学校給食は校長が事前に食べてチェックしていた! 子どもたちに安全な給食を届けるために…法律に基づいた「検食」の現場を取材

小学生の楽しみのひとつである給食。子どもたちに安全でおいしい食事を届けるために、校長などが給食を事前に確認する「検食」を各校で行っています。今回は、富山県富山市立西田地方小学校にお邪魔し、同校の橋本大一郎校長にその検食の様子を見せてもらいました。

給食を事前チェックし問題があれば中止に

小学校時代の最大の思い出と言えばなんでしょうか? 友達と遊んだ記憶、先生に言われた忘れられない一言など、人それぞれにあると思いますが、友達と机を並べて食べた給食を挙げる人もいるはずです。

この給食、当然ながら、子どもたちに安全でおいしい食事を届けるためにいろいろな工夫が施されており、各校の校長などの代表者が、事前に食べ、チェックもしています。

このような事前チェックは正式には検食(けんしょく)と呼ばれ、学校給食法に基づく学校給食衛生管理基準で定められた実施事項となります。

取材した橋本校長によると、徹底的な安全管理が行われている給食なので、基本的に問題はみつからないそうです。

しかし、まれに黒いこげのような異物が入っていたり、複数回洗っても除去しきれなかった野菜に付着する虫が混入していたりする場合も過去にあったそう。

そうした問題があった場合、栄養教諭や給食調理員と協議し、子どもたちに配膳しても大丈夫かを議論した上で、最終的には校長が判断するそう。仮に、金属片のような異物が混入しているなど重大な問題があった場合は給食の配膳が本当に中止されるのだとか。

富山県富山市立西田地方小学校の橋本大一郎校長

「子どもたちには申し訳ないですが、安全が確認できない場合、異物が入っていた献立の配食は中止となります。その場合、保護者の方々に事情を説明し、教育委員会にも報告をします」(橋本校長)

異臭、異色、異味をチェック

実際の検食は、どのような流れで行われるのでしょうか。橋本校長には申し訳ないながらも、食べている様子を目の前に座って取材させてもらいました。

まず、子どもたちに配膳される30分前くらいに、校長室のドアがノックされ、給食調理員が一人前の給食を配膳しに来ます。

その際、除去食の有無など、特別な伝達事項がある場合は、給食調理員から校長へ申し送りが行われます。特にない場合は普通に感謝を伝えて校長は受け取るそうです。ちなみに、橋本校長の推しのメニューはカレーライスだとか。

その後、学校ホームページ掲載用の写真を撮影し、検食が始まります。紙パックの牛乳をコップに注ぎ、異臭、異色をチェックします。その上で、味を確かめ、問題ないかを入念にチェックしながらいただきます。

聞けば、この検食に関する研修は存在しないそうで、先輩の校長の検食をまねしたり、自分なりに工夫したりしているそうです。コップに牛乳を注ぐチェックの仕方も、他の校長がやっていると知り、橋本校長も取り入れたとか。

次に、主食のご飯をかき分けて、お米の中に異物が混入しないかを確かめていました。

「ごくまれに、しゃもじの木片が混じっている場合もあります。その他、こげが混入していないかなどもチェックしています」(橋本校長)

主菜、副菜もはしで崩したり、小さく切り分けたりして、色、臭い、味を細かくチェックしていきます。焼き魚の切り身も問題ないか身を崩して確かめていました。

「行儀の面では問題のある食べ方で、作ってくださった給食調理員の方々、生産者の方々には申し訳ないのですが、日本の素晴らしい学校給食を子どもたちに安心・安全に味わってもらうために、仕方ないと割り切っています」(橋本校長)

ちなみに、橋本校長は、校長室で検食を行っていますが、学校によっては職員室で検食をする校長もいらっしゃるそうです。

ご飯粒を1つも残さず食べきる橋本校長。

「食材への感謝の気持ちもありますが、米粒を残すと、調理員の方々の手間が増えてしまいます。専用の食器洗浄機は当然あるものの、米粒が器に残っていると、洗浄器に入れても米粒が付着したまま残ってしまう場合があります」と語り、全てを食べ終わったら、検食の結果を記録し、サインをして、食器を片付け、終わりです。

時計を見ると11時50分ほど。子どもたちのその日の給食は12時20分ころからスタートだと言いますから、万が一問題がみつかった場合でも、中止の判断が間に合うタイミングです。

最後に、素朴な疑問として、先に食べ終わった橋本校長は、子どもたちが給食を食べているとき、何をしているのか聞いてみました。

「子どもたちが食べている様子を見守りに行きます。例えば、アレルギーがある子どもへ食べられない食べ物が誤って配られていないかなどを確かめに行きます。

もちろん、私以外にも、何人もの先生がそばで見ていて、誤配のチェックをしているのですが、念のため私も見に行っています」(橋本校長)

その見回りの途中、子どもたちから「校長先生は食べないの?」と心配されるそうですが、先に頂いたと伝えつつ、子どもたちのうれしそうに食べる姿を見守り、安心・安全が脅かされていないか目を光らせるそうです。

1食300円ほどの限られた予算でありながら、すさまじいクオリティで用意される学校給食。その裏側では、学校給食を安心・安全に子どもたちに届けるために、いろいろな人が、知られざる工夫と努力を重ねていました。

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この記事を書いたのは

坂本正敬 ライター

編集者・ライター・翻訳家。成城大学文芸学部芸術学科卒業。 富山市に事務所を構えながら、小学館〈HugKum〉、マガジンハウス〈colocal〉などの国内媒体のほか、〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉〈Japan Today〉〈Go World Travel Magazine〉など海外媒体に寄稿している。 訳書に『クールジャパン一般常識』。著書(共著)に『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』など。技能五輪国際大会では日本代表選手の通訳を務めた経験も。 北陸3県を拠点にするWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。扶桑社創刊(現・オンエア運営)のWebメディア〈bizSPA!〉元編集長。観光庁事業〈Toyama Gastronomy Tourism〉編集長、東証プライム市場上場企業や教育機関の広報誌、大手化粧品メーカーのオウンドメディアを含む6媒体で編集長を歴任する。 デザインイベント〈D-FES〉実行委員長。小学校のPTA会長も。

取材・文・写真/坂本正敬

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