段取り力などいろいろな力が身に付きます。ぜひ取り組んでみてください。
「季節」問題の対策になるおすすめの絵本
季節問題の対策の一つが絵本です。絵本は季節に関するイメージを育みます。おすすめの絵本を3つ、ピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。
「ぐりとぐらの1ねんかん」
みんな大好き「ぐりとぐら」シリーズ。ぐりとぐらの暮らしを通して季節を体感する楽しさを描いています。春にはいろんな花の種をまき、夏には真っ赤なトマトを収穫。絵を眺めるだけで季節の変化が伝わり、子どもの自然や行事への興味を育ててくれます。家庭での季節教育の導入にもぴったりの絵本です。
「こども きせつのぎょうじ絵じてん」
日本の四季の行事や風習を、わかりやすい絵とともに紹介している一冊です。お正月やひなまつり、七夕、十五夜など、一年を通して大切にしたい行事を豊富なイラストで知ることができます。行事の由来や食べ物、飾りなども丁寧に描かれており、親子で「どうして?」を学びながら季節の意味を感じられます。暮らしの中で日本文化を伝えるきっかけになる絵辞典です。
「3歳からの子育て歳時記」
「季節行事は親子で楽しみましょう」と言われても、何をやっていいのかわからないという方も多いはず。『3歳からの子育て歳時記』は、日々の生活の中で、日本の四季や行事を自然に感じ、親子で楽しむためのヒントが詰まった一冊です。
私も小学校受験を目指す家庭向けに、その月にやってほしい、小学校受験につながるおすすめのことをコノユメで毎月ご提案しています。
まとめ
小学校受験の季節問題は、季節を感じにくい現代の子どもにとっては特に難関のところもあります。積極的に季節を感じられるような取り組みを行い、受験に備えるのが一番です。ぜひトライしてみてください。
こちらの記事もおすすめ
お話を伺ったのは
東京大学卒業後、大手通信会社に勤務。その後、自身の母親が30年以上にわたり主宰する受験絵画教室のメソッドをもとに、2011年に小学校受験専門の幼児教室を設立。2022年には、教育の新しいかたちを提案すべく株式会社コノユメを設立。同年、オンラインと対面のハイブリッド型幼児教室「コノユメSCHOOL」を開校。これまでに、慶應義塾幼稚舎・慶應義塾横浜初等部・早稲田実業学校初等部など、難関名門校への合格者を多数輩出。
取材・文/石原亜香利